土質力学13
締め固め
締め固め
同じ土でも間隙比の大きい緩い土と,間隙比の小さい締まった土とでは,力学的な違いは顕著です.コンシステンシー限界や透水性,圧密特性を測る時は,複数回実験してばらつきを評価しなければなりません.また,剪断試験や圧縮試験によって内部摩擦角や粘着力を測りますが,この時は応力状態を変えながら繰り返し実験を行うことが一般的です.したがって土質実験の際は,土の締り具合を同じにしておく必要があります.一方現場では,出来るだけ乾燥密度が高くなるように締め固めた上で,その上に構造物を載せる必要があります.そこで,突き固め試験によって,最適な土の締め方を確認する必要があります.
突きめ固め試験は,モールドと呼ばれる容器と,ランマーと呼ばれる打撃を与える錘を用います.モールドに土を入れ,ランマーによる上からの打撃で突き固めます.モールドの大きさやランマーの重さは,JISで規格化されていて,土を入れる体積と突き固め回数も決まっています.
同じ含水状態の土であれば,突き固め試験による土の締り具合は同じとなりますが,含水状態が違うと,締り具合も変わります.この締り具合は,突き固め試験後,乾燥させた乾燥密度によって表します.水分を除去しなければ,比較が困難だからです.様々な含水状態で突き固め試験い,横軸に含水比,縦軸に乾燥密度として試験結果をプロットすると,凸型の曲線(乾燥密度曲線)となり,ある含水比で乾燥密度が最大となることがわかります.その含水比が締め固めにおける最適含水比となります.なぜこのような曲線となるかですが,最大乾燥密度となるまでは,水が土粒子間で潤滑効果を促し,それを超えると水自体が空隙を大きくすることになるからです.
突き固め試験による乾燥密度曲線には,ゼロ空気間隙曲線も描くのが普通です.ゼロ空気とは飽和状態の土を意味します.つまり,その含水比で土が飽和状態となったと仮定した時の乾燥密度をプロットしたものです.土粒子の密度ρsが得られていれば,その値は計算できます.ゼロ空気間隙曲線は,含水比が大きいほど乾燥密度が小さくなります.突き固め試験によって得られる乾燥密度曲線は,含水比が大きいとゼロ空気間隙曲線に近づきますが,それより必ず下側にプロットされます.
乾燥密度曲線は,土粒子の粒径分布によって大きく異なります.砂質土は粘質土に比べて含水比自体少なく,乾燥密度は大きい傾向にありますが,乾燥密度曲線の凸型は尖り,ピークがわかりやすい形をしているのに対して,粘質土は,なだらかな曲線で,ピークがわかりにくい形となります.
さて,土の一軸圧縮強さや支持力について,含水比との関係をプロットすると,最適含水比の時が最大支持力とはならず,最適含水比から若干乾燥側で最大となる傾向にあります.したがって,力学的な最適含水比は,締め固めの最適含水比とは異なることに注意しておかなければなりません.