未来予測は困難

ある意味では,未来について唯一確信をもって言えるのは,そこでは常識が通用しなくなるということだけだ。魔法のような20年周期など存在しない。歴史のパターンは,単純な力に支配されてなどいない。歴史上のどの瞬間にこの上なく永続的で支配的と思われたことも,信じられないほどの速さで変わり得る。時代は移りゆくものだ。国際関係においては,いま目に映る世界は20年後,あるいはもっと近い将来に目に映る世界とはまったく別である。ソ連崩壊は予想外の出来事だった。それがまさしく肝心なところなのだ。従来の政治分析には,想像力が著しく欠落している。流れる雲がいつまでもそこにあると考え,誰の目にも明らかな,強力な長期的変化に目を向けようとしないのだ。

ジョージ・フリードマン 櫻井祐子(訳) (2009). 100年予測:世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図 早川書房 p.12.