Examples of nurses and nursing students with disabilities
from “I am a nurse: Color me Exceptional !”、『わたしは看護師! ぬり絵 』
障害のある看護師・看護学生たちの事例
"ぬり絵の本" で紹介されている英文記事の日本語要約です。
読んでくださった方、ありがとうございます!
from “I am a nurse: Color me Exceptional !”、『わたしは看護師! ぬり絵 』
障害のある看護師・看護学生たちの事例
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※日本語版のぬり絵では空欄になっている巻末ページに、
英語版では下記事例のURLが紹介されています。
Access date: 18th Nov. 2023
車いすを使う看護師たち:
Nurses who use wheelchairs
ミシェル・クエステッド看護師:
Michelle Quested, RN
2010年に自動車事故に遭い車いす生活となったミシェルは、それでもバーミンガム小児病院での新生児循環器病棟看護師の職を諦めず、管理の仕事を経て2016年に病棟看護師として復帰を果たした。
“根っからの看護師なんですね、自分は。もう心の底から。ほかの職に就いている自分なんて想像できないです。”
“I'm a nurse through and through, it's in my soul. I can't imagine doing anything else.”
(英国の日刊紙“デイリー・ミラー”が主催するプライド・オブ・ブリテン賞のMichelleの受賞記事)
https://www.youtube.com/watch?v=0Pvlv4NnG4U&feature=emb_logo
(同賞のYouTube動画、2017年4/26 公開、約3分)
キャスリーン・ドゥナー看護師:
Kathleen Dooner, NP
多発性硬化症と共に生きるキャスリーンは車いすを使うナース・プラクティショナーで看護教員でもある。
www.cleveland.com/metro/2012/12/kathleen_dooner_doesnt_let_bar.html
(オハイオ州クリーブランドの主要紙:プレーンディーラーのサイト中の
Michael O'Malley氏による記事、2012年12/26付)
パティ・クーンツ看護師、ロベルタ・パルマー看護師:
Patty Kunze, RN, Roberta Palmer, RN
1983年看護学校を卒業したパティは、2009年夫と共に交通事故に遭いT3,4損傷の対麻痺(完全麻痺)となったが、看護師を諦めることなくFacebook上に脊椎損傷の方々のために医療情報を判りやすく提供するページ“The Rollin RNs”を立ち上げ活動している。2015年からはその活動に脊椎損傷者の看護師ロベルタが加わった。
exceptionalnurse.blogspot.com/2019/06/meet-rollin-rns.html
(塗り絵の本の作者:マハディ博士が創設した支援サイトのブログより)
聴覚障害をもつ看護師たち:
Nurses with hearing loss
アリッサ・マイヤーズ看護師:
Alyssa Myers, RN
生まれつき耳が不自由だったアリッサ。彼女は大学で生物学を学んだのち看護師を目指すが看護学校は彼女の入学を認めなかった。しかし医師・看護師として活躍できているろう者と出会ったことで、彼女は夫の協力のもと別の看護学科に再挑戦、卒業後25年にわたり看護師として働いている。
“障害というレッテルを張られ、あれやこれや言われるかもしれませんが、覚悟を持ってあたれば何でもできるものです。”
“People will label you handicapped and say this and that, but with determination, you can do anything."
www.mrt.com/opinion/editorials/article/Big-Spring-resident-nurse-follows-her-dream-7439583.php
(テキサス州の日刊紙:ミッドランド・レポーター・テレグラムのサイトの
Meredith Moriak氏による彼女の記事、2012 年7/16付)
ケリー・ネルソン看護師:
Kellye Nelson, RN, MPH
2歳の時に高度の難聴との診断を受けたケリーは、補聴器の助けを借りつつミシガン大学で公衆衛生の修士号を、ジョンズホプキンス大学で看護学士号を得、現在は同大医学部付属病院と看護学校で看護師・看護教員として活躍中。
“私はこの仕事が大好きです。” 、“とても報われる仕事です。”
“I really enjoy my job,” she says. , “It has been a very rewarding experience.”
https://www.rit.edu/ntid/healthcare/stories/kellye-nelson
(米国、ロチェスター工科大学のサイト内の、聴覚障害をもつ医療従事者紹介のページより)
障害をもつナース・プラクティショナーの事例:
Nurse Practitioners
exceptionalnurse.blogspot.com/2015/10/nurse-practitioners-with.html?spref=pi
モラーグ・マクドナルド看護師(ろう者):
Morag MacDonald, RN, MSW, NP with profound deafness
脊髄損傷、小児科、精神科の各領域で28年間実践を積んできたモラーグは、コネティカット州ハートフォードにあるキャピタル地区精神保健センターでナース・プラクティショナーとして活躍中。ろう文化者である彼女は、音声言語(英語)、英語対応手話、アメリカ手話、ジェスチャーの全てを使ってコミュニケーションできる看護師である。
モラーグは自分の物語を寄稿した本の中で次のように述べている。
“障害のある人はしばしば、様々な状況を経る中で得たスキルや才能を看護の場面にもたらすことができるものです。こういうことは壮健な看護師には起こりにくいことなのかもしれません。”
“Often, individuals with disabilities, as a result of their conditions, bring skills and talents to the nursing table that non-disabled nurses do not."
Maheady, D.C.: Leave No Nurse Behind:, iUnivserse, 2006, p57-65
Chapter 8 The Little Engine That Could : Nursing with Profound Deafness
(第8章 ちびっこ きかんしゃ だいじょうぶ: ろう文化者の看護師)
グレッグ・マーサー看護師(精神疾患):
Greg Mercer, RN, NP with mental illness
成人・老年看護領域のナース・プラクティショナーであるグレッグは、精神疾患と共に生きる看護師。ハーバード大学医学部付属マクリーン病院(精神科)勤務。
“僕はうつ、希死念慮、精神科入院経験から徹底的に学んできた看護師なんだ…”
“I deeply understood depression, suicidality, and the inpatient patient experience..."
カーラ・ピーズ看護師(脳性麻痺):
Carla Pease, RN, NP with cerebral palsy
脳性麻痺をもって生まれたカーラは、准看護師、正看護師を経て大学院で学び、成人・老年看護領域のナース・プラクティショナーとして3年目を迎えている。
“脳性麻痺は私にとっては障壁というよりもむしろ成功への礎になっています。”
“Cerebral Palsy is not my stumbling block, it is my stepping stone.”
てんかん、発作と共に生きる看護師たち:
Nurses with epilepsy
エリカ・レイニー看護師:
Erica Laney, RN
11歳の時てんかんと診断されたエリカは、大発作を経験しつつも看護師として4年の実践を積んできている。現在はフロリダでホスピス・ナースとして勤務し患者さん宅を車でまわっている。
“てんかんで人生が変わってしまうとしても、それは必ずしも悪いことばかりではないですよ!”
“Epilepsy may change your life--but that isn't always a bad thing!"”
exceptionalnurse.blogspot.com/2015/11/for-national-epilepsy-awareness-month.html?spref=pi
ミーガン・クラウス、看護学生:
Megan Kraus, SN
ごく普通の大学1年生のように見えるミーガンには発作性上室頻拍(PSVT)という持病があり、これは突然の急激な心拍数の上昇や場合によっては失神をもたらすこともある。その彼女は産科の看護師をめざして奨学金を得ながらシンシナティ大学で学んでいる。
www.uc.edu/foundation/giving/testimonials/megan_kraus.html
(シンシナティ大学のサイト中の彼女の記事)
自閉症スペクトラム障害(ASD)の看護師:
Nurse with Asperger’s syndrome
アニタ・レスコ看護師:
Anita Lesko, nurse anesthetist, CRNA
50歳になって初めてアスペルガー症候群の診断を受けたアニタはコロンビア大学で看護学修士号を得た認定麻酔期看護師。ASD当事者の看護師として多数の著書・共著書があり、またサポートグループの創立者、熱心な擁護活動家でもある。
“ASDが私に授けてくれている才能に‘レーザー・フォーカス’があります。この力のおかげで、私は極めて長時間、抜群の集中力を持ってひた向きに課題に取り組んでいけるのです。”
“My gift of Asperger disorder gives me the ability to have what I call my ‘laser focus.’ It’s the ability to stay focused on a project for extreme periods of time with total focus and concentration. ”
exceptionalnurse.blogspot.com/2016/07/nurse-with-aspergers-syndrome-is.html
http://www.cdc.gov/ncbddd/autism/features/living-with-autism-spectrum-disorder-anita.html
(米国疾病予防管理センター(CDC)サイトのASDページ内にあるAnitaの記事)
(Anita自身のサイト:擁護活動、自著、ブログ等)
https://www.youtube.com/watch?v=CBcWWl-mE_w
(YouTube動画“Born with Aspergers DVD Promo- Anita Lesko”、2011年12/22 公開、約6分)
介助犬とともに働く看護師たち:
Nurses who use service dogs:
オードリー・デミット看護師:
Audrey Demmitt, RN with vision loss
視覚を失いつつある中、なおも養護教諭でありたくて苦悩したオードリー。その彼女はキャンプ・ナースとして視覚障害者のためのサマー・キャンプに参加し、目が見えなくとも岸登りや乗馬に挑戦する元気いっぱいの少年たちから“やればできる”という姿勢を学び励まされたと語る。
“視覚障害を持つ者のコミュニティで楽しく過ごせた私は、自分も仲間のひとりなのだと悟って、それで障害の受容ができたんです。”
“I enjoyed being part of the visually impaired community, realizing I was one of them for the first time, which helped me accept my disability. ”
exceptionalnurse.blogspot.com/2016/05/summer-camp-nursing-can-be-win-win.html?spref=pi
コートニー・パウエル看護師:
Courtney Powell, RN with dysautonomia
自律神経失調症を抱え介助犬と共に歩むコートニーは、看護学科在籍中、実習先でニットでなくスウェットシャツを着用したかどで一時は退学の危機に瀕したが、弁護士の支援により州最高裁は学校側の主張を退け、彼女は卒業式にのぞむことができた。
“看護学校が私のことを信じてはくれなかった時に、しかもあれだけ沢山の人がおまえには無理だと言う中、私がやり遂げられることを信じて下さった弁護団のみなさんに心から感謝しています。”
“I am so grateful to Mr. Lo for not only believing in me when Mount Saint Mary didn't, but for believing that I could succeed when so many others said I couldn't”
exceptionalnurse.blogspot.com/2015/07/pinned-by-her-attorney.html
四肢の欠損症・障害・切断を経験した看護師たち:
Nurse amputees:
ステファニー・メヒア看護師:
Stephanie Mejia, RN
11歳で発症した脳腫瘍の手術とその後の放射線治療によって左半身に後遺症が残り左手の指も動かせなくなったステファニーは、それでも看護師になる夢を諦めず、ネット検索で本書の作者マハディ博士の支援NPOを探し当て、その理事であるスーザン・フレミング博士の助言を得ることになる。スーザンは、生まれつき左手はないものの30年の看護歴を持つ看護教員。臨地実習に際して、「あなたには患者さんのケアなんてできないはず」と言われてしまったステファニーはスーザンの支援のもと2014年に看護学科を卒業し現在は病棟看護師として活躍している。
www.insightintodiversity.com/an-exceptional-resource-for-would-be-nurses-with-disabilities/
(broken lin、リンク切れ)
(高等教育/職業での多様性を論じる雑誌“INSIGHT Into Diversity”中の、
Nina Rao氏による記事、2015年3/31付)
スーザン・フレミング看護師:
Susan Fleming, RN, CNS, PhD
ステファニーを応援したスーザンは、彼女が教えているワシントン州立大学スポケーン校(WSU)のこの動画でその生い立ちを語るとともに、片手と義手で行う看護スキルを披露してくれている。同僚たちの声や障害・疾患を持つ他の医療専門職の語りも収録されている。
https://www.youtube.com/watch?v=PwbCeOkHXYM
(YouTube動画“The Disabled Nurse: Focus on Abilities”、2011年12/5 公開、約6分)
そのスーザンは、かつて「片手がないあなたは患者の命を危険に晒します」と看護学校から入学を拒まれたことがあったというエピソードを書き記している。
Maheady, D.C.: Leave No Nurse Behind:, iUnivserse, 2006, p28.
ダニエラ・アダムチク・グリフィン看護師:
Danielle Adamczyk Griffin, NP
左腕の肘から先を持たずに生まれたダニエラ。看護学科在学中にある教員から公の場でその片手だけでどうやって看護師になるのかと言われたものの、障害学生支援室や実習先病院の看護部長の応援を得て卒業し、今はその病院で活躍している。彼女が片手で行う様々なスキルを次の動画で見ることができる。病院の看護部長によれば、彼女は患者さんから寄せられる手紙が最も多い職員で、そのことに関連して病院内で賞を受賞したとのこと。
“障害は私にとって、他の皆さんとはちょっと違ったやり方で物事に取り組むチャンスをもたらしてくれる神さまからの授かりものかもしれません 。”
“I feel that my disability is a gift to me because it allows the challenge to do things a little bit differently from everybody else ”(8分27秒付近)
https://www.youtube.com/watch?v=9h8y9WICHu4
(YouTube動画“Danielle, a Nurse with a Disability”、2008年4/6 公開、約10分)
キャロリン・マッキンジー看護師:
Carolyn McKinzie, LPN
自動車事故後2年半の間に十数回の手術に耐えたが結局は右下肢を切断することになったキャロリン。自分が看護師であったことは身体の回復過程では役に立ったが、術前術後の心の試練には対処のすべがなく、一時は家族とも疎遠になってしまった。しかし切断者の当事者たちと巡り逢った彼女は、今は看護師として、ピアカウンセラーとして、また切断を経験した語り部として活躍するようになっている。
“厳しい道のりでしたが、そこで学んだ様々なことが私たちみなの生きがいにつながったと思います。”
“It’s been a bumpy road, but the lessons learned made it a purposeful journey for all of us.”
www.amputee-coalition.org/wp-content/uploads/2016/03/inmotion-22-01-web.pdf
(米国切断者連盟の会誌にキャロリンと彼女の母が寄せた記事: in MOTION, 22(1) , pp.30-31, 2011.)
なおキャロラインはマハディ博士編著のナラティブ集にも自分の物語を寄せている。
Maheady, D. C.: The Exceptional Nurse: ,CreateSpace, 2014, p154-153.
Chapter 13 Tough Times Don’t Last , but Tough People Do: Nursing After a Lower Limb Amputation
(第13章 辛い時間は続かない。辛さがくれた強みは続く:切断を乗り越えての看護)
視覚障害をもつ看護師たち:
Nurses with vision loss:
コリーン・コリンズ看護師:
Colleen Collins, RN
小児集中治療室で14年働いてきたコリーンは網膜色素変性症のため視力を失っていくが、その中でこれからは看護管理者を目指そうと決意し学位を取得、また視覚障害のリハビリテーションセンターでスキルを学び、今は在宅医療機関の受入れ・スケジューリング担当の管理者として活躍している。
“私はフルタイムで働いています。(中略)最高です。”
“I’m working full time (…) It’s great!”
exceptionalnurse.blogspot.com/2015/07/colleen-collins-nurse-with-vision-loss.html?spref=pi
デトラ・バンニスター看護師:
Detra Bannister, RN
視力を失った直後は気が動転してしまい、何をどうしたらよいのか途方にくれたというデトラ。彼女は同じように悩む仲間たちに、アメリカ盲人協会(AFB)が運営するAFBキャリア・コネクトの、特に300業種の約1000人からなる同職種ピア・メンター(看護師、医師、薬剤師、OTを含む)が再就労を支援してくれるプログラムが大いに役立つはずと語っている。
“看護の仕事の大半は目で見てするものですが、と同時に看護は知識集約型の職種でもあります。(中略)だからこそ、このようになってもなお我々は比類ない方法で看護の専門性を発揮し活躍できるのです。”
“For the most part, nursing is a very visual profession but it is also very knowledge based. (…) Therefore, we can still represent the world of nursing in a unique and professional manner.
exceptionalnurse.blogspot.com/2016/04/detra-bannister-rn-with-her-service-dog.html?spref=pi
デトラはマハディ博士編著の本の中で、視覚障害を持つ看護師二人のナラティブに対し自身の経験を織り交ぜた解説を寄せている
Maheady, D. C.: The Exceptional Nurse: ,CreateSpace, 2014, p112-, p170-
鎌状赤血球症の看護師:
Nurse with sickle cell disease:
カサンドラ・ドブソン看護師:
Cassandra Dobson RN, DNSc, PhD
子どもの時、鎌状赤血球症が深刻化し入院に至ったのをきっかけに、彼女は看護師を自分の天職と決めた。と同時に今は大学教授、作家、そして疲れ知らずの擁護活動家でもある。
また彼女はコロンビア大学で奨学金を得て、鎌状赤血球症を持ちその痛みに悩む子どもたちのために、イメージ療法による疼痛管理の研究を行っている。
exceptionalnurse.blogspot.com/2016/09/sickle-cell-disease-results-in-promise.html?spref=pi
(著者マハディ博士創設の支援サイトブログより)
(このニューヨーク・タイムズ誌のサイトでドブソン博士の肉声が聴ける。約2分)
Dobson, C. & Byrne, M.(2014): Guided Imagery for Children with Sickle Cell ages 6-11 in the American Journal of Nursing (AJN), 114 (4), pp.26-36
学習障害を持つ看護師たち:
Nurses with learning disabilities:
ロビン・ブルーノ看護師:
Robin Roe, SN
ディスレクシア(読み書き障害)のあるロビンは、高校時代は配慮が受けられたものの、最初に入った比較的大きな大学では依頼しても配慮が受けられなかった。そこで看護学科への再チャレンジにあたっては、規模が小さいながらも配慮が手厚いドールトン州立カレッジを選んで成功した。卒業後は臨地実習で学んだ病棟の看護師になった。
“学習障害を持って看護学校に来る学生はそう多くありません。授業についていけるよう様々な調整が必要でした。大変だったけど、先生方はいつでも喜んで支援してくださいましたし、配慮についても苦もなく上手に実施してくださいました。”
“Not many people with learning disabilities go into nursing programs. We had to make adjustments, so I could keep up with the classes. It was tough. But the professors were always willing to help and fit my accommodations in really well and easily.”
(ドールトン州立カレッジのサイト:Home> About> News > 2018年12/11付)
https://www.youtube.com/watch?v=AYfXX1Yk17U&feature=emb_logo
(同カレッジのYouTube動画“Dalton State - "It Has Been Rewarding" ”、2018年12/11公開、約2分)
トニ・サッグ看護師:
Toni Sugg, RN
43歳の時に夫の協力のもと、新たなキャリアとして看護の道を選んだ一児の母トニは、その10年ほど前ディスレクシアとの診断を受けていた。最初に通った看護学校は書類の関係で配慮が受けられなかった上に自主退学を求められてしまったが、彼女はいったん看護助手となったのち別の看護学科に入学し、今度は試験時間の延長や静かな部屋での試験実施、テキスト読み上げソフトの使用といった配慮を受け、またインターンシップでは熱意溢れるプリセプターから(テキストでなく)口頭でたくさんの学びを得て、みごと看護師となった。
母国の米国で配慮を受けているディスレクシアの看護学生の事例を探し出せなかった彼女は、配慮が進んでいた英国に注目すると同時に、自ら米国の看護専門職キャリアサイトの中にディスレクシア看護学生のためのSNSを新たに立ち上げたという。
“自らの望みを達成してきた私たちの語りを共有していくことで、ディスレクシアをもちながら学んでいる看護学生さん方が試練を乗り越えていく際欠かせない素敵な直観をいろいろお伝えできるのではないかと思います。”
“Maybe by sharing our stories of success we can offer greater insights into the challenges that dyslexic student nurses must overcome.”
https://minoritynurse.com/author/gabegita/
(米国の雑誌“Minority Nurse”のウエブ上の記事、Toni Sugg看護師自筆、2014年4/25付)
(マイノリティーの看護師・看護学生に焦点を当てている同誌は年間4回、40,000部以上を看護教育機関・病院等に配布、また全米黒人
看護師協会とアメリカ・フィリピン人看護師協会の年次総会などでも配布している。)
ぬり絵に出てくる用語集
1)人工内耳とは、人工臓器のひとつで聴覚障害者の内耳の蝸牛(音を聞く部位)に手術で電極を埋め込んで接触させ、訓練を経て聴覚を補助するもの。
2)増幅器付き聴診器など、聴覚障害を持つ医療職の支援機器等についての資料例;独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構 障害者職業総合センター(編著):サービス産業を中心とした未開拓職域における就労支援に関する研究, より第4章 聴覚障害者に対する医療職への就労支援, pp.109-120, 同センター発行, 2004 https://www.nivr.jeed.go.jp/research/report/houkoku/p8ocur0000000ssp-att/houkoku61_07.pdf
3)アスペルガー症候群(ICD-10)アスペルガー障害(DSM-IV)は、現在は自閉症スペクトラム障害に含められている。
4)麻酔科の看護師:イラストのモデルとなった看護師がもつ米国のCertified Registered Nurse Anesthetist(CRNA:麻酔科認定看護師)資格は、麻酔科医療を実施できる看護師。
5)移植コーディネーターは、臓器移植・骨髄移植などにおいて提供者と移植者の間の橋渡し・調整をする医療専門職のこと。
6)ケース・マネージャーとは、米国で、看護師またはソーシャルワーカーとして患者へのケアの質、医療・支援の継続性、費用の有効性などに重点を置きながら、医療に関する計画立案、調整、モニタリング、評価等を行う職種のこと。
7)教会看護(parish nursing)あるいは信仰共同体看護(faith community nursing)とは、特定の宗教コミュニティ内で信仰を持つ看護師が信仰と看護を統合した実践を行うこと。
8)Safe 'N' Clear社製“コミュニケーター”マスクは口元の部分が透明になっていて読唇を妨げないサージカル・マスク。アメリカ食品医薬品局(FDA)承認済み。
9)鎌状赤血球症とは、ヘモグロビン遺伝の異常に起こる慢性の貧血症で赤血球の形状が鎌状(三日月形)になり酸素運搬機能が低下する。ほとんどが黒人に発症する。鎌状赤血球は壊れやすく、また柔軟性に乏しいため毛細血管を通過しにくく、結果的に血流を遮断してしまい、組織への酸素供給が減って痛みを生じることがある。長期にわたると臓器に損傷を与える。
10)スペシャルオリンピックスは、国際的な非営利のスポーツ組織で知的発達障害のある人の自立や社会参加を目指し、様々なスポーツトレーニングやその成果発表の場としての競技会を提供している。
11)骨形成不全症は、先天性の疾患で骨がもろく弱いことから骨折しやすく骨の変形をきたしやすいほか、目、耳、関節などで様々な結合組織の病状を示す。日本では小児慢性特定疾患に指定されている。