理由の後付けならいくらでも

いまになって考えれば,いったいどうしたら,どのリスクにも誰もまったく気づかないということがありえるのか,理解に苦しむ。しかし,スペースシャトルの2つの爆発事故,そして,チェルノブイリとスリーマイル島で起きた2つの原発事故でも,これと同じことがいえる。機能不全が起こるのには原因があり,事後的にならいくらでも説明がつくものだ。問題は複雑性そのものにある。あらゆる相互作用がもたらすあらゆる大事故の危険性に備えることなどできない。事態は一気に進展していくため,調整をほどこす時間はいっさいない。

リチャード・ブックステーバー 遠藤真美(訳) (2008). 市場リスク 暴落は必然か 日経BP社 p.245