書影『「地方」と性的マイノリティ』

分科会7
「地方」における性的マイノリティの実践
東北6県の事例から

杉浦郁子、前川直哉

2月4日(日) 10:30~12:00

オンライン
ライブビューイングあり
手話通訳/日本語字幕/アーカイブあり

内容

 セクシュアルマイノリティの当事者会や団体についての研究は、東京を中心に語られてきた。フィールドワークやインタビュー調査でも、ゲイバーなどが集まる繁華街の特徴をつかむことで、セクシュアルマイノリティの課題を捉えようとしてきた傾向がある。またセクシュアルマイノリティ当事者であっても、過去のセクシュアルマイノリティの実践の歴史を軽んじ、正しく認識していない現状がある。

 本分科会では、「地方」、主に東北6県におけるセクシュアルマイノリティ当事者会の実践の蓄積を知り、各地で豊かな当事者活動があった/あり続けていることを再認識する機会とし、分科会参加者が「地方」におけるセクシュアルマイノリティ当事者会の歴史的認識を得ることを目的とする。同時に「東京に出なければ生きられない」わけではなく、その地域に根差した活動や団体の在り方を知り、主に「地方」に住む参加者の安心感の醸成に寄与することを試みる。

登壇者情報

杉浦郁子(すぎうら いくこ)

 1969年生まれ。和光大学現代人間学部教授。専門は社会学、ジェンダー/セクシュアリティ研究。最近取り組んでいる研究テーマは「日本のレズビアン・コミュニティの歴史」「性的マイノリティの市民運動と地方」「性的マイノリティのコミュニティ資料のアーカイビング」など。

 前川 直哉(まえかわ なおや)

 1977年生まれ。福島大学教育推進機構准教授。専門は社会学、ジェンダー/セクシュアリティ研究。主な著書に『男の絆:明治の学生からボーイズ・ラブまで』(単著、筑摩書房)、『「男性同性愛者」の社会史:アイデンティティの受容/クローゼットへの解放』(単著、作品社)、『「地方」と性的マイノリティ:東北6県のインタビューから』(杉浦郁子さんとの共著、青弓社)など。

関連資料、関連サイト、参考文献

企画者からのメッセージ

「地方にLGBT当事者会はない」「地方より東京の方がLGBTの理解が進んでいる」

そんなことはありません! 私がLGBT当事者会に参加し始めた2000年には、既に全国各地でさまざまなLGBT当事者会が活動を行っていました。この蓄積をなかったことにしたくない!という思いで、和光大学の杉浦郁子先生、福島大学の前川直哉先生の著書『「地方」と性的マイノリティ:東北6県のインタビューから』の内容を発表いただきます。

「地方」にいるから孤独なのではありません。「地方」にいるから生きづらいわけでもありません。「東京」が優れているわけでも、もちろんありません。その土地に根差した当事者会の歴史を知り、今後もそれぞれの豊かな実践を積み重ねるべく、全国の皆さまにご参加いただきたく思います。