看護学校(入学前・入試・在学中)で差別にあった場合の相談先、あるいは障害のある学生が活用できる奨学金など各種資源の一覧を、高校生にわかる内容でつくりたいと願っています。
学生さんにとっては、自分と同じような状況の仲間がいること、あるいは誰かにどこかに相談できるということすら知り得ないかもしれません。このページにたどりついただけでもすごいと思います。頑張りましたね。
たとえ障害の診断があったとしても、それをどのようなタイミングで誰にどれだけ開示するのか、悩むと思います。どういう合理的配慮が考えられて、それらをどの程度依頼できるか、学校側に説明するのも最初は特に難しいと思います。どういうことが差別にあたるのかも、教員の方、実習先の病院の方にとっても必ずしも明確ではないかもしれません。配慮の例については「合理的配慮 事例集」ページもどうぞ。
さてこのページは当事者の逸話に基づいています。その人は成人後に障害があるとの医学的診断が降り、開示せずに看護学科に入学しました。すでに理系の大学を出て企業で働いた経験がありました。看護学科では3年次の実習に際して困難を感じ、いくつかの領域の先生方と保健室の先生、あと大学の他キャンパスにあった総合相談員の方に診断名を開示して相談しました。家族に余命宣告の下ったがん患者がいたこともあり、保健室では体調の悪い時にベッドで休ませてもらい、また話を傾聴して頂いていました。
臨床実習での開示・相談時は「ただでさえ大変な実習指導中にお手数をおかけしてすみません」と伝えたところ「私たちはプロですから任せてください。あなたが謝ることはことはありません」と言ってくれた先生と、「あなたは看護師には向かない。これは差別ではないが、すぐ辞めなさい」とおっしゃった先生がいたそうです。後者のケースでは実習中ほぼ隔日、実習先からキャンパスに戻るよう言われ、実習にかかわるその領域の教員全員の前、ブラインドを下した夕方の一室で一学生のその日の振り返りをすることとなりました。配慮の求めには「障害のあるあなたを特別扱いはしない」とのことでしたが、これは弁護士・特殊教育学の教授経験者を含む幾人かの専門家の方に伺ったところでは、健常者の学生に要求しない事柄を障害のある学生にだけ課したことで今は法律に反する行為だし、合理的配慮の提供義務違反にもなるようです。他領域の教員の方々や同期生の仲間は当時「最近ため息増えたね。何で?」と気遣いがあったもの、その先生がしたことを正直に話すわけにもいかず(授業では看護師による「障害者の権利擁護」や「患者さんの代弁」を教えていました)ひとり苦笑していたそうです。あなたならどうしますか?個人的には看護教育や施設・教材・制度などのデザインを、自覚なき差別が起こらない工夫を盛り込むようにして、愉しく変えていけたら…と思います。そのためにひとり一人の当事者の経験談が活きると信じます。その一方で経験主義だけで解消できる問題ではない…理論的にも詰めていかなければ、というふうにも考え始めています。ご興味のある方は哲学カフェのページへどうぞ。
さてさて、その領域では学生はとりたかった資格がとれず「自治体の採用年齢を上回る学生を税金を使って実習させるわけにはいかない」が教員の説明でした。(先生も歳はとるのにね。エイジズムのことはいずれ別項で)当人はその資格以上にかけがえのない使命をその先生から頂いたように今は感じているようです。関係修復者(メディエーター)の方が入っていつか建設的な振り返りができるといいですね。本サイトで紹介している米国の障害のある看護学生のナラティブ集(こちら)では、社会人経験を経て周囲の応援を得ながら看護学校にチャレンジした当事者看護師がたくさん登場します。看護学校や実習を受け入れてくださる施設の方々もまだまだ障害・疾患のある看護学生の受け入れ経験は少ないと思います。社会人経験・人生経験を積んできて資源の利用にも長じた看護学生たちが後進のために道を切り開けるといいですね。
前置きが長くなりました。資格試験や採用試験などでの差別、法律相談、当事者の団体等については資源一覧(看護師編)のページも参照してみてください。
すみません、建設途中です。
・全国障害学生支援センター(NSCSD) 学びたいときに 学びたい場所で 自由に学べる社会を実現する
・RANS:看護師養成課程における合理的配慮の実装化に関する研究グループ 発達障害傾向をはじめ特別な支援を必要とする学生への援助
このRANSのサイトではガイドライン・チェックリストをダウンロードできます。
・発達障害傾向にある看護学生の支援ガイドライン(第Ⅰ版)
・発達障害傾向にある看護学生の行動チェックリスト
いずれも一人で読まないで、ご家族、信頼できる知人と一緒に検討できるといいですね。
www.jasso.go.jp/gakusei/tokubetsu_shien/shogakukin/index.html
紛争の防止・解決に向けた大学の対応事例集
https://www.jasso.go.jp/statistics/gakusei_shogai_kaiketsu/index.html
海外には、障害のある医療系学生の会があるようなのですが…
資格試験や採用試験などでの差別、法律相談、当事者の団体等については資源一覧(看護師編)のページも参照してみてください。
・DPI日本会議 DPI障害者差別解消ピアサポート
相談できる内容:(1)障害者差別および虐待(2)合理的配慮 に関すること
発達障害のある看護師・看護学生については、下記の本が参考になります。
同書のAmazon販売ページへのリンク
発達障害のある看護職・看護学生の支援については、この本をぜひ手に取ってみてください。