日本のおもちゃライブラリーの歴史
(タンタン通信2005年12月号より)
日本おもちゃライブラリー連絡協議会 第15回全国セミナー
~大阪おもちゃライブラリー30周年記念大会~ 2005年11月6日
久々に日本おもちゃライブラリー連絡協議会の全国セミナーに参加してきました。
基調講演は安藤正先生(元北九州おもちゃライブラリー館長・現在神戸親和女子大学教授)の「子どもと発達」。時代とともに変遷する育児書、発達を促す要素、そして望ましくない行動への対処の方法など、最先端の学術的知識をとてもシンプルにわかりやすく説明して下さいました。お昼は、長崎県からきた瑞宝太鼓の若者達六人のすばらしい演奏に感動。もとは知的障害者職業訓練施設「長崎能力開発センター」のクラブ活動として発足したのが、2001年にプロデビューし、最低賃金程度の給料を稼いでいるとのこと。きっと京都にきてね、と直接メンバーに頼みました。午後は「おもちゃライブラリー30年の歩み」というパネルデイスカッション。安藤先生が1983年9月の全社協『ボランテイア社会福祉教育研究』に書いた「おもちゃ図書館の役割」という文章のコピーが配布され、スウェーデンのユンカー女史の試み、イギリスのおもちゃ図書館の動き、そして日本でのおもちゃ図書館連絡会と日本おもちゃライブラリー連絡協議会の両方の発足当初の話を聞くことができました。(コピーを下記に転載しました。)穏やかな先生方のお話を聞いていると、今までのことがよく整理できてよかったです。特にやまなしおもちゃライブラリーの山下滋夫先生は、1981年以来ずっと山梨県で障がいのある子ども達とそのお母さん達の相談活動に関わってこられたのですが、「就学猶予」という名前で学校にも行けず、引きこもっていたお母さんと子どもを見つけては、おもちゃがあるよ、と誘いだし、おもちゃライブラリーで子どもを遊ばせている間にお母さんの悩みをきく、という時代からはじめて、その後は必要に応じて補助器具を開発したり、相談活動やサービスを工夫したりして、レスパイト事業もしてこられた方です。今は自分達がつくり、あるいは欲しかった事業が法律で整備されてきている。ある意味、自分達のやってきたことが社会的な制度として実現できてきたと話されました。これからのライブラリーにはどんなニーズがあるのか、ゆっくり探っていきたいとおっしゃっています。(やまなしおもちゃライブラリーのHPはタンタンのHP大阪フアンサイトとリンクしています)療育や教育の中で子どもと親のそれぞれの生活や権利を考えてこられた先生方に、これからも相談できる先輩として活躍していただきたいと思いました。日本おもちゃライブラリー連絡協議会は、ゆるやかなネットワークであり、勉強会をその趣旨としているということを、今回のまとめで確認できたので、私たちも少し整理ができたように思います。また今回の会では、いろいろな形のライブラリーがあるものだなあ、と感心したり、タンタンはかなりオーソドックスな会だなあ、と改めて確認したりできました。 (報告 T)