堀川 祥生(ほりかわ よしき) 

准教授(バイオマス・リサイクル分野)

研究室で行っている研究の内容

 樹木の成長は二酸化炭素の資源化を意味します。

これこそが木質バイオマスです。 地球上で最大生産量を誇る木質バイオマスの特徴は、永年にわたり樹木として森林に蓄えられ、必要な時に使用することができる点です。新たな木質バイオマスのエネルギーやマテリアルとしての活用は、化石資源の消費量を減らす効果を生み出し、環境の保全にも貢献できます。さらにその経済的な恩恵を森林の生育に還元できれば循環型社会の実現に大きく近づくことにもなります。 しかし、エネルギーに変換するにもマテリアルを創製するにも、樹木という高度な生物構造体の理解が必要不可欠です。したがって木質高分子が樹木内で発現している様々な機能について、ナノからマクロレベルに至る構造的な立場から精密に解析する必要があると考えています。本研究室では、木化細胞壁を形成する高分子の高次構造や複雑なネットワーク構造を解き明かし、さらに細胞・組織・樹種間の多様性を正しく把握することで、適材適所なバイオマス利用の拡大を目指しています。


主な担当授業科目とその内容

 2 年生の前期に「木質資源化学」という授業の一部を担当します。この講義では、植物細胞壁の主成分であるセルロースの構造・生合成・化学反応性について勉強していただきます。樹木をはじめとした陸上植物だけではなく、地球上に存在する様々な生物が生産するセルロースの多様性についても解説しています。同じく2 年生の前期に「森林資源科学」の一部を担当します。社会的課題あるいは産業界からのニーズを踏まえ、出口を意識した木質科学研究を紹介しています。本講義を通して、問題解決に向けた高度な応用を目指すほど、基礎を支える科学的な知見や基盤技術が重要となる、つまり基礎研究と応用研究を並行して進めていく必要性も理解していただけます。


環境資源科学科を希望する受験生に向けて

 ニレ科の落葉大高木で「ケヤキ」と呼ばれる樹があります。大空に向かい扇状に広がって伸びるため、その独特な樹形から遠くからでもケヤキと推定することができます。街路樹として日本の各地に植えられ、秋には紅葉します。ケヤキは個体ごとに色づきが異なるので、集まって生えていても様々な色合いを見せてくれます。ケヤキ材は強度が大きく、耐朽性が高いため、昔から社寺建築を含めた多くの用途に使用されており、材の肌目は粗いのですが、仕上げた面を磨くと光沢が出てきます。
 間違いなく本学の徽章に使われているケヤキの説明文ですが、環境資源科学科の卒業生を思い浮かべながら記載しました。本学科は大気、海洋、土壌、森林など人類が生存するために必要な領域を研究対象とし、環境保全や再生可能資源の有効利用といった現代社会が直面する課題解決を目指しています。このような実学に取り組むことによって視野を広げ、自身の可能性を拓き、ケヤキのごとく将来へ向かって大きく成長したい方の進学をお待ちしています。

より細かい情報

研究室 website https://sites.google.com/go.tuat.ac.jp/biosf/
研究室名  バイオマス構造機能学研究室
居室  府中1号館3階307 号室
専門分野  木質科学、セルロース科学、高分子化学、分光学