規制強化よりも単純化

要点は明快である。規制や組織的な監視の階層を追加して,リスクをコントロールしようとしても,われわれの制度設計が生み出した市場の複雑性や密結合がもたらす問題を解決できるとはかぎらない。問題を解決するどころか,逆に悪化させるおそれさえある。だからといって,規制をすべて窓の外に放り投げるべきだといっているのではない。ここでいいたいのは,事後的に規制を強化してリスクをコントロールしようとするのではなく,何よりもまず複雑性を減らすのが望ましいということだ。

リチャード・ブックステーバー 遠藤真美(訳) (2008). 市場リスク 暴落は必然か 日経BP社 p.277