赤井 伸行 (あかい のぶゆき)

准教授(環境物質科学分野)

研究室で行っている研究の内容

 赤井研究室では“光”を使った分析方法(「分光法」といいます)を用いて,大気や水の中で分子がどのように変化していくのかを主に研究しています。皆さんが持っている教科書には環境中での窒素や硫黄,酸素などの物質循環が書かれていると思いますが,実際にはまだわかっていない化学反応機構が多く存在しています。そこで, 1 種類から数種類の分子だけ取り出して,その分子がどのような条件で反応して,何がどれくらい生成するのかを詳細に研究しています。例えば,オゾンや二酸化窒素によって,“海の匂い”の成分である硫酸ジメチルが酸化されて硫酸(成長して硫酸エアロゾルなどになります)になっていく反応メカニズムを詳細に解析しています。

主な担当授業科目とその内容

 中学や高校の「化学」における無機化学は重要な反応や性質を暗記することがメインになっていると思いますが,元素は 100 種類以上あり,すべての性質や反応などを覚えるということは不可能です。そのため,大学で学ぶ「無機化学」は元素を系統立った法則に則って,なぜそのような性質が発現するのかを理解することを目的にしています。こうした学習は様々な環境の中で元素がどういった形態をとっているのかを考えるうえで必要になります。また,酸 - 塩基中和反応や酸化還元反応といった分析手法の基礎原理についても学習します。「水溶液化学」では,水に溶ける物質と溶けない物質の違いは何か?ということについて学びます。物質の水への溶けやすさは,濃度や温度,電位など複数の要因に依存するので,様々なグラフの読み方や“平衡”について講義していきます。この講義内容を理解すると,複数の元素が溶けた水溶液から望んだ元素だけを取り出す方法や,水に溶けた有害な分子やイオンを除去するにはどういった方法が効果的であるのかがわかるようになります。

環境資源科学科を希望する受験生に向けて

 最近では環境を学べる大学は数多くありますが,理学や工学の一部分であるか,自然保護だけを目的としているような学部学科が大半であるように思えます。環境資源科学科(環資)は保護・改善すべき「環境」と人間活動には欠くことのできない持続利用可能な「資源」について,微小な分子レベルから地球環境までを包括的かつ専門的に学べる特徴ある学科です。環資は教育だけでなく学術的な研究活動も盛んなため,大学や公的研究機関の研究者として活躍する卒業生も多くいます。実は赤井も環資の卒業生で,他大学で研究員・教員を経て農工大の教員となりました。学生時代は詰込過ぎることのない適度なカリキュラムだったおかげで,興味あることを図書館で調べてみたり,アルバイトやサークル活動を行ったりと,楽しく充実していた記憶があります。また,キャンパスのある府中市は治安が良く,公共施設も充実していてとても暮らしやすいです(一人暮らしでも安心です)。環資の良い点(個人的な感想です)は今も昔も学生と教員の垣根が低く,赤井は 1 年生のころから色々な研究室に押しかけては,当時の先生方(現在も多数在籍されてますが)に遊んで(知的好奇心という意味ですよ)もらっていました。皆さんも環資に入学したら,ぜひ研究室に遊びに来てください。

より細かい情報

研究室 website http://www.tuat.ac.jp/~akain/index.html
研究室名 分子物理化学研究室
居室 小金井 BASE 本館 3 階 329 号室
専門分野 分子分光学,物理化学,素反応解析,光化学,低温化学