はじめに
2015年4月、博士号を取ったばかりの新しいポスドク(PD)が私の研究グループに加わりました。その後、私の研究グループでスムーズに仕事を始められるように、いろいろとアドバイスをしました。そのPDは、大学院の博士課程では水循環と全く異なる研究をしていました。いままで異なる研究をしていたということは、研究に対する考え方ややり方も違うということです。そのPDにアドバイスしたことに基づき、私の研究に対する考え方ややり方を文章にまとめてみることにしました。研究は[1]文献調査、[2]研究計画の作成と研究の実施、[3]論文の執筆、[4]学会での発表という流れで行われます。それぞれについて、なぜそれをするのか、何に注意すべきか、述べていきます。
ヒント一覧
【ヒント1】いまさらと思わず、教科書を読む
【ヒント2】教科書を選ぶ その1: いま自分はどのタイプの教科書が必要なのか考える
【ヒント3】教科書を選ぶ その2: どの教科書がよいかは人に聞く
【ヒント4】教科書を効率的に読むための7つのルール
【ヒント5】教科書の輪読会: 読破するための4つの条件
【ヒント6】論文を読まないで研究するのは、野草のことを何もしらないのに新種の野草を見つけようとするのと同じ
【ヒント7】総合誌のインパクトファクターに惑わされない 本当に読むべきなのは専門誌
【ヒント8】論文は「家系図」をたどるように読んでいく。やみくもにgoogle検索してはいけない。
【ヒント9】論文を効率よく読むための6つのルール
【ヒント10】研究実施の「標準的な流れ」
【ヒント11】論文は日本語でも英語でもなく、Scientific Writing (SW)という言語で書く。
【ヒント12】論文の章立てに独創性はいらない
【ヒント13】各段落の最初の文章は段落の要約
【ヒント14】Introductionは背景、先行研究、先行研究の課題、目的の4段落で構成するとすっきりまとまる
【ヒント15】Methodsの偉大なお手本は料理のレシピ
【ヒント16】ResultsとDiscussionはきちんと区別する
【ヒント17】Conclusionsは「まとめ」でも「むすびに」でもなく、「結論」
【ヒント18】Abstractはルールに従って本文から情報を抜き出す
【ヒント19】Referencesは著者の研究への姿勢を表す鏡
【ヒント20】原稿は地道に読んで、訳して推敲する
【ヒント21】原稿は最も多くの文献を引用した論文誌に投稿する
【ヒント22】査読への回答書は査読者ではなく、編集長宛てに書く
【ヒント23】共著者は研究と論文の命運を共にする人、お世話になった人は謝辞に
【番外編1】「標準的な流れ」に沿って研究実施するのは難しい?
【番外編2】論文発表の目標ペースをどう設定すべきか?
【番外編3】論文はいつ書き始めるべきか?