マストフォローソリティア

準備

使用カード: 1組 53枚(ジョーカー 1枚を含めます)

カードの強さ:

 強い順に、 A, K, Q, J, 10, 9, 8, 7, 6, 5 4, 3, 2。 2が最も弱い。

 ジョーカーは最も強く、どのカードにも必ず勝ちます

配り方

トランプ1組 52枚にジョーカーを1枚加えた 53枚のカードを使います。伏せた状態でよく混ぜ、この後は山札として扱います。

山札の上から10枚をとり、自分の手札とします。

手札の交換

手札を確認し、1回だけ山札と交換することができます。交換は 0枚から 10枚で、交換するカードは(このあとはゲームに使わないので)捨て札として脇に避けておきます。

次に、捨てた手札枚数の2倍を山札の上から取ります。

先の例では6枚を捨て、山札から12枚(6枚の2倍)を取り、手札に加えました。


さらに、山札から 10枚を(カードを見ずに)捨て札とします。

準備の最後に、切り札を決めます。自分の手札を見て、好きなマークを切り札に指定できます。どのマークも切り札にしない、つまり「切り札なし」にしてもかまいません。

上の例では♣(クラブ)を切り札に指定しました。


これで準備が整いました。

このゲームではプレイヤーはひとりしかいません。便宜上、対戦相手をダミーハンドと呼びます。山札はそのままダミーハンドの手札になります。

ゲーム開始

つねにダミーハンドの手番からはじめます。山札から1番上のカードを1枚、表にして出します。この最初に 1枚出すことを「リード」と呼びます。

トリックの勝敗

自分の手番になります。リードされたカードと同じマークのカードを持っていれば、必ず同じマークのカードを出します。ダミーハンドが 1枚、自分が 1枚カードを出したら(これを「1トリック」とよびます)、リードと同じマークで1番強いカードを出した人が、そのトリックに勝ちます。

上の例では、ダミーハンドが 9のスペードでリードし、自分が 10のスペードを出したところです。同じマークで、より強いカードを出したのでこのトリックは自分の勝ちです。


同じマークのカードが手札に複数枚ある場合、どれを出してもかまいません。

同じマークが無かったら

自分が出したカードが、リードとちがうマークのカードだった場合、たとえ強いカードを出しても勝つことはできません。

ただし切り札は例外で、切り札と同じマークまたはジョーカーのカードを出すと逆に勝てます。

ジョーカーは最強のカード

ジョーカーは最強のカードです。手札にあればリードのマークに関係なく出すことができます。逆に、リードでジョーカーが出てきた場合は、何を出しても勝つことができません。

トリックに勝ったとき

トリックに勝ったら、今使われた 2枚(ダミーハンドの 1枚と自分の出した 1枚の合計 2枚です)を捨て札にします。

捨てたカードは裏向きにして、伏せた状態で捨て札の山へ避けておきます。

トリックに負けたとき

トリックに負けたら、今使われた 2枚(ダミーハンドの 1枚と自分の出した 1枚の合計 2枚)を手札に入れます。

上の例では、ダミーハンドが Kのハートでリードし、自分が 3のハートを出したところです。同じマークで、より強いカードを出せなかったのでこのトリックは自分の負けです。

ゲーム終了

トリックの勝敗後、山札または手札が無くなったらゲームの終了です。

最後の手札でトリックに勝ち、手札が無くなったら勝利です。その前に、ダミーハンドの山札が無くなったら負けです。

こんな遊び方もあります

  • ゲーム終了時、カード 1枚を1点として、残った山札を加点、残った手札を減点として合計点を競う遊び方もあります

ご家族の方へ

個人サークルプエルのトリコの りかちさんが 2019年に創作したゲームです。同作は 2019年 1月20日に中原市民館でおこなわれた「これはトリテなのか?展」にてお披露目されました。同展来場者による投票結果ではトリックテイキングゲーム率 41.7%との判定でした

作者より

ソリティアでよく遊んでいます。紙のトランプではなくパソコンやスマホでプレイすることが多いのですが,勝っても負けてもボタン1つで次のゲームが始まってしまうので延々と遊んでしまいます。うまくできていますよね。

さて,ソリティアにもいろいろなルールがありますが,ゲームのルールを聞いて初めてのプレイでは負けてしまうことが多いと思います。なすすべもなく負けてしまった初ゲームから徐々に上達して勝率を上げていくのです。

ゲームの上達の中身についてもう少し掘り下げてみましょう。ゲームが強くなる過程では,定跡の形成と例外の発見が起こります。例えば将棋で相手の駒が取れるときは取った方が得な場合が多いです。はじめは取れる駒は何でも取ろうとしますが,ある場面でふと手が止まります。この駒は取らない方がいいのではないか。勝つためにセオリーを外した手を読み,自分で考え抜いた手を打つ瞬間はとても楽しいものです。そして,この例外処理が積み重なっていつしかこの場合は駒を取らないという新たな定跡が形成されます。無邪気に駒を取っていた頃より一回り強くなり,さらに難しい例外処理で深い読みを発揮できるようになるのです。

ソリティアにおいて,この定跡の形成と例外の発見は全て自分自身の手で行われます。マストフォローソリティアにもいくつかの定跡があります。上達はゲームの醍醐味です。存分に味わっていただければと思います。

参考文献

ルールを紹介するにあたり、以下の文献・コンテンツを参照しました。