師匠の鍼灸院「北京堂鍼灸ふじみの院」の出入り口には、
「ハリの後は禁酒です」
と書かれた紙が貼ってあります。
当院も同じ方針です。
鍼を受けた後は、お酒を避けてください。
なぜこんなお願いをするのかというと、
酒は鍼の効果をダメにするからです。
お酒好きには、1日の禁酒も大変だと思います。
なので、ちゃんと理由を説明してご納得いただくのが、今回このコラムの目的になります!
どうぞ、お付き合いくださいm(_ _)m
ところで、その前に「酒は百薬の長」の続きを知っていますか?
「酒は百薬の長、されど万病のもと」
前半の「酒は百薬の長」は、約1900年前の『漢書』に記された、酒を重要な産物として表現した言葉で、実は医学の言葉ではありません。
一方、「されど万病のもと」は、後の時代(江戸時代くらい)に付け加えられた、経験則から生まれた戒めの言葉です。
現代医学では、「適量のお酒は健康に良い」という考え方は以前より見直されています。
飲酒量が増えるほど、いろいろな病気のリスクが高まることも分かっています。
ちなみにWHO(世界保健機関)は、「健康にとって安全な飲酒量はゼロ」という立場です。
以前の「適量のお酒は身体に良い」という考え方は見直され、健康のために、あえてお酒を飲む理由はなくなりました。
前置きが長くなりました。
では、ここからが本題です。
それは、筋肉への血流が悪くなるからです。
鍼は、あえて筋肉に目に見えないほど小さな傷をつけます。
身体は「修復が必要だ」と判断し、その場所を修復しようと血液を集めます。
人体に備わっている治癒システムが発動すると、酸素や栄養が送り込まれ、傷んだ組織の修復が始まります。
同時に、痛みの原因物質や老廃物も回収されていきます。
鍼は、身体が本来持っている修復力を利用した治療です。
そこには、血流がとても重要なんです。
お酒を飲むと、
「血行が良くなった」
「身体が温まった」
と感じます。
これはアルコールに血管を拡張させる作用があるからです。
皮膚の血管も広がり、そこへ血液が多く流れるので温かく感じます。
つまり、身体が温まったのではなく、温かく感じているだけです。
実際は身体の熱を外へ逃がして、後ですっごい冷えます。
さらにアルコールには利尿作用があります。
血管が広がる&脱水が起こるので、血管の中を流れる血液が減り、血圧が下がります。
イメージとしては、ホースを太くしたのに、水の量が少ない状態です。
中を流れる水の勢い(圧力)が弱くなるのは想像できますよね。
血圧が下がると、身体は生命維持の優先度が高い脳や心臓への血流を保とうと頑張ります。
血流が足りないときは、心臓をいつもより強く、早く働かして補います。
また、血流を保つために、血管を細くして圧を戻そうとします。
逆に、筋肉や皮膚など、生命維持の優先度が低い所へ送られる血液は減ってしまいます。
そのため、筋肉へ十分な酸素や栄養が少なくなり、疲労物質や発痛物質も回収されにくくなります。
この状態は、筋肉の修復環境としては最悪なんです。
以上が、鍼の後にお酒を飲んでほしくない理由でした。
せっかく、鍼の刺激に耐えたんですから、少しでも多く効果を出したいですよね。
私も鍼が効いてくれると嬉しく、励みになるんです。
鍼を受けた日は、お酒は控えていただければ幸いですm(_ _)m!!
※コーヒーやお茶に含まれるカフェインにも利尿作用はあります。
ですが、お酒は血管拡張と脱水が同時に起こるので、筋肉への血流という点では影響が大きくなります。
もちろん、ノンカフェインで過ごしていただくのが一番です。
BON鍼灸院が施術後に水分補給をおすすめしているのも、筋肉への血流を確保し、回復を促すからです。