平凡であることに気づいた上で

だから,僕が若者に言えるのは,「今の自分は何者でもないし,平凡な人間なのだ」とまずは気がつくことが重要だということだ。本来の意味の可能性はむしろ,そう気づいたところから始まる。映画専門学校を出れば映画監督になれるかもしれないといった漠然とした幻想ではなく,本当に自分がやりたいことを見据え,そのために今自分がやるべきことは何かを見定めることから,やり直すべきなのだ。

押井 守 (2008). 凡人として生きるということ 幻冬舎 p.26