第3回研究会

  • テーマ

「対人スポーツにおける間合い」および一般

  • 招待講演

    • 山田雅之氏(日本教育大学院大学)

    • アレキサンダー・ベネット氏(関西大学)

  • 日時

2015年5月23日(土)11:00-18:00

  • 会場

京都大学学術情報メディアセンター南館2階マルチメディア講義室201

  • 共催

京都大学学術情報メディアセンター

  • プログラムおよび予稿

11:00-12:20 一般セッション1

「間合いを測る」(予稿PDF)

園田耕平(滋賀大学),谷伊織(総合研究大学院大学),佐藤亘(神戸大学),郡司ペギオ幸夫(早稲田大学)

日常生活に偏在する時空間インタラクションである間合いは,どのようにして生成されるのだろうか?本研究は,そのような素朴な問いのもとから出発する.そして,間合いが本来は自然環境下での自発的行為であることを踏まえつつも,実験的限界を照射する意図もふくめ,間合いに関する実験を行った.実験では,動画から静止画を切り出し,被験者がその静止画をめくる時間間隔を「間合い」と定義し,間合いに影響を与える要因を検証した.その結果をふまえ,間合いにおける他者性や能動性について議論する.

「間合いを詰める資源としての「親しさ」:連鎖と成員カテゴリーの観点から」(予稿PDF)

臼田泰如(京都大学大学院/日本学術振興会)

本研究では,日常的な会話において人々が,「親しい関係」を「間合いをつめる」ための資源としていることを明らかにする.そのために連鎖分析・成員カテゴリー分析の手法を用いて,「親しい関係」という資源をどのように用いているのかを分析する.データ分析の概要を以下に示す.発話者が受け手との「親しい関係」を会話の俎上に上げることにより,第三者である他の参与者がその発話者と受け手との関係に言及することが可能な場所ができる.これにより,参与者同士のパーソナルな関係性に言及するという,「間合いを詰める」行為がレリバントになる.

13:30-16:30 テーマセッション「対人スポーツにおける間合い」

「対人球技研究の基礎:比較のための観点」(予稿PDF)

高梨克也(京都大学)

対人球技を対象として,その定義を試みるとともに,ある特定の対人球技を分析対象とする際に,その特徴を事前にある程度明確化しておくことに役立つ,対人球技の比較のための観点を提案することによって,今後のさまざまな対人球技の分析のためのたたき台を提供することを目指す.

【招待講演1】

「アイスホッケーにおけるスキル獲得とコーチによる支援の間合い ~はじめてのアイスホッケー~」(予稿PDF)

山田雅之氏(日本教育大学院大学)

アイスホッケーには多様な間合いが存在する.チーム間・選手間ももちろんだが,選手とパックの間合いや選手とコーチの間合いなども考えられる.本研究はこれらの多様な間合い研究を進めることを目指すための萌芽的研究である.本研究ではコーチが選手のスキル獲得に対して支援の方法(コーチング)を如何に変化させていくかに着目した.具体的にはアイスホッケーを始めたばかりの選手のスキル獲得過程とコーチの支援方法の変化について記述しそれらの関係について検討した.

【招待講演2】

「剣道における「間」に関する考察」(予稿PDF)

アレキサンダー・ベネット氏(関西大学)

剣道は確実に国際的に普及しているが,実は「有効打突」(一本)を取るためには態度・姿勢・気合・技の正確さ・「残心」などの厳しい条件がある.そこで勝負を決める一番重要とされる要素は,自分の「打ち間」,すなわち「気剣体一致」で打てるもっとも遠い間合いから,打つべき機会をとらえて,正確に打つことである.しかし,面白いことに,この「間」にこそ,各国剣士の間での大きな差異が見られる.そこで,勝負が一瞬で決まる剣道の独特な間合いについて国際的な視野から分析する.

16:40-18:00 一般セッション2

「映像作品における会話のリズムと間合い」(予稿PDF)

佐藤大和(東京外国語大学)

映画など映像作品における会話音声のリズムや間合いを明らかにするため,小津安二郎監督の映画作品を素材として,会話の時間特性を分析した結果を報告する.登場人物の発話とポーズ(間)の分析により,発話句の平均長,Major Junctureポーズ,発話頭タイミング等の平均は約1秒であり,会話リズムの基本的役割を果たしていること,一方,Minor Junctureや話者交代に伴うポーズは0.5~0.6秒程度であり,会話の連続性を与えるポーズであることなどを示す.さらに会話の基本的リズムから外れる間合いは,発話者の意図や感情と関連することが示される.

「状況に埋め込まれた相づちの頻度とタイミング」(予稿PDF)

羅希,定延利之(神戸大学)

日本語の相づちは他の言語に比べて非常に特徴的であり,多分野的に研究されてきている.しかし,これまでの研究において,相づちの発せられた「状況」の重要さが十分に認識されていなかったため,相手発話(速度,内容など)との関係がさほど考慮されていない.従って,本研究の目的は「相手発話の速度が相づちの頻度に対する影響」と「相手発話の内容に対する理解度や態度が相づちのタイミングに対する影響」の2つの問題を明らかにすることである.