日本産業精神保健学会 精神保健福祉士部会 第6回専門技術研修会 ご報告

日本産業精神保健学会 精神保健福祉士部会 第6回専門技術研修会 ご報告

●日時 2017年1月21日(土)14:00-16:30

●場所 神田東クリニック3F

●事例検討

下記お二人の方に事例を発表いただきました。当日予定しておりました神田東クリニック森が

インフルエンザのため参加できなくなり、急きょ東邦大学医療センターの松田様に事例提供を

ご依頼したところ、数日前にも関わらず、ご快諾いただくことができました。

お二人ともありがとうございました。以下、概要です。

★事例提供1

重山 三香子さん(ウエルネス・コミュニケーションズ㈱ 精神保健福祉士・介護支援専門員)

「自分が病気になったのは過去のパワハラ上司のせいだと訴えるケース」「異動後の新しい

ベテランやり手上司から叱責されパワハラを訴えるケース」「正規職員から非正規職員の自分が

仕事を過剰に振られパワハラと感じているケース」のパワハラに関連する3つのケースを

ご紹介いただきました。

パワハラは、双方の疾病性ではなく事例性に焦点化し、特にインテーク場面(最初の出会い)において、

「事実は何か」「確認すべきことは何か」「本人の本音と希望」「PSWとしての方針」について

小グループに別れて討議しました。

グループそれぞれ活発な意見が交わされ、上司としての意図や意向も想像しつつ、職場全体の雰囲気や、

雇用形態の違い、異動後の職務内容、上司とのコミニュケーションの在り方などについて議論が

深まりました。

また、重山氏からは、以下についての情報提供もいただきました。

*厚労省によるパワハラについての総合情報ポータルサイト「あかるい職場応援団」

https://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/

*「クラッシャー上司平気で部下を追い詰める人たち」

https://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-83205-0

★事例提供 2

松田由美江さん (東邦大学医療センター佐倉病院 メンタルヘルスクリニック 産業精神保健・職場復帰支援センター・精神保健福祉士)

リワークを利用した方の企業との連携について、情報提供書の書面だけでは、記入者の立場からのみの

情報に限られるため限界もあり、また、キーパーソンが定まらなかったり、産業保健スタッフと本人との

関係で問題が生じた場合、企業側の意向と医療上の見立てや方向性が、うまく摺合せすることが難しい場合、

どのようにPSWが動くことができるのか、という論点をいただきました。

フロアからは意見や質問が相次ぎ大変活発な討議が行われました。書面は必要だが、一人の記入だけでは

限界があるので必要な情報は上司(組織としての意向)、現場(本人のパフォマンスの現状)、

人事(休復職に関する制度等)など、それぞれ取りに行く必要があるのではないか、たとえ産業保健スタッフが

いても医療の見立てや方向性をどれだけどのように共有できるかは一律ではないのでPSWとして、そこも含めて

開拓しなければならない、そもそも職場側にリワークが何をするところなのかの理解が十分かつ適切ではないので、

リワークを職場に説明できるような機会があればいいのではないか、などの意見が交わされました。

両者の事例とも、疾病性の詳細ではなく、本人がおかれている状況を広い視点で捉えて、どう理解し、どう関係者と

連携したらよいのかという点で、PSWらしい活発な意見が交わされた会となったと思います。

事例提供をしてくださいました、重山様、松田様、そして活発なご議論をいただきました参加者の皆様、

ありがとうございました。

研修会後の交流会でも、皆さんが情報交換や思いを吐露する大変有意義な機会になりました。

皆様、遅くまでお付き合いいただきましてありがとうございました。

近日中に、次回の専門研修に関する皆様のご意向、ご要望などお伺いするメーリングリストを

流させていただきますので、ぜひ、ご協力ください。

第6回専門技術研修会の様子