梅澤 有(うめざわ ゆう) 

教授(生物圏変動解析分野)

研究室で行っている研究の内容

 海洋や河川などの水圏を中心に、それら生態系と物質循環の観点で密接にリンクした都市域、陸域生態系も含めた広いフィールドを対象に、元素の循環と、その不均衡で引き起こされる生態系の変化について研究を行っています。研究のトピックは、数年で常に変化をしていますが、現場で得られたデータの解釈に必要な実験系を立てて検証し、それを現場データ解釈にフィードバックするという姿勢を重要視しています。例えば、魚類や甲殻類などの飼育実験を行って食べ物と筋肉中の化学成分の関係性を調べて、より複雑な現場環境における食物連鎖網とその変動要因を明らかにする研究を行っています。また、海草藻類の培養実験・分解実験などで得られた生元素の移動量をもとに、海草藻場やサンゴ礁の生態系機能が、人間活動や気候変動などの環境変化に応じてどのように変化していくのか明らかにする研究を行っています。さらに、科学や自然現象の面白さを子供たちや社会に伝えていくことに興味をもって進めています。

主な担当授業科目とその内容

 1年生の前期は、「地球化学」の授業を分担しており、同位体科学の基礎から、安定同位体比の生態学・水文学・物質循環学等への応用について講義を行っています。後期の「地圏環境学」では、地球表層の地形・地質構造の生成過程から、それが地下水や河川水の水質、更には水圏生態系の生物相に与える影響について、自然科学のダイナミズムを伝えていきます。堆積物―水柱境界層の研究や、海草藻場・サンゴ礁・干潟などの底生生態系の研究についても、それら生態系の再生問題も含めて扱っていきます。2年生後期の「地球環境地学」では、生命と地球の共進化の過程や、海洋の物質循環について、最新の成果を交えて講義を行います。これらの座学の授業内容をベースにして、環境資源科学実習II(2年生)や地学実習(3年生)にて、お目にかかることになります。

環境資源科学科を希望する受験生に向けて

 野山の植生や、水圏の生物の現存量・種分布には、温度、湿度、塩分などの物理環境に加えて、窒素やリンなどの生元素や、鉄や亜鉛などの金属元素の存在・供給量が大きく影響してきます。これらの生元素や金属元素は、大気圏―水圏―地圏の間を、水循環や食物連鎖、また人間活動によって駆動され循環しています。つまり、身の回りで目にする現象と、その変動には、実は、多様な時空間スケールでの事象が複雑に絡み合っているのです。環境資源科学科では、学際的な幅広い視点をもって、身の回りの事象の様々な変化を捉え、そのメカニズムを明らかにすることができるよう、授業や実習を通して学んでいくことができます。問題意識をもって主体的に行動・学習していく気概をもった皆さんと一緒に研究活動を出来ることを楽しみにしています。

より細かい情報

研究室website   http://yuumezawa.com/index_j.htm
研究室名 水圏科学研究室
居室  2号館1階120室
専門分野  生物地球化学、生元素動態、海洋化学