卒業生の声

卒業生の声アーカイブページです。

黄瀬 佳之(2016年度・博士卒・滋賀県出身)

  高校生の頃、環境問題に興味があった私は「日本で最初の環境を研究するための学科」というキャッチフレーズに惹かれて環境資源科学科に進学しました。長い歴史の中で培われてきた世界最先端の研究環境やテレビ出演もされている環境科学の権威の講義は、他に類を見ない本学科の特徴です。そのおかげで私は大学教員になるという夢を叶え、山梨大学で准教授として働いています。

 在学時には植物に対する環境ストレスの影響を調べる研究室に所属しました。数学やコンピュータが好きだった私は、農作物の収量や樹木のCO2固定量に対する気候変動や大気汚染の影響予測シミュレーション研究に取り組み、食料の安定供給や豊かな自然環境の保全を目指して現在も研究をしています。本学科で学べる、こうした環境科学の技術や精神は、研究職以外の仕事や日々の生活でも重要です。企業活動や社会生活は時として環境破壊に寄与するため、環境科学の精神なしでは人間・社会経済・自然環境の調和はありえません。我々の子供や孫世代が豊かに暮らせる社会を創るために、意欲ある学友とともに環境問題の歴史・仕組み・対策を学び、社会で活躍する人間になれる環境が本学科には整っています。 

増子 敦子(2016年度・修士卒・栃木県出身)

  横浜市の環境職として採用され、現在は環境創造局下水道水質課に所属しています。仕事内容は、主に、きれいな水を放流するために、水再生センター及び汚泥資源化センターで各処理過程の水質を分析し処理調整を行うことです。また、水質改善のための調査研究なども行っています。

 配属された水再生センターの放流先は東京湾です。富栄養化が深刻な東京湾には、ほかの水域に比べ生活排水中に多く含まれるりんや窒素に特に厳しい水質基準が設けられています。水質基準を守り続けるためには、常に水質を管理し、分析により処理悪化の兆候にいち早く気づけるようにしています。適切な処理調整を行った結果、放流水中のりんや窒素の濃度が低下すると嬉しく、やりがいを感じる瞬間です。

 環境資源科学科で学んだことで活かされていることもあります。まず、学生実験や研究室活動における基本的な実験操作や機器操作の知識や経験が活かされています。また、研究室活動で信頼できるデータを出すことを口酸っぱく教えていただきましたが、それは今市民の生活に直結する仕事をするうえでとても大切なことだと心得ています。これからも横浜という街で、人の暮らしや街の環境を守っていきたいです。 

宇都宮 颯(2017年度・学部卒)

  私は学部生で卒業し、現在は、三菱製紙㈱ 八戸工場で人事・労務の仕事をしています。大学時代は、勉学以外にバスケットボール部や昆虫研究会に入ったりして、充実した時間を過ごすことができました。卒業研究では、「セルロースナノファイバー塗工による脆弱化した酸性紙資料の大量強化処理の開発」というものに取り組みました。研究と今いる業界が直結しているので、「事務系職種でも紙・パルプ・木材に詳しい」という点で活かされています。写真のように、小学生に講師として紙漉きを教えたりしています。

 将来、ジェネラリストとして働くことを希望する高校生の皆さんも、環境資源科学科の受験を是非お勧めします。 

竹内 智(2015年度・修士卒)

  現在は、JA全農で新規肥料の開発・普及に関わる仕事を行っております。職場内のハウスや水田で作物栽培試験を行い、土壌や作物体中の養分を分析することで肥料の効果を評価する試験研究が主な業務です。新規肥料の開発の過程では、農家さんの畑や水田で実証試験を行うこともあります。実証試験では、説明会を開いて、関係者に対して試験の目的および進め方について理解してもらうよう努めています。その他に、JAグループ職員を対象とした講習会の企画・運営も行っており、試験研究業務だけでなく、人前で話す仕事も多い職場です。

 環境資源科学科で学んだ土壌学や分析化学の知識は、日々の仕事の中で活かされていると実感しています。環境に配慮した農業およびそれを実現するための技術は、今後ますます求められることになると思いますが、このような視点に立って仕事を進めるための基礎知識は、環境資源科学科での学びの中で身に付けることができたと感じています。また、研究室に配属されてからは、専門知識を深めるだけでなく、先生・室員との議論を通じて実験計画や発表技術についても学ぶことができ、対外的に発信することが多い現在の職場で活かされています。