土質力学8
モールの応力円
モールの応力円
モールの応力円は,応用力学や構造力学でも学んだと思いますが,土質力学でも非常に重要なのでここで取り上げます.
「地盤内部の応力」では,z軸方向の鉛直応力について解説しましたが,土中のある領域での応力状態を考えた時,そこでは,あらゆる方向から応力を受けています.そこで,その応力を三次元座標の各成分で表し,(σ3, σ2, σ1)とします.この図は,問題を簡単にするため,二次元で図示したものです.鉛直成分がσ1,水平成分がσ3に相当します.
水平面では応力σ1に対して剪断力σ3を受け,鉛直面では応力σ3に対して剪断力σ1を受け持つようになりますが,角度がα傾いた斜めの面ではどのような応力と剪断力になるか,それを図解的に解く方法を見出したのがモールです.
モールの応力円では,横軸が応力,縦軸が剪断力として,σ3からσ1を直径とする円を描きます.x軸状のσ3から角度αの線を引き,モールの応力円との交点の座標が,その傾きの面で受け持つ応力σαと剪断力ταに相当するというものです.なぜ,このような円で図解的に解けるかについては,このページの下の資料を参考にしてください.
上のグラフでは,σ1がσ3より大きい状態となっていますが,σ3の方が大きい場合もあります.例えば地表ではσ1がゼロです.逆に,地中深いところほどσ3は大きくなります.
地すべりなどの現象は,地中内部にすべり面が発生して地盤が滑動します.そのすべり面の傾きが測れれば,その傾きでモールの応力円を使って応力σと剪断力τを評価することができますが,すべり面は平面でなく曲面であることが多いので,その解析は単純ではありません.