土質力学6
地盤内部での応力
地盤内部での応力
地中の内部では,重力の作用で応力を受けます.深いほど受ける応力が大きくなるのは,想像できると思います.
この図は,土の断面を模式化したものです.深さDwより下は,地下水に満たされていて,上側の土の単位体積重量はγt,下側の水で満たされた飽和土の単位体積重量はγsatとしています.土の密度はρtで表していました.単位はg/cm3あるいはkg/m3です.今回は応力がテーマですから力の単位であるNを扱います.γは単位体積あたりの力の単位でN/m3です.質量に重力加速度gを乗ずれば力になりますから,ρの単位がkg/m3であれば,γ=ρg で換算できます.
地下水面より上側の点Aで受ける土の応力σは,γtに深さDaを乗じて,σ=Da γt で計算できます.単位はN/m2となり,1m2あたりに受ける力,つまり応力です.
地下水面より下側の点Bでは,地下水面より上側と地下水面より下側に分けて考えます.地下水面より上側は,Dw γtで計算できますが,下側は水で満たされているので,浮力がかかっていると考えます.つまり水の単位体積重量γw分軽くなるりますから,Db ( γsat - γw)
したっがて,σ= Dw γt + Db ( γsat - γw) となります.水の密度を1000 kg/m3とすると,γw=9800 N/m3,9.8 kN/m3となります.
次に土の上に集中荷重P(kN)が載っている時は,どうなるでしょうか?
点Cは,Pの直下ですが,深さzの位置にあります.地表ではPの力を直接受けますが,地中なので単純にPの全てをを受けるわけではありません.土の中の色々な場所でそのPの力をそれぞれに受け止めています.Cから水平方向にrだけ離れたC'においてもPのある部分は受け止めているはずです.C'では斜めに受け止めていますから,Pによって各点では鉛直方向だけでなく,水平方向にも応力が働いていることになります.Pによる応力の増加について,様々な研究者が計算していますが,ブーシネスクの式が最も有名です.
教科書には,ブーシネスクが解いた式を紹介していますが,なぜこのような式に至ったのか,他の文献を調べながら導いてみました.式が多くなったので,LaTexで記し,PDFにしたものをこのページの一番下に載せておきます.球面ごとにPの荷重を受け持つと仮定して解いています.
実際,土の上に載せるのは点荷重ではなく,面積を持つものが一般的ですから,帯状の荷重や,長方形の荷重,そして盛土の形状など特殊な形であっても解けなければなりません.これを式で表すのは非常に複雑なので,代表的な形状ごとに図表から数値を拾って解くことが一般的です.その手法は,教科書を見ながら解けるようになっていれば十分です.