タントニー

準備

使用カード:トランプ 1組 52枚。3人で遊ぶ時は 7~10を除く36枚。いずれの場合も Jokerは除く。

得点記録紙:得点を記録するための「メモ用紙」と「筆記用具」

カードの強さ:

 (強) A > K > Q > J > 10 > 9 > 8 > 7 > 6 > 5 > 4 > 3 > 2 (弱)

カードの得点:

 A =  30点、 K = 25点、 Q = 20点、 J = 15点、 10~2 =数字そのままの得点(10であれば 10点)

ゲームの勝敗

パートナーとチームを組んで勝利を目指す、2人対 2人のトリックテイキングゲームです。トリックの得点を決めるのはフォローした最弱の札、トリックの勝利で得られるのはトリックとして得たカードの分配権、そして2ディール目以降は完全情報公開4ディール遊び、獲得得点の多いチームが勝利します。

ここでは、まずチーム戦となる 4人で遊ぶ場合について説明します。最後に 3人で遊ぶルール含め、その他の遊び方を補足説明します。

ゲームの準備

適当な方法でパートナー(仲間)を決め、同じチームのメンバーが向かい合わせになるよう着席します。

カードをカットした後、ひとり1枚ずつカードを引き最も強いカードを引いた人が最初の親(ディーラー)になります。または、適当な方法で親を決めます。

ディールの開始

カードを(あらためて)シャッフルしたあと、親は左隣の人から時計回りに 1人 1枚ずつ、各自 13枚となるようにカードを配りきります。

トリック

リード

親の左隣の人の順番から始めます。親の左隣の人は手札から好きなカードを 1枚、表にして出します。この最初に 1枚出すことを「リード」と呼びます。

上の例では、親の左隣の人からリードで「9のダイヤ」を出してリードしたところです。 

手札から 1枚出すと、その人の手番は終了です。つづいてその左隣の人の手番になります。このようにリードした人から順に、時計回り(左隣の人へ順番が移る)にひとり 1枚ずつ手札を出していきます。 

自分の番にできること

自分の手番が来たら、手札の中からカードを 1枚、表にして出します。この時、リードされたカードと同じマークのカードを持っていれば、必ず同じマークのカードを出します(これを「フォロー」と呼びます)。

上の例ではリードの 9のダイヤ、3のダイヤにつづき、7ダイヤ、10のダイヤを出したところです。全員ダイヤのカードを持っていたためダイヤのカードを出しました。 

同じマークが無かったら

リードされたものと同じマークのカードがなければ、その場合にかぎって、他のマークのカードを出します。リードとちがうマークのカードだった場合、たとえ強いカードを出しても勝つことはできません。

トリックの勝敗

全員が順番に1枚ずつカードを出したら(これを「1トリック」とよびます)、リードのマークと同じカードのうち一番強いカードを出した人が、そのトリックに勝ちます

トリックに勝った人は、リードのマークと同じマークのカードのうち、最も弱いカードだけを残しその他のカードを伏せます。最も弱いカードの数字が見える状態でその他のカードと重ね、ひとつの束にします。リードのマークのカードが、リードのカードしか無い場合は、そのままリードのカードが最も弱いカードとして扱われます。この、一番上に重ねたカードが得点計算時に使う得点札です。

例のつづきです。リードのマークと同じで最も弱いカードは 3のダイヤでした。今回の得点札はこの「3」です。得点札を残し他の札は裏向きに伏せ、得点札を一番上にしてトリックの束にします。

トリックの獲得

トリックの勝者は、今回のトリック(得点札を含むカードの束)を誰が獲得するか決めます。トリックの獲得は自分でもかまいませんし、他のプレイヤー(パートナーでも対戦陣営でも)かまいません。ただし、1ディールで 1人 3トリックまでしか獲得できないというルールがあります。

今回の勝負でトリックを獲得した、あるいは押しつけられた人は、得点札とトリックを束にしてまとめ自分の前に並べます。並べるときは、自分が何トリック分獲得しているかがわかるように並べます。2トリック目からは、直前のトリックを獲得した人からリードします 

例のつづきです。3点の価値を持つトリックは対戦陣営側(トリックの勝者の右隣)に押しつけることにしました。押しつけられた人はまだ2トリック獲得する機会が残っています。次のリードは、トリックを押しつけられた人から開始します。

最後のトリック

最後の13トリック目は、全員が 3トリックを獲得した状態となっています。13トリック目は束を作ること無くそれぞれがカードを出した状態でトリックの勝者判定、トリックの得点と獲得を解決していきます。

まずはトリックの勝者を解決します。通常通り、リードしたマークのうち最も強いカードを出した人がトリックの勝者です。

次にトリックの得点を解決します。リードのマークのうち最も弱いカードを確認します。このカードがトリックの得点札です。

次に得点札の除く各プレイヤーが出したカードを伏せ、得点札だけが何のカードか分かるようにします。得点札と「トリックの勝者」のカードを交換します。得点札とトリックの勝者のカードが同じ物で、結果として何も入れ替わらない場合もあります。

上の例では Aのスペードでリード、以降 Qのハート、Kのスペード、8のハートが続き、出そろいました。リードのマークであるスペードのカードは Aと Kです。トリックの勝者は Aのスペードを出したリードプレイヤーで、得点札はパートナーが出した Kのスペードです。

例のつづきです。得点札を除いてその他のカードを伏せた状態にします。その後、トリックの勝者のカードと得点札を交換します。

ディールの終了

最後のトリックの勝者だけ 4枚の得点札が、その他の人は 3枚ずつ得点札を持った状態でディールを終了します。それぞれのチームで得点札の得点を合算しディールの点数を算出します。

次のディール

前のディールで親だった人の、左隣の人が次の親になります。

手札の配り直しは無く、今手元にあるカード(3トリック+1枚)が新しい手札です。

ゲームの終了

4ディールおこない、合計得点の高い方が勝利チームとなります。

ただし、4ディールを迎える前の各ディールでの集計で規定得点に達していた場合、その時点でゲームは終了(サドンデス)し達成したチームは 2ゲーム分の勝利扱い(何回も繰り返してこのゲームを遊ぶ場合を想定)となります。具体的には以下です。

1ディール終了段階で一方のチームが 60点以上を獲得していた場合。同様に、一方のチームが 2ディール終了段階で 120点、3ディール終了段階で 180点、4ディール終了段階で 240点を獲得していた場合。

こんな遊び方もあります

3人で遊ぶとき

3人で遊ぶときは、4人ルールから、以下を変更します。 

スプリットパートナーシップ

基本の得点計算は個人集計ですが、ディールの獲得得点としてプレイヤーの左隣のプレイヤーの個人得点も合計しスプリットパートナーとしての合計得点を競います。

ご家族の方へ

このゲームは David Parlett氏による創作ゲームのひとつです(当コーナーでは他にダックスープ も取り上げています)。最初の発表後も改訂を重ねる傾向があり、今回紹介したルールは作者 Webページで 2023年 9月に確認した内容です。

こちらで確認できた細かな差異は以下のとおりです。

ORIGINAL CARD GAMES(1977)

公式 Webサイトで、初めて発表した媒体として紹介されている書籍です

THE PENGUIN BOOK OF CARD GAMES(2008)

1979年発行の THE PENGUIN BOOK OF CARD GAMESには未収録(確認は1980年刊の二刷)、以下は 2008年発行のTHE PENGUIN BOOK OF CARD GAMES(2023年現在流通している版です)に依ります。当方は未確認ですが  2000年発行の  The Penguin Encyclopedia of Card Gamesと 2008年の THE PENGUIN BOOK OF CARD GAMESは内容としては同じようですので、この情報が正しければ 2000年には改訂したルールが公開されているはずです。


おそらく後付けと思いますが、エリナー・ファージョン作「タントニーのブタ」がモチーフになっているようです。同作は『ファージョン作品集5 ヒナギク野のマーティン・ピピン』(岩波書店, 1974)に収録されています。やせっぽちが故に売られることも無く聖アントニー施療院のペットになるトコというブタのお話です。

参考文献