第5章 地球温暖化の影響

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 ここまで述べてきたのは、現在の世界の水循環・水利用・水資源評価でした。現在、温室効果ガスの排出により地球は温暖化しており、気候が変化しつつあります。温暖化が水循環、水利用、水逼迫にどのような影響を与えるのかを解説します。

5.0 概要

  • 私たちが社会で活動や消費を行うと二酸化炭素などの温室効果ガスが出ます。温室効果ガスは地球の大気にに少しずつたまり、気候変動、いわゆる地球温暖化を引き起こします。

  • 気候が変動すると、気温が高くなるほか、雨の降り方も変わり、海の水が膨らんだり、南極や氷河の氷が解けたりすることで海面も上がります。すると、自然の恵みを受ける農業・森林・林業・水産業、水環境・水資源、自然生態系や、自然災害などが変わっていきます。こうした気候変動によって起きる様々な分野での反応や変化のことを気候変動の影響と言います。

  • 影響を放置すると社会は被害を受けてしまいます。この連鎖を止めるには、被害を減らすための適応策と温室効果ガスを減らすための緩和策を取る必要があります。

5.1 地球温暖化

気候変動

 地球の平均気温は上昇を続けています。この現象を地球温暖化(Global warming)と言います。地球の温暖化により、気候も変わります。このことを気候変化(Climate Change)と言います。いろいろな経緯があり、日本ではClimate Changeに対して、「気候変動」という訳語が正式に与えられました。気候変動を再度直訳するとClimate variationになり、「Change(変化)」の持つ「異なるものへと変わる」という意図が見えづらくなっているので、注意が必要です。

 過去100年くらいの間に見られる地球温暖化の原因は人間の温室効果ガスの排出です。温室効果ガスとは、「温室効果」と呼ばれる地球の仕組みを強化する効果のあるガスのことを指します。温室効果ガスはたくさんの種類がありますが、地球温暖化の主因となっているのは二酸化炭素とメタンガスです。二酸化炭素は、化石燃料を燃やすときに主に発生します。メタンガスは、石油や天然ガスの製造時や、牛などの動物のげっぷから主に発生します。

温室効果

 温室効果についても説明します。全ての物体は温度に応じたエネルギーを電磁波の形で放出しています(シュテファン=ボルツマンの法則)。こう聞くととても難しい話が始まると身構えるかもしれませんが、2020年のコロナ禍で広く普及した赤外線温度計(おでこにピッとすると体温が測れるもの)と同じ原理です。熱があるときは体温が高いので、平熱の時よりも少しだけ多くのエネルギーを出すようになるのです。人の平熱は36.5℃程度ですが、このとき電磁波は主に赤外線になります。ちなみに、太陽の表面温度は5500℃程度で、電磁波の波長はうんと短くなり、主に光(可視光)になります。

 さて、地球の地表面の平均温度は15℃程度です。この約15℃に応じて、主に赤外線の形でエネルギーが空に向かって放たれています。ここで、大気中の二酸化炭素やメタンには赤外線のエネルギーを一部吸収する(正確に言うと、特定の赤外線波長帯のエネルギーを吸収する)性質があります。吸収したエネルギーにより、大気は温められることになるので、これを温室効果と呼ぶのです。

5.2 地球温暖化と水循環への影響

水の性質

飽和水蒸気量

融点

熱膨張

5.3 地球温暖化の水資源・水利用への影響

洪水

旱魃

雪氷の融解

海面上昇

5.4 緩和策と適応策

適応策

緩和策と水循環・水資源


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