雑誌とパンフレットのご紹介
毎日新聞の記者であり、自閉症児の親として育成会で権利擁護に取り組み、千葉県の障害者差別をなくす条例つくりの座長も務めた野沢和弘氏は、昨年1月より『PandA―J』という雑誌を作っている。『PandA―J』はジャーナリストの他、弁護士、研究者、福祉の支援者などが参加し権利擁護や成年後見を取り上げた雑誌で、「だれでもわかる、すぐに役立つ、読んで楽しい」をモットーとしている。以来すでに7号まで発刊しているが、毎回、最先端で活動している人のインタビュー記事、自閉症の子どもを育てている人の実生活のエピソードが盛り込まれた落語仕立ての物語、各地のボーダレス・アートの紹介等もあり、飽きさせない。
さらにPandAが世に送り出した冊子『親のための成年後見ハンドブック』は、後見の必要性や後見人の適性をチェックリストではかるなど、大変わかりやすい。これまでにない画期的な成年後見制度の入門書だ。どの一家も一冊備えておいて損はないと思う。
最近では、冊子『障害者の事件報道ノート』ができあがった。これまで野沢氏は育成会の権利擁護委員会の『イエローカード』で浅草事件を検証し、啓発冊子『知的障害のある人を理解するために』を作成して全国の警察へ配布する活動に加わり、『発達障害とメディア』を上梓して発達障害への理解を訴え、報道のあり方に警鐘を鳴らしてきた。『障害者の事件報道ノート』は、マスコミ関係者が事件の第一報を報じるときに、頭のすみにおいてもらいたいという想いで書かれた渾身の作である。警察や報道する側の偏見と誤解が生んだ「障害名のひとり歩き」。実際には、その「障害」があるから事件を起こすというのは間違いであり、むしろ被害者になる可能性が高いというのは関係者なら誰でも知っている事実。もし加害者となってしまったとしたら、彼が、社会や家族の中でどのような環境におかれていたのか、支援は適切であったのか、が問われなければならないだろう。またこれまでは判断能力や責任能力ばかりに目が向けられてきたが、訴訟能力や受刑能力が本当にあるのかどうかについては報道されることは少なかった。山本譲司氏の『獄窓記』でも話題になったが、たくさんの人達が意味もわからないまま収監されている。しかも出所しても、受け入れてくれる場所が少ないため再犯者になる可能性が高いという。今年度、都道府県ごとに触法者を支援していく地域生活定着支援センターの設置が予定されているが、まだまだ取り組みは緒に就いたばかりである。何よりも社会や司法の理解がすすまなければ、生きづらさを抱えた人の適切な支援に繋がらないことを考えさせられた。
(谷内)
なお、以上の雑誌や冊子は、本屋さんでは売っていません。
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