「コリって、一体何なんですか?」
施術中によく聞かれるこの質問に、今日は本気で答えてみようと思います!
筋肉が凝る原因は、大きく分けて2つあります。
どちらも筋肉の酸素不足が原因でコリへと変わります。
① 「動かさなすぎ」による血管圧迫
デスクワークなどで同じ姿勢を続けると、姿勢を維持するために特定の筋肉が絶えず収縮して硬くなります。
すると、筋肉内の圧力が上昇し、逃げ場のない血管をギュッと押し潰し血流(酸素供給)が滞ってしまいます。
② 「使いすぎ」で酸素供給が間に合わない
スポーツや重労働で筋肉を激しく動かし続けると、筋肉は大量の酸素を消費します。
負荷が強すぎたり、休息なしで使い続けたりすると、酸素の補給が消費に追いつかなくなります。
どちらのケースも、筋肉の現場では「酸素不足」という事態に陥っています。
筋肉の中では、繊維のようなタンパク質が働いています。
筋肉が伸び縮みする仕組みを少しご説明しますね。
① まずはカルシウムイオンによる「合図」
脳から「動け!」という指令が届くと、筋肉内にストックしてあるカルシウムイオンの袋からカルシウムイオンが放出されます。
そのカルシウムイオンが筋細胞内の繊維状のタンパク質と結合して、筋収縮を起こす準備が完了します。
② 筋肉の収縮
細胞内のエネルギーをATP(えーてぃーぴー・アデノシン三リン酸)と言います。
ATPはいわゆる身体の中の燃料になります。
筋肉は収縮時、繊維状のタンパク質を密に縮ませるんですが、その縮ませる運動時にATPを使います。
③ 筋肉の弛緩
密に縮まった繊維状のタンパク質を解くために、ATPを使ってカルシウムイオンの結合を剥がします。
さらにそのカルシウムイオンを袋に戻すのにもATPを使います。
筋肉を弛緩させる方がエネルギーを使うんです。
意外ですよね。
ちなみに、カルシウムイオンを放出する時はATPは不要なんですって。(学生時代、感覚的に納得できなかった笑)
さて、ここで「酸素不足」の話に戻ります。
身体を動かさなかったり使いすぎたりして血流が滞ると、酸素が筋肉まで届きません。
そうするとATP(エネルギー)を十分に作ることができません。
なぜなら、ATPを産生するためには酸素が必要だからです。
そのATPが枯渇すると、筋肉の収縮と弛緩ができなくなります。
特に弛緩の方がATPを消費するので、筋肉が縮んだままになります。
カルシウムイオンを離すためのエネルギー(ATP)が無いため、繊維状タンパク質が縮んだままになる
カルシウムイオンを剥がせても回収するエネルギー(ATP)が無いため、結局繊維状のタンパク質と結合してしまう
つまり、筋繊維が収縮状態から解放されません。
これこそが、初期の「コリ」です。
筋肉が弛緩できない状態が数週間、数ヶ月と続くと、筋肉の周囲にある筋膜(ファシア)や結合組織に異変が起こります。
癒着(ゆちゃく)
酸欠と代謝不全が続くと、筋肉の繊維同士や、筋肉を包む膜(筋膜)がくっつき始めます。これを「滑走不全」と呼びます。
線維化(せんいか)
ダメージを受けた組織を修復しようとして、コラーゲン線維などの「硬い組織」が過剰に増殖します。
コリの「成長段階」
指で触れた時の質感の違いは、以下のように段階分けできます。
初期:一時的なATP不足・筋収縮
パンパンに張ったホースのような「弾力のある硬さ」
中期:血行不良によるむくみと癒着
粘土のように重たく、動きの悪い「鈍い硬さ」
末期:組織の線維化・高密度化
軟骨や石のようにゴリゴリとした、「組織が変質した硬さ」
ひどいコリは、筋肉の中に「弾力のない硬い紐」や「石のような塊」が埋まっているような状態です。
鍼で触れると、ビーフジャーキーのような感じのときもあります。
これらは、酸欠による筋肉の収縮が長引いた結果、組織が「肉からスジ(あるいは腱のような組織)」へと置き換わってしまった状態に近いと言えます。
「使わなすぎ」もしくは「使いすぎ」により、筋肉内の血管が細くなって血流が滞り、筋肉内が酸欠になることが原因となるのは先の通りです。
あんまりコリが硬いので、何か入っているのかな?と感じてしまいますが、筋肉ではない物質が詰まっているとか、血の塊がグミのようになっているワケではありません。
ひどいコリは、酸欠状態が組織を損傷し、筋肉やその周辺が硬い組織に変性してしまったものでした。
コリは、あなたが毎日頑張っている証拠。
でも、筋肉が「自力で緩むエネルギー」を失ってしまったときは、外からの助けが必要です。
鍼を打つと、その刺激に反応して血管がパッと広がり、新鮮な酸素がドッと流れ込みます。
止まっていたATPの産生と供給がされることで、筋肉は「あぁ、やっとゆるめる……」と収縮の解除ができるようになります。
最後は鍼の宣伝みたいになっちゃいましたが、「コリ」の始まりは、血流不足が産んだ筋肉内の酸欠でした。
さらにそこから日が経つとタンパク質が変性してしまい、繊維化様の状態になったものでした。
血流がすべてという本がありますが、結構共感して読みました。
みなさま、どうぞコリを作らず、血流よくしてお過ごしくださいね!