分科会5
ネットとメディア・リテラシー
(セクシュアルマイノリティの視点から)

堀あきこ(関西大学他非常勤講師)

2月3日(土)13:30~15:00

オンライン
ライブビューイングあり
手話通訳/日本語字幕/アーカイブあり

内容

SNS などで差別的な書き込みを見ることは少なくありません。どうしてネットではこのようなことが頻繁に起こるのでしょうか。

デマや差別扇動する情報に溺れてしまうことから身を守るために、メディア研究の理論から構造を理解し、情報を批判的に読み解く必要を考えます。

登壇者情報

堀あきこ写真

堀あきこ(ほり あきこ)

関西大学他非常勤講師。専門はジェンダー・セクシュアリティ、メディア文化。
主な著作に『ジェンダーで学ぶメディア論』(共著, 2023, 世界思想社)、『BLの教科書』(共編著, 2020, 有斐閣)、『欲望のコード―マンガにみるセクシュアリティの男女差』(単著, 2009, 臨川書店)。
ほかに「近年のインターネットを中心とした「トランス女性排除」の動向と問題点」(2023, 『解放社会学研究』No.36, 解放社会学会)「だって、ネットの話でしょ?―インターネットの差別に抗う」(2022, 『シモーヌ 特集:インターネットとフェミニズム』VOL.6 , 現代書館)など。
きんきトランス・ミーティングの運営スタッフをしています。

企画者からのメッセージ

こんにちは、実行委員のいのもとです。

分科会「ネットとメディア・リテラシー(セクシュアルマイノリティの視点から)」をご紹介させていただきます。

メディアリテラシーは、いま、日本で生きていくためには必須のスキルだよね、って思っているのですが、セクシュアリティとメディアリテラシーの両領域について専門性を持っていて、がっつり語れる方を見つけることができず、いままで大会で分科会を企画することができませんでした。

昨年、分科会「LGBTQとBL」にご登壇いただいた堀あきささんに出会うことで、セクシュアリティとメディアリテラシーの両領域について専門性を持った研究者をお迎えして、今回の企画を実現することができました。

今回は、特に、いま嘘やヘイトが横行しているネットにも触れていただきました。

この分科会では、メディアリテラシーを「メディアとは何なのか?」「リテラシーとは何なのか?」から紐解き、「ネットの特性とは?」「ヘイトスピーチと「表現の自由」の問題に至るまで、丁寧に論考・解説いただきます。

現代社会で生きる上で、必須の講座です。ぜひ、ご参加ください。

報告文

セクシュアルマイノリティに関わるメディアリテラシーについては、とても大事なテーマであり、以前より分科会の実施を考えておりましたが、セクシュアリティとメディアリテラシーを十分な専門性を持って語れる方が必要でした。

今回、堀さんにご登壇いただき、分科会を開くことができたのは、まことにうれしい限りです。

分科会では、メディアリテラシーとは何なのか、必要とされるクリティカルな考察とは、といった基本的なお話から、ネット時代になって何が変わったのかといった、いま日本で起きていることの本質を解き明かすお話まで、わかりやすく解説いただきました。そして、「ヘイトスピーチと表現の自由」といった、うっかりすると悩みがちなトピックについても、明快に解説いただきました。

Q&Aでは、参加者の皆様からたくさんの質問をいただき、時間の許す限りお答えいただきました。

分科会後の交流会では、多くの参加者が交流するとともに、堀さんにもご参加いただき、参加者からの質問にお答えいただきました。


【登壇者からのメッセージ】

堀あきこさん

メディアリテラシーをテーマに、ネットの情報にはマスメディアの情報とは違う構造があること、そうした構造を知ることは、自分が「情報の波」に飲み込まれていないかセルフチェックするのに役立つ、というお話をしました。また、「表現の自由」と対立するものとして捉えられがちなポリティカル・コレクトネスは、多様な人びとに表現を届けるための基準であるということにも触れました。

ただ残念ながら、こうした知識は、現在、多くの人を傷つける言説がSNSにあふれていることへの直接的な対処にはなりません。とはいえ、知識はヘイトスピーチや悪質なデマに抗うための基礎体力になると私は考えます。これだけしんどい状況だからこそ、基礎体力は大切じゃないかと思うのです。でも、しんどさを感じたときはSNSから、スマホから離れることが何より大切。疲れ切ってしまわないよう、自分の心身を労うことも抗うためには必要なことだからです。


【参加者の感想】