伊吹山・醒ヶ井方面観察会コース
春日井市役所(7:40)==落合公園(8:00)==春日井IC==養老SA(トイレ休)==関ケ原IC==伊吹山入口==金名水(14.5㎞地点)見学==山頂駐車場・・・西回り観察しながら山頂へ(1377m)周辺観察・・・中央遊歩道・・・駐車場(展望所・東まわり口・昼食)==道の駅「伊吹の里」(休)==近江長岡(天ノ川)==醒ヶ井宿見学(居醒ノ清水・バイカモ・オハツキイチョウ)・・・醒ヶ井駅駐車場―不破ノ関跡他見学==関ケ原IC==養老SA(休)==春日井IC(18:30)==落合公園==春日井市役所(19:00)
七月二十六日、心配していた天気もよく晴れて伊吹山方面の観察会が43名の参加を得て行われた。コースは西登山道から中登山道を2時間をかけてゆっくりと周遊し観察をした。西登山道ではクガイソウ・ウマノアシガタ・アカソ・クサタチバナ・キンバイソウ・リュウノウギク・ヤマガラシ・キオン・イブキトラノオ・ヤマホタルブクロなどを見た。お花畑ではイブキシモツケ・シモツケソウ・メタカラコウ・シシウド・イワアカバナ・キバナノカワラマツバ・イブキコアザミ・ダイコンソウ・ベンケイソウ・キヌタソウ・オトギリソウなどを見た。山頂では一等三角点を踏んで、イブキフウロ・イブキジャコウソウ・イブキコアザミ・ミヤマトウキ・クサフジなどを見た。 醒ヶ井では、居醒の清水を訪ねた。地蔵川沿いには透き通るような美しい水の中にバイカツツジの白い花が咲き始めていた。了徳寺ではオハツキイチョウを、不破の関では関守の屋敷跡を見学した。
シソ科 ウツボグサ
キク科 メタカラコウ
伊吹山山頂
シソ科 イブキジャコウソウ
醒ヶ井宿
御葉附銀杏(銀杏の実を葉面上に付ける)
西行水
不破の関
<資料>
○伊吹山 伊吹山は滋賀県と岐阜県の県境にそびえる1377mの名山。山容は美しく日本百名山の一つ。山野草・高山植物の宝庫として知られ、1300種にもおよぶ多数の植物がみられる。薬草も多く民間薬草として伝えられるものは280種、局方生薬は19種あるとされている。伊吹もぐさの原料となるオオヨモギも全山で見られる。5合目以上に樹木が少なく降雨、霧が多いことがたくさんの草花の命を育んでいる。また、伊吹山には伝説や歴史が多く、太平洋型気候と日本海型気候の混合という特徴ある気候が春夏の伊吹に雨霧をもたらし、冬の伊吹に厳しい多量の雪を運んでいる。
・百人一首に「かくとだに えやは伊吹の さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを」
藤原実方
「伊吹山嶺なる草のさしもこそ忘れじとまで契り置きしか」古今集巻15
・信長がポルトガルの宣教師を招き薬草栽培をさせた当時は3000種というがはっきりしない。現在は外来種が135種ある。
○伊吹山ドライブウエイ
全線17㎞、昭36年4月工事開始、昭40年6月完成「クロソイド曲線」が用いられている。
・入口から2㎞、目覚の滝
・10㎞、上平寺越峠 物々交換が行われていた時代、滋賀県側の上平寺集落からは米を、岐阜県側春日集落からは炭を持ち寄りこの地で交換しあった。明治の末まで続けられた。
・14.5㎞、金名水 石灰岩と粘板岩、輝緑凝灰岩など。地表に石灰岩中を通った地下水が噴き出している。下を見ると笹又、君が代発祥の礫岩(石灰角礫岩)を見て歌を作った。(藤原臣石位左衛門)
・15.5㎞、黒龍神社 地が開いた割れ目を左に入ったところ
・17.0㎞、山頂駐車場 15000㎡の大駐車場
○伊吹山夏の花 7月中旬の山頂に多いのは紅のミヤマコアザミとイブキトラオである。月末の花
盛期に向けて日ごとに花の数、種類が増えていく。オオバギボウシ・クガイソウ・キンバイソウなども美しい花を見せ始める。7月下旬、燃えるようなシモツケソウが山頂一帯に咲き広がる。黄色のメタカラコウ、夏空の青さを映すクガイソウ、積乱雲のようなシシウド。短期間でたくさんの花が咲きそろう。その他、㋆~8月に見られる花としてはニッコウキスゲ・イブキジャコウソウ・イブキフウロ・コオニユリ・ルリトラノオなどがある。
○伊吹山の特色ある植物 石灰岩地を好む植物としてはヒメフウロ・キバナハタザオ・イブキシモツケ・イブキコゴメグサ・クサボタンなど。
伊吹山の特産種としてはルリトラノオ・コバノミミナグサ・イブキタンポポ・コイブキアザミ・イブキレイジンソウなど。
高山性・亜高山性の植物としてはニッコウキスゲ・イブキトラノオ・グンナイフウロ・サンカヨウ・ノビネチドリ・メタカラコウなど。
日本海側に見られる植物としてはイブキトリカブト・スミレサイシン・ハクサンカメバヒキオコシ・オオカニコウモリなどがある。
○伊吹ソバ 伊吹山での栽培は平安時代後期~鎌倉時代。伊吹山中腹に開かれた大平護国寺から始まったといわれる。伊吹山は山岳信仰の拠点で伊吹ソバ栽培の起源と関係が深く、僧侶や修験者が食料を確保するためにそばの栽培が始まったとされる。伊吹山中腹にはソバの白い花が米原・琵琶湖方面から眺められた。
○長岡源氏ホタル発生地(近江長岡駅前)
天野川にかかる天野橋一帯、国の特別天然記念物指定。かつてはホタル合戦まで見えた。 ホタル(息長源氏ボタル) 天野川(かつて息長川)
○息長氏 古事記、日本書紀によると息長依姫を祖とする新羅王9代目開化帝の皇子妃が渡来する。その子孫に帯姫命(神功皇后)や敏達天皇の妃「広姫」を出す。
息長氏は応神から敏達、さらに舒明、天智、天武と深い関係により中央に進出、坂田郡(伊吹山南西)に長く勢力を持ち続けた名族。
○居醒(いさめ)の清水 醒ヶ井の加茂神社に湧き出る名水で、近在の西行水・十王水と共に醒ヶ井の人々にとって欠かせない生活の水であり、旅人の疲れを癒したオアシスの水でもある。
古くは古事記や日本書紀にも登場し、日本武尊が熱病に倒れた時、体毒を洗い流した霊水と伝わる。平成20年、平成の名水百選に選ばれている。バイカモが咲く地蔵川は年間を通じて水温は14度前後で安定し、貴重な淡水魚のハリヨも生息している。バイカモはキンポウゲ科の淡水植物で茎は長さ1~2m、葉は沈水葉で複葉、花弁は5、梅の花に似た、白い小さな花を咲かせ7月下旬~8月下旬が見頃である。「十六夜日記」に「むすぶ手に濁る心をすすぎなばうき世の夢やさめが井の井」読まれている。(阿仏尼(~1283)
○不破の関 古代東山道の関所の一つ。壬申の乱の翌年(673年)に設置された。東海道の鈴鹿の関、北陸道の安発関(後に逢坂の関)とともに三関と呼ばれ、壬申の乱の後からおよそ100年間の間、治安維持のため畿内と東国との間の通行を厳重に監視した。三関から東は東国または関東と呼ばれた。