D.C.Maheady 文、S.Nuenke, T.Gili 絵
“I am a nurse:
Color me Exceptional !”
邦題
『わたしは看護師!ぬり絵 』
Independently published, 2019.
多彩な看護の現場で働く多様な看護師さんの塗り絵の本です。
障害や病気からその人を語る…というのは気が引けるのですが(私自身、されたくないので)、
登場するのは、視覚障害、聴覚障害、自閉症スペクトラム障害(ASD)、ディスレクシア、脊髄損傷、二分脊椎症、骨形成不全症、先天性四肢欠損症、脳性麻痺、てんかん、喘息、鎌状赤血球症ともに生きる看護師・看護学生。
塗り絵イラスト、および巻末に、モデルとなった看護師たちの事例(Webページ、動画、支援サイト、書籍)という形で紹介されています。
事例紹介(イラストの基になった看護師たち)の日本語解説はこちら
また、障害を持って働く看護師たちをサポートしてくれている存在・ツールとして、補聴器、人工内耳、ヘッドフォン、特殊な聴診器、口元が透明な医療用マスク、手話、ジェスチャー、車椅子、歩行器、前腕松葉杖、義手、義足、介助犬、パソコンなどが登場します。
障害のある看護師が活躍している職種・職場の場についても、次のような実践例が紹介されています:
病棟看護師(小児科、周手術期ほか)、麻酔科看護師、病院での職員教育担当、患者さんへの教育、看護学校の教員、看護研究者、保健師、養護教諭、在宅看護師、看護管理者(在宅医療機関ほか)、ケース・マネージャー、フライト・ナース、クルーズ・シップ・ナース、移植コーディネーター、医療情報の提供、ホスピス・ナース、信仰共同体看護師、ナース・プラクティショナー(小児、精神、成人、老年、保健センター、そのほか)、テーマパークの看護師、障害者イベント(スポーツ大会、キャンプ等)の看護師、患者会や当事者グループを主催する看護師、障害者援護団体のキャリア支援職、ピア・カウンセラー、メンターなどです。
本書でイラストの彩色を楽しんだあと、巻末紹介にあるネットの映像や写真で実在の彼女たちの姿を見て、さらに想像力を膨らませてみてはいかがでしょう。
ともあれ本書は、「看護師といえば、健康で五体満足で、もっぱら病棟で働く人たち」という見方から、我々を自由に羽ばたかせてくれる絵本だと思います。
イラストを描いているのは、マハディ博士の夫で建築家のトム・ギリさん、ならびに漫画家志望だったご子息をデュシェンヌ型筋ジストロフィーでなくされたスー・ヌエンケさん です。(川端 記)
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