準備
使用カード:トランプ 1組 39枚(クラブの13枚とジョーカーを除く)
得点記録紙:
得点記録用の「メモ用紙」と「筆記用具」
カードの値:
Aは 1として扱う
2〜10の数字はその数字通りとして扱う(例えば「3のカード」ならば「3」)
J, Q, Kはそれぞれ 11, 12, 13として扱う
高得点が期待できるマークを手札に残し、そのマークが1着になることを目指します。決まった回数ぶんゲームを繰り返し、一番合計点が高い人が勝ちます。
トランプ 1組 52枚から、クラブマークのカードだけを取り除きます。クラブのカード 13枚は、このゲームには使わないので、無くさないよう箱にしまっておくと良いでしょう。
親(ディーラー)は左隣の人から順番に、 1人 1枚ずつ、決まった枚数(後で説明します)になるようカードを配ります。残った山札はひとつの山にして裏向きのままテーブルの脇に置きます。
配るカードの枚数は、次の表のとおりです。
親の手番からゲームを始めます。
上の例では、遊ぶ人数が 3人なので手札として 9枚ずつカードを配りました。カードを配った親の手番からゲームを開始します。
手番が来たら、自分の手札からカードを出します。カードの出し方は2通りあります。
(a)カードを 1枚出す
(b)カードを 2枚出す
それぞれ詳しく説明します。
(a)カードを 1枚出す
手札の中から好きなカードを 1枚、表にして出します。カードはどのマークでもかまいません。
上の例は、5のハートを手札から 1枚、表にして出したところです。
(b)カードを 2枚出す
同じマークで、カードの値が連続する 2枚のカードであれば、その 2枚を 1度に出すことができます。ただし、出した後に、同じマークのカードが 7枚になるような出し方はできません。出すときは 2枚とも表にして出します。
上の例は、同じマークであるスペードの Aと 2の、 2枚を一度に出したところです。
出すカードは表に向けて、それぞれのマークごとに分けます。さらに、枚数がわかるように並べて置きます。
上の例では、手番でスペードのカードを出しました。スペードのカードは、すでに置かれているハートとは別の場所に、そのマークのカードがこれまでに何枚出されたかがわかるように並べて置きます。
手札からカードを出すと、その人の手番は終了です。つづいてその左隣の人の手番になります。このように親から順に、何周も時計回り(左隣の人へ順番が移る)に手番を移していきます。
マークごとに並べたカードのうち、ひとつのマークで 6枚目が出たら即座に 1試合の終了です(カードを配るところから、ひとつのマークで6枚目が出るまでを 1ディールと呼びます)。
上の例では、スペードの 4を出すことでスペードマークのカードが 6枚になりました。これで 1試合の終了です。この後、ディールの得点計算をおこないます。
ディールの得点計算をおこなうため、まず、皆が出したカードからマークの順位を決めます。
マークの順位
マークごとに順位を決めていきます。まず、6枚目のカードが出されたマークを 1着として扱います。次に枚数の多いマークが 2着、出された枚数が一番少ないマークが 3着です。ゲームの進行によっては必ずしも 3種類のマークが出ていない場合もあります。
上の例では、6枚目が出たスペードが 1着、 4枚出ているハートが 2着、 3枚しか出ていないダイヤが 3着です。
マークの得点
ディールの終了時に、手元に残っている手札で各自の得点計算をおこないます。
各自、手札に残したカードすべての得点を合計して、そのディールの獲得得点を出します。場合によってはディールの獲得得点が0点を下回ることもあります。
上の例で説明します。マークの順位はスペードが 1着、ハートが 2着、ダイヤが 3着でした。図の左上にいる親の 4枚の手札は 6のダイヤ(-6点)、10のスペード(10点)、8のハート(0点)、Jのハート(0点)の、合計得点 4点です。この 4点が、親が獲得した(今回のディールの)得点です。
マークの順位で、ゲームの進行によっては残る2種のマークが同じ枚数で終わる場合があります。
この場合、それぞれのマークで最後に置かれたカードの値を比べ、大きい方の順位を2着、小さい方を 3着とします。
上の例は、ハートとダイヤがいずれも 4枚ずつでした。最後に置かれたカードの値を比べます。ハートは 10、ダイヤは Q(12)でした。ダイヤが 2着、ハートが 3着です。
最後に置かれたカードの値が同じだった場合、さらにその前のカードの値を比べて判定します。そのカードも同じであればさらにその前のカードにさかのぼって値を比べます。同じである場合は、以下、1枚目までさかのぼりの判定を繰り返して順位を見極めます。
上の例は、ハートとダイヤがいずれも 4枚ずつでした。最後に置かれたカードの値を比べます。ハートは 10、ダイヤも 10でした。同じ値だったため、さらにカードを 1枚さかのぼって判定します。ハートは 6、ダイヤは Q(12)でした。ダイヤが 2着、ハートが 3着です。
極めてまれですが、出されていたカードの値と順序がすべて同じであった場合のみ、両方のマークを 2着として扱います(1着のマークしか出ていない場合も同様です)。
次のディールでは親が変わります。いま親だった人の、左隣の人が新しく次のディールの親になります。 次のディールでは、テーブル脇に置いておいたカードも含めすべてのカードを集めて配り直します(もちろんクラブのカードは使わないままです)。
ゲームは人数分のディールを終了したとき、つまり全員が 1回ずつ親を終えた時に終了します。
獲得したディールの得点を合計し、最も獲得得点の大きい人が勝ちます。同点多数の場合、いずれも勝者として、勝利を分かち合います。
「ミルケン」というかなり面白いトランプゲームがありますが、得点計算の煩雑さがプレイアビリティを下げています。「ドクソン」は「ミルケン」へのオマージュとして、世界有数のボードゲームデザイナーであるライナー・クニツィア氏の「ハニーベア(またはバケツ消防士)」を参考に得点方法を改良し、さらにカードの2枚出しのアクションを加えて仕上げました。
ちなみに、このゲームの名は「独尊」をカタカナ表記にしたものです。独尊の意味を辞書で調べると、自分だけが他より優れて尊いとすること、とあります。しかし、本当の意味は、「人は誰しもかけがえのない存在なのだから、自分自身を尊び、同じように他人を尊ぶことが大切」といったようなことらしいのです。
このゲームを、そんな風に遊んでいただければとの願いを込めて、「ドクソン」と名付けました。(2017年11月16日 与左衛門)