タンパク質は、身体のあらゆる組織と機能を構成する上で必要不可欠な栄養素です。
筋肉、骨、心臓や肝臓などの臓器、皮膚、髪の毛。これらはすべてタンパク質が主成分です。
それだけじゃありません、体内で行われる化学反応を助ける「酵素」や、全身に情報を伝える「ホルモン」、ウイルスなどの外敵から身を守る「抗体」としても機能しています。
タンパク質が不足すると、新しい組織を作れなくなり、代謝、情報伝達、免疫といった生命維持に関わる機能そのものが低下してしまうので、きちんと摂りたい栄養素ですね。
鍼は、凝り固まった筋肉に微小な損傷を与え、身体が本来持っている自己治癒力を引き出します。
これは「ハードな運動によって筋線維が微細に損傷し、それを修復することで筋肉が適応していくプロセス」と同じと言えるほど似ています。
鍼をした後の筋肉は、微小損傷からの修復作業に追われている状態です。
この修復プロセスで主材料となるのがタンパク質です。
修復プロセスのスイッチが入っても、材料であるタンパク質が不足していれば、組織の再生はできません。
成人が健康を維持するために必要なタンパク質の推奨量はだいたい
「体重1kgあたり1g」
例: 体重60kgなら約60g/日
などと言われています。
※疾患によりタンパク質制限のある方はそちらが優先です。
ですが、鍼を受けた日は、この基準よりも多めの摂取を意識してほしいんです。
微小損傷の修復が活発に行われている時期は、通常時よりもタンパク質の要求量(消費量)が高まります。
そのため、鍼当日や翌日は、「いつもの量にプラス15〜20g」(肉類であれば約100g、卵であれば約2個分に相当)を上乗せしての摂取をおすすめしています。
タンパク質は筋肉や内臓の構造を作るだけでなく、血液の「酸素運搬システム」にも関わっています。
鍼を打つと局所の血流が促進されますが、運ばれてくる血液自体に十分な酸素が含まれていなければ、細胞は修復のためのエネルギー(ATP)を効率よく産生できません
この酸素を運ぶ仕組みに、タンパク質が深く関わっています。
赤血球の中で酸素と結合するヘモグロビンは、鉄(ヘム)とタンパク質(グロビン)が結合してできています。
タンパク質が不足すると、酸素を運ぶヘモグロビンを十分に合成できません。
赤血球を作るには鉄が必要ですが、鉄は単体だと毒性があるため、フェリチンという球状タンパク質の中に格納して保存されています。
タンパク質がなければ、鉄を貯蔵することができません。
タンパク質を摂取することは、筋肉の直接的な材料を補給するだけでなく、「修復現場へ酸素を届ける配送システム(血液)」の質を維持することでもあるんです。
ここで知っておいていただきたいのが、血液が出来上がるまでのタイムラグです。
摂取したタンパク質がアミノ酸として吸収され、一人前の赤血球として血管に放出されるまでには、約7〜10日の時間がかかります。
つまり、今日摂取したタンパク質が、酸素運搬を担う赤血球として実際にフル稼働し始めるのは、約1週間後ということです。
細胞の生まれ変わりには一定の物理的な時間がかかるため、継続的な栄養摂取が大切なんです。
日常の買い出しで選びやすい、3つの食材をご紹介します。
アミノ酸スコアが100であり、体内での利用効率が非常に高いタンパク源です。
私は1日2個、ゆで卵で食べてます。
タンパク質に加え、糖質のエネルギー代謝を助ける補酵素である「ビタミンB1」が豊富に含まれています。
代謝効率を高めるため、肉類の中でも非常に実用的です。
野菜類の中ではタンパク質の含有量がトップクラスです。
また、組織を構成するコラーゲンの合成に必要な「ビタミンC」を含んでいるため、肉類や卵と組み合わせることで多角的なアプローチが可能です。
緑の野菜でこの含有量は意外ですよね。
日々の献立の参考に!
タンパク質は一度に吸収できる量に限りがあるため、「毎食こまめに摂る」のが鉄則です。
例えば、朝食は不足しがちですので、「いつもの朝食にプラス卵1個」から始めてみるのはいかがでしょ?
「体に良いなら、たくさん食べれば食べるほど修復が早まるのでは?」と思われるかもしれませんが、実はタンパク質には「貯金」ができません。
一度に処理できる量には限界があり、過剰な摂取は逆に身体の負担になることがありますから気をつけて。
余剰分は内臓疲労を招き、未消化分は腸内環境の悪化原因になります。
代謝には多量の水分使用するので、脱水を高め、血流を悪化させる恐れもあります。
内臓を労りながら効率よく修復を進めてください。
どんなにタンパク質を摂っても、それを隅々まで運ぶのは「水」の役割です。
以前のコラム( お水飲んでほしい)でもお話ししましたが、血流を良好に保ち、栄養を深い筋肉の隅々まで届けるために、こまめな水分補給を忘れないでくださいね。
それから鍼を受けた日は、できれば寄り道しないで、真っ直ぐ帰ってゆっくりしましょう。
美味しいお肉や卵をしっかり食べて、たっぷり眠る。
とてもシンプルですが、これこそが筋肉の修復を促す一番の近道です。
参考になれば嬉しいです!