第14回研究会では,「場の創出と間合い」というテーマを設け,真野洋介氏(東京工業大学),田島大資氏(一般社団法人ティッシュー)の2名に招待講演をお願いしました.また招待講演後には,「場づくりと間合い」というテーマでパネルディスカッションを実施しました.間合い研幹事団に加え,岡部大介氏(東京都市大学)にもご登壇いただきました.
テーマ趣旨
場をつくるということは人と人との間合いだけではなく人と建築や家具の設えとの間合いを取れるような状況をつくることであると言えよう。建築・都市・地域空間が何らかの用に供するのはそこで活動する人たちのにそれらとの動的平衡を維持しようとする相互作用があるからではないだろうか。そういう考えから今回のテーマを設定した。建築・都市・地域空間だけではなく様々な人工物(有形でも無形でもよい)と人々の間の関係性について、確立している観方に還元することにこだわらず、議論してみたい。
(企画者:藤井晴行(東京工業大学))
日程
2019年6月29日(土)13:00-16:50
場所
慶應義塾大学三田キャンパス 西校舎514教室
テーマ
「場の創出と間合い」
招待講演者
真野洋介氏(東京工業大学)
田島大資氏(一般社団法人ティッシュー)
プログラム
13:00-13:10 テーマ趣旨説明
藤井晴行(東京工業大学)
13:10-14:10 招待講演(1)
「震災復興プロセスにおける場の創出と間合い、動的平衡に関する考察
まちの隙間は余白か空白か
宮城県石巻市中心市街地を対象に」
真野洋介氏(東京工業大学)
東日本大震災から8年、津波浸水により被災した三陸沿岸都市の中心市街地では、防潮堤や地盤などの基盤整備を伴う都市のあり方が議論された一方で、被災した建物群からなる都市空間は解体、転用、更新、整備などを繰り返しながら変容を続けてきた。
本発表では、震災によって生成された都市空間の隙間と余白に着目し、時間の経過とともに変化を繰り返しながら、さまざまな場と関係性を創出し、震災前にはない多様性や包摂性を持つに至ったプロセスを読み解く。合わせて、個人、組織、ネットワークと場所、空間の相互作用について考察し、一定の集積を保ちながら多様な役割を保持してきた、まちの動的平衡についての考察を行う。
14:30-15:30 招待講演(2)
「共創環境考 開発編」
田島大資氏(一般社団法人ティッシュー)
共創の重要性が叫ばれるようになって久しいが、近年では、普段出会わないような人を結び付けて共創により新しい価値を生み出そうとする試みが急増したように思われる。しかし、未だ成果に繋がる確かな方法論があるとは言い難く、現場では様々な試行錯誤が行われている。このような共創の場というのは個人や組織が交じり合う文字通り創造的なコミュニケーションの場である。その目的は、イノベーション創出や事業創出などのビジネスを主眼に置いたものに留まらず、まちづくり、文化振興、学習、福祉など多様であり、したがってその展開方法も様々なものがある。見知らぬもの同士から創造的なコミュニケーションを引き出す環境とはどのようなものだろうか。また、小さな共同体における協働を基本的な営みとする人類にとって、計画的に多くの人と出会う共創の場をつくろうという働きはどのような意味を持つのだろうか。今回は、私が携わってきた、大阪梅田や東京渋谷などの都市開発を伴い大きなビジョンをもって共創環境・施設づくりを行ってきた事例を材料に、いただいたお題、認知科学・間合い・建築や家具、に紐づけながら、考察してみたい。
15:50-16:50 パネルディスカッション
テーマ:「場づくりと間合い」
登壇者:岡部大介(東京都市大学),藤井晴行(東京工業大学),諏訪正樹(慶應義塾大学),伝康晴(千葉大学),坂井田瑠衣(国立情報学研究所)