人車鉄道のご案内

大学祭のマスコット的存在、「人車鉄道」 2010年11月5日撮影

 千葉大学鉄道研究会では1976年以来、大学祭の出し物として、人が動かす手作りの、そして「本物の」鉄道を運行しています。

 このページでは、人車(じんしゃ)鉄道と呼ばれる当会の人力鉄道をご紹介いたします。

Q1.「人車」とはなんですか?

 「人車」とは、その名の通り、線路の上の小さな車両を人が押して運ぶ乗り物です。道路が未発達だった明治の中頃に現れ、以降大正初期までの20年ほどの間に全国各地に敷設されました。主に幹線の鉄道駅近隣の集落や船着場を結び、一部はガソリンカーや蒸気機関に転換して近代化されましたが、小さな輸送機関だったため多くは人力のままその役目を終えました。

 千葉大学近辺では、金町駅と柴又帝釈天を結んだ「帝釈人車鉄道」、野田の醬油工場からの出荷を担った「野田人車鉄道」などがあります。

豆相人車鉄道(横浜開港資料館所蔵)

Q2.今でも走っているところはありますか?

 営業用の人車は昭和34年を最後に廃止され、観光用を除いて日本国内に現存しません。鉄道や道路の開通によって多くは戦前のうちに姿を消し、昭和34年に廃止された島田軌道(静岡県)を最後に消滅しました。

 しかし「帝釈人車鉄道」を継承した京成金町線、「薮塚石材軌道」を継承した東武桐生線は、かつての人車鉄道の面影を現在に伝える路線といえます。

 なお、観光用のものとしては当会の他に、宮城県大崎市の「コスモス祭り」などで人車が運行されるほか、神奈川県小田原市の宿泊施設「離れのやど 星ヶ山」では芥川龍之介の「トロッコ」で知られる豆相人車鉄道の車体が復元され、宿泊客を対象に人車を運行しています。

 ちなみにフィリピンの首都マニラには、国鉄の線路で勝手に人車を走らせ生計を立てている「トロリーボーイズ」がいるそうです。かつて常磐線を走りフィリピンへ輸出された203系との離合も見られるとか……

Q3.千葉大ではいつ頃から走っていますか?

 1976年より運行を始め、2016年にはおかげさまで40周年を迎えました。

 大学祭の時にだけ現れる鉄道なので比較には不適当ですが、かつて存在した29ヶ所の人車鉄道の中でも屈指の歴史の長さといえます。

Q4.重くはないのですか?

 鉄のレールと車輪は、摩擦が小さいため重い物を運ぶのに優れています。そのため自転車のようにスタートだけ力が必要ですが、走り始めると小さな力で動かすことが出来ます

Q5.スピードはどれくらいですか?

 最高で時速約4kmほどです。全長が短い、人が歩いて押している、手作りの軌道のため強固でない、といったことからあまりスピードは出しません。

Q6.本物の鉄道ですか?

 車両は手作りですが、レールは鉱山から譲り受けたり専用に発注したりしたものを、枕木もかつて京成千葉線で実際に使われていた「本物」を用いております。 

Q7.軌間はどれくらいですか?

 公称の数値は600mmとなっています。ただし、時期によっても変遷があるようです。なお、かつて存在した人車鉄道はその多くが軌間610mmでした。

Q8.レールの重さはどれくらいですか?

 1mあたり9kg、一本の長さは5.5mです。錆びのためこれより多少重くなっています。

Q9.運賃はいくらですか?

 きっぷ1枚100円をいただいております。親子連れの場合、お子様1人につき親御さん1人が無料となります。乗車券は懐かしの硬券を関東交通印刷様から発注して使用しており、スタンプで日付を印字しています。大学祭の記念品としても人気です。