第28回日本産業精神保健学会 精神保健福祉士部会企画シンポジウム
「コロナ時代の女性労働者のメンタルヘルス」 のご報告
【テーマ】コロナ時代の女性労働者のメンタルヘルス」
【日時】 2021年11月20日(土) 16:50~18:50
【座長】真船浩介(産業医科大学)・佐藤恵美(メンタルサポート&コンサル沖縄)
【シンポジスト】
木村理砂(えとう労働衛生コンサルタント事務所)
久保真理(アソシエイトイン・カウンセリングルーム)
千木良直子(株式会社COEO)
櫻井麻紀子(サントリーホールディングス株式会社 人事部)
第28回日本産業精神保健学会は、昨年に引き続きハイブリッド方式の開催となりました。
今回のシンポジウムは、世界的な新型コロナウイルス感染症拡大後として、
時勢を反映したテーマとなりました。
covid-19パンデミックは、多くの労働者に多大な影響を与えていますが、
特に、働く女性への影響が大きいものとなっています。
精神保健福祉士部会では「コロナ時代の女性労働者のメンタルヘルス」と題して
4名のシンポジストをお招きしました。
久保先生からは、産業・医療・教育の各分野の相談員をされている立場から、
幅広い年代や属性をもつ女性の相談事例を通じて、
コロナ禍における当事者のリアルを心理社会的側面から報告をいただき、
最後には久保先生が相談場面で実際に活用されているセルフケアについてご紹介いただきました。
櫻井先生からは、企業の人事の立場から、
企業にて実施している女性支援の施策について具体的にご紹介いただき、
すでに十分な福利厚生施策を実施していても事業所の特性や女性特有の健康問題から、
女性へ向けた対策を拡充する必要性や、施策の効果についてご報告いただきました。
千木良先生からは、
育休中・共働きの労働者を対象としたSNSの運営者の立場から、
ご自身の経験を踏まえたSNS立ち上げの経緯のご紹介と、
コロナパンデミック初期から約1年間に
SNSにて実施したアンケートや座談会で得られた量的質的それぞれのデータから、
女性労働者がコロナ禍で受けた影響や、パートナーシップの変化など、
ネガティブな側面だけでなくポジティブな変化についてもご紹介いただきました。
木村先生からは、
企業にてメンタルヘルス対応をする医師・産業医の立場から、
コロナ禍で不調を抱えた働く女性の現状と、
心身の不調を抱えた個人への対応を中心として、
認知行動療法、マインドフルネス、そして自然療法や森林セラピーなど、
統合医療も含めたアプローチを科学的根拠となるデータを踏まえご紹介いただき、
個人へ向けた新たなケアや、
組織における働き方や福利厚生の新たな選択肢のご提案をしていただきました。
最後にシンポジストの皆さんが実践されているセルフケアについてご紹介をいただき、終了となりました。
今回の大会テーマは、「新型コロナ時代の健康と労働」とありましたが、
本部会シンポジウムに限らず、他のプログラムにおいても、
新型コロナ時代に対応するための資質や視点などは、
以前から産業精神保健分野で重要と指摘されていた事柄をベースに
述べられていることが多かったのではないでしょうか。
新型コロナ時代だからこそ、我々の専門性はより求められていくのではないかという期待と、
それにどのように我々が答えていけるのかという課題も、
改めて示唆された大会だったのではないかと思います。