[視覚]
一般的には、視野の広い範囲を占める整合的運動や奥に提示された運動は自己運動に起因するものとして解釈され、小さい領域のばらばらな運動や手前にある運動は物体・対象の運動として知覚される。このようにして視覚情報から生じる自己運動感覚のことをベクションと呼ぶ。
狭義には頭部運動にともなって生じる網膜像の変化を運動視差と言い、注視点より手前は頭部と逆方向に、遠くは同方向に、網膜上で生じる運動像差である。頭部を運動させながら、適切に連動した運動視差を単眼で観察すると静止した奥行きが知覚される。
陰影からの形状復元は、複数の物体の間の奥行き関係を知覚するのにもっとも役立つ手がかりであり、コンピュータグラフィックスにおいても、対象から少し離れたところに影を置くことで、対象を浮き上がらせて知覚させることなどに利用されている。
[聴覚]
空気振動の周期を高くしていくと音は高くなるが、オクターブ(octave)ごとに繰り返される周期も知覚される。
[体性感覚・内臓感覚]
温覚受容器は自由神経終末、神経線維は無髄線維(C線維)である。
通常の触覚に関係する受容器は機械受容器である。無毛部には、マイスナー小体、パチニ小体、メルケル触盤、ルフィニ終末の4種類が存在し、有毛部にはマイスナー小体がないが、毛包受容器が存在する。
内臓からの情報は、自律神経系に属する内臓求心性繊維により、脊髄を経て脳に送られる。
[味覚・嗅覚]
味は、舌や上あご、喉の奥に存在する味蕾(みらい)の先にある味受容体に味物質が結合することで感知される。
一方、匂いは鼻腔内にある嗅細胞の受容体に匂い物質が結合することで感知される。
味覚神経を介して伝わらない味は、辛味。
[学習]
記憶の特性を示す二重貯蔵モデルでは、記憶内容の保持期間によって短期貯蔵庫と長期貯蔵庫の2種類の記憶が存在すると考える。短期貯蔵庫は、情報処理の観点から捉えた場合、作動記憶と呼ばれる。また、長期貯蔵庫にあてはまる記憶のうち、スキルを身につけることを手続き記憶と呼ぶ。
学習(learning)は、より広く脳という情報処理系の可塑性として捉えることが重要であり、知識やスキルの獲得という意味での狭義の学習のみならず、訓練による知覚精度向上なども学習過程と捉える必要がある。