書影『揺さぶる経営学』

分科会4
企業のダイバーシティ施策を問い直す
‐LGBTQと生産性の経営学

柳淳也

2月3日(土)10:30~12:00

オンライン
ライブビューイングあり
手話通訳/日本語字幕/アーカイブあり

内容

 企業がダイバーシティ施策(D&I、DE&I、DEI&Bなど)に取り組む目的として、労働人口の減少、顧客の多様化、自社のプレゼンスアップ、新しい価値やサービスの提供、優秀な人材の確保、イノベーションの創出、世界での競争力の獲得や業績向上、生産性向上といったメリットが挙げられる。

 しかし現行のダイバーシティマネジメントには、人権問題としての認識、文化やアイデンティティの尊重といった側面が見落とされており、資本主義社会に生きる私たちの尊厳が守られる施策としては、数々の問題があると考えられる。

 ダイバーシティ推進が叫ばれる昨今だからこそ、このような課題に正面から向き合い、私たちが真に生きやすい社会設計を再考する必要がある。そのため、本分科会では次の3点を目的とする。

①Critical Management Studiesの概要を知り、経営学に関心のある層にオルタナティブな視点を提供する。

②企業関係者に現行のダイバーシティ施策の問題点を伝え、施策や実践を再考する機会を提供する。それによって参加者がダイバーシティ推進施策に関して新たな視点を得ること、現行のダイバーシティ推進施策の問題点を認識し、変革を試みる一歩を踏み出すことを可能にする。

③大学新卒一括採用がスタンダードとされる日本社会において、そのレール以外の生き方があることを示し、参加者の安心感の醸成に寄与する。

登壇者情報

 柳 淳也の写真

 柳 淳也(やなぎ じゅんや)

 京都大学経営管理大学院特定助教(哲学的企業家研究寄附講座)。専門は、クリティカル・マネジメント・スタディーズ。大阪市立大学経営学研究科後期博士課程修了(経営学博士)。2014年に任意団体にじいろらいとを設立し、関西を中心にLGBTQに関する子ども向け授業や教員研修を実施。近年は、大学や企業でのダイバーシティ研修、自治体向けの職員研修などにも携わっている。

 単著に『揺さぶる経営学:LGBTQから問い直す企業の生産性』(中央経済社)、論文に「NPOのミッション・ドリフトに抵抗する周縁化された主体:LGBTQプライドパレード組織の事例分析」(2023, 単著, 『組織科学』)等がある。大阪府立大学高等教育推進機構にて特認助教を務め、2022年より現職に至る。

企画者からのメッセージ

企業のダイバーシティ施策の重要性が注目されています。しかし現行の施策の問題点はなかなか指摘されていません。

本分科会では、経営学博士である柳淳也さんより、MBAではあまり学ばない「クリティカル・マネジメント・スタディーズ」をご紹介し、経営学に関心のある方にオルタナティブな視点をご紹介します。その上で現行のダイバーシティ施策の課題を洗い出し、「私たちが本当に生きやすい社会とは何か?」をあたらめて考える機会とします。

企業でダイバーシティ施策を担当されている方、世間からの「生産性」発言に傷付いた方、働く自分を想像できない方に、共に次のステップへ進む勇気を持っていただける分科会です。ぜひご参加ください!