多羅尾 光徳(たらお みつのり) 

准教授環境修復分野)

研究室で行っている研究の内容

  微生物の環境中での生きざまを研究しています。地球上に存在する生物の量は2兆トン弱(乾量)あると見積もられており,そのうちの9割は陸上の植物,残りの1割は微生物です。動物は,昆虫や大型動物まで全部ひっくるめても,たかだか30億トン程度です。このことは,生物を通じた地球上の物質循環の大部分は,微生物と植物との間で行なわれていることを意味します。微生物や植物の量からすればほんのつけたし程度の量しかない動物の,さらにそのつけたし程度のヒトの生存は,目に見えない微生物たちに支えられているのです。しかし,微生物は肉眼には見えないため,環境中で彼らがどんな生きざまをしているのかは,科学としての微生物学が始まって150年経った現在でも,わからないことだらけです。微生物が何を食べ,何を吐き出し,何に食べられているかを究明することは,それらの作用を通じて動く元素の流れを明らかにすることにつながり,ひいてはヒトの生存が持続できるような合理的な生態系管理のあり方を追究することにもつながります。

 現在,取り組んでいる研究は,① 温室効果ガスを吐き出す微生物の生態の解明,② 微生物どうしの食う-食われるのつながり(食物連鎖)が微生物の増殖・はたらき,および生態系における元素の流れに及ぼす影響の解明,③ 微生物を使った人工化学物質の除去,④微生物を使った安価・簡便な水浄化,の4つです。

主な担当授業科目とその内容

  「生態系管理学」(1年生前期)ではまず,ヒトと社会の存在を支えている生態系の構造と機能の基礎を教えています。次に,食料・水・エネルギーなど人間が生存するために不可欠な資源,およびそれらを使用して排出される廃棄物の問題を切り口に,合理的な生態系管理のあり方を,自然科学(生物学・化学・物理学・地学)の視点と,社会科学的な視点の両方を交えて論じています。「環境微生物学」(2年生後期)では,微生物は何を食べて,何を吐き出していて,何に食べられているのかといった基礎的なことから,微生物を使った環境浄化のような応用分野も含めた内容です。「微生物生理生態学」では,環境中での微生物の生き様と,それを支える微生物の生理を教えています。その他,生物学実験や環境資源科学実験(生物学系)を担当しています。

環境資源科学科を希望する受験生に向けて

  ヒトの生存は社会という環境に支えられ, 社会は自然という環境に支えられています。 多くの環境論ではこの視点が欠落しているため, 混乱した議論が続いています。 環境科学を志すみなさんに期待することは, 自然の姿をとらえるために必要な科学である自然科学をしっかりと 身につけるだけでなく, 環境問題をもたらしている社会の構造にまで目を向けることの大切 さを理解してほしいことです。 安易な解答に飛びつくのは危険です。多くの人と議論を交わし, 傷つけ合ったり同意し合ったりしながら,「なぜだろう?」「 本当かな?」 とあらゆることを疑う批判的な視点を養ってください。

より細かい情報

研究室website http://web.tuat.ac.jp/~env-mic/index.html

研究室名 環境微生物学研究室

居室 府中5号館3階302号室

専門分野 環境微生物学,生態系管理学