分科会8
ろう×LGBTQ+サポートブック(vol.3)
発行記念会
山本芙由美、悦、Takemi、ナオ、のぞみ、ともこ、よっちゃん
2月4日(日) 13:30~15:00
現地会場とオンラインのハイブリッド
手話通訳/日本語字幕/アーカイブあり
手話通訳/日本語字幕/アーカイブあり
内容
2024年2月に「ろう×LGBTQ+サポートブック vol.3」が完成するにあたり、サポートブックのお披露目をする分科会。
2013年に「ろう×LGBTサポートブック」第一弾、2018年に「ろう×LGBTQサポートブック」第二弾が発行され、今回が第三弾となる。
第一弾から10年の節目となる今回のサポートブックには、当事者、支援者のどのような想いが込められているのだろうか。
製作に携わった、ろうLGBTQ+のメンバーや手話通訳者がこれまでのサポートブックの内容や、ろうLGBTQ+の運動を振り返りながら語り合う。
現地参加者には、できたてのサポートブックを配布予定。(この冊子は、LUSH JAPANからの助成金事業です。)
サポートブックのウェブサイトも公開中です。
登壇者情報
山本芙由美(やまもと・ふゆみ)
Deaf LGBTQ Center代表。シスジェンダーのクィア。兵庫教育大学大学院博士前期課程修了。日本財団の支援を得て2015-2017年ギャロデット大学(米国)で、ろうLGBTQ 学を専攻、修了。現在『ろう×LGBTQ+サポートブック』の発行や講演、原稿執筆、ろうセクシュアルマイノリティ全国大会運営(第5回大会まで)、東南アジアろうLGBTQ会議等、幅広く活動。
悦(えつ)
大学中退/30代双極性障害診断/40代ADHD傾向判明/ビアン/ろう者/♀/日本人/呑兵衛(ハイボール)/トランスヴェスタイト(男性的な服装)/手話/日本語/過干渉母親/2003年~彼女と暮らす/2022年ろうあ運動再開/2021年秋~釣り趣味/2023年~盲ろう介助通訳/勉強好き/2023年9月~寄宿舎指導員
Takemi(たけみ)
デフレインボー(兵庫)メンバー。ろうトランス女性。ろうLGBTQサポートブック第2号制作から関わっている。2号、3号共に手話表現モデル出演。
ナオ
香川県在住。珈琲店のバリスタ。ろうゲイ。第3号では当事者のインタビューと手話表現モデルに出演。
のぞみ
大阪出身。叔父(父親の弟)夫婦がろう者で、幼少期から母親に連れられて手話サークル等に通い、ろう者の中で育つ。金蘭短期大学国文科卒業。その後、資生堂化粧品販売員として働き、結婚・出産。2011年、手話奉仕員養成講座でろう講師から誘われ盲ろう施設で働き、盲ろう講師の通訳にも関わる。2013年、第1回「セクシャルマイノリティと医療・福祉・教育を考える全国大会」(略称「セクマイ大会」)から手話通訳として参加。2017年、大阪で開催された第3回「ろう×セクマイ全国大会」ではスタッフとして情報保障のコーディネートを務める。他、セクマイ関係の講演・イベントなどの手話通訳として関わる。
ともこ
某社会福祉法人で手話通訳派遣コーディネーターをしていた2013年に塩安九十九さんや山本芙由美さんと知り合い、また家族に当事者がいることから本大会とろうLGBTサポートブック作成に初回から参加。同時にLGBTに関する講座、講演会、企業内研修、成人式、レインボーフェスタなどで通訳も担当。フェスタのステージ上で突然耳に飛び込んできた「フジョシ(腐女子)」という言葉に目が泳いだ経験アリ。
現在、病院で手話通訳者として勤務する傍ら、盲ろう者通訳介助や知的障がい者への音楽指導も行い、色々な分野で「『伝える事』の難しさ」と「『通じ合えた時の充実感』」の間を行ったり来たりしている。
よっちゃん
京都府出身→大阪市住まい。ノンバイナリー男性・ゲイ。幼少時代から『男らしく・女らしく』の言葉が自分のアイデンティティに抵抗感を持っていた。
関西LGBTQ手話サークル「L*Sign(ラブサイン)」現代表者
2014年、大阪にあるLGBTQ手話サークルに参加してから、さまざまなLGBTQイベントに参加する機会が増えた。
ろうセクシュアルマイノリティ全国大会第1回~第5回、ろう×LGBTQサポートブック第2弾からモデル出演。
関連サイト
実行委員からのおすすめのひとこと
前号が発刊されてから6年目の今年2024年、ろう×LGBTQ+サポートブックの3号が発刊となります!会場では無料配布を行います!
サポートブック1号が発刊された2014年当時、手話単語として「LGBTQ」が公式に認知されたり、ろうLGBTQがテレビで取り上げられる日が来ると思っていた人は、ほとんどいなかったでしょう。この10年、ろうLGBTQ+の運動は飛躍的に広がり、力強く前進しました。2014年の1号、2018年の2号を振り返りながら、今回の3号の紹介をします。出演は、ろうLGBTQ+であり、3号の手話表現のモデルとして協力してくれた皆さんと、長年ろうLGBTQ+の運動をいっしょにやってきた手話通訳者の皆さんです。セクマイ大会第一回目が設立の契機となった「ろう×セクシュアルマイノリティ全国大会」(大阪)の運営メンバーだった演者から当時の様子を聞いたり、この10年の自分自身のセクシュアリティや暮らしの変化なども語って頂きます。
運動が進んできて、全国組織も立ち上がったことは大きな進展ですが、まだまだ情報格差、地域格差、ろう組織の古い体質などなど課題もあります。また、2025年のデフリンピックのホストである日本は海外からのろうLGBTQ+の選手たちをどのように歓迎できるのでしょうか。さらに、いまだに「福祉」や「支援」としてしか認識されない、手話という「言語」の課題とは?にぎやかな分科会になること間違いなし!当事者はもちろん、聴者こそ参加してほしい分科会!
冊子では割愛されたインタビューも全文で読めます♬ 且つ、過去のサポートブックのデータもダウンロード可能!3号のダウンロード版も準備中です。手話が動画で見られるので便利。
報告文
ろう者5人、手話通訳者2人の計7人が登壇するという、セクマイ大会史上最多の演者数でしたが、混乱もなく、司会の悦さんが素晴らしい取りまとめをしてとても充実した分科会になりました。
1号発行については、当時のろうLGBTQの孤立や情報のなさ、カミングアウトのできなさから、当事者に「ひとりじゃないよ」と呼びかける要素が強かったが、2号になると手話通訳者への教育という側面もでてきて、より取り組みや発信が広がっていく変化が見られました。その間、セクマイ大会を発端にろう×LGBTQ全国大会が各地で開催されたのも大きな前進でした。大阪大会でスタッフをつとめた演者が当時の盛況ぶりを振り返ったり、手話通訳者の立場から関り方について言及がありました。ろうLGBTQのムーブメントと並行して、個々人の状況の変化、トランジションやパートナー関係なども振り返ることで、ろうLGBTQ+の置かれている状況が改善されてきたことが感じられました。
手話通訳者からも、2000年前後には手話本の後ろに「袋とじ」として付いていた性に関する表現も、今ではオープンに学べるようになってきたこと、手話通訳者の中でもLGBTQに関する手話を学ぼうと積極的な人が増えたことがあげられました。一方で、大学で学ばなければ手話通訳士になれないアメリカなどと比べると、日本は手話を言語として学んだり専門性を高めたりする制度になっておらず、福祉やボランティアの域を出ないレベルに留まることの懸念もあがりました。
先月、2024年1月に刷り上がったサポートブックは、注文が相次ぎ、ほとんど在庫がなくなってしまったそうです。会場にもサポートブックを300部用意していましたが、大会終了時には残り20部に!多くの方々が、関係者、行政などに配りたいということで持って帰ってくださいました。LGBTQ+に関する手話表現を知りたい、ろうLGBTQ+の情報を得たい、というニーズは3号でも衰えません。また、全日本ろうあ連盟発刊の季刊みみ第182号でもLGBTQ+特集が組まれたため会場で販売しました。
Q&Aもたくさんの質問がよせられ、関心の高さがうかがえました。ハイブリッド分科会ということで、会場にも参加者が10名程度来られて、その中にはろう者の方も複数おられました。分科会後の交流会では、演者7人はもちろん、参加者のろう者も聴者も混ざって輪になり、手話通訳を通しながら様々な感想・意見を交換して交流できました。
■参照サイト
【参加者の感想】
聾LGBTQの皆さんの長年にわたる活動を伺い、希望を持てる話を聞けたように思いました。まだまだ、孤立した当事者が人々がいることは否めませんが、明るい未来を実感できた会でした。
サポートブックの歩みと、環境の変化(まだまだのところはあるけれど)を感じました。分科会企画のみなさんをはじめ、スタッフさん、ボランティアさんのご尽力に感謝もうしあげます。
サポートブック、1から3までの目的や改善点などきけてよかったです。
オンラインもいいですが、対面で人と会える楽しさ、見やすさ(オンラインは手話をみるのに疲れる)もあり、行ける時はいきたいです。他のとこは、情報保障や手話言語がない、ダブルマイノリティの仲間がいないなど壁が高く、情報も入りにくいので。
毎年この大会を楽しみにしています。本当に有意義な時間をありがとうございました。
情報保障を本気でやっている場として尊敬します。もっとこういう場が広がってほしいです!