レンダリング

IPAのAP午前でも出題される。


[視覚レンダリング]

物体表面の輝度(きど)計算の1つにシェーディング計算がある。シェーディング計算は物体表面の材質や面の向きによって変化する輝度を計算する。この輝度計算に用いられる代表的なモデルには、拡散反射光成分鏡面反射光成分環境光成分がある。


[聴覚レンダリング]

音場全体をレンダリングする音場再現モデルは、その中にいる聴取者に自然に3次元空間を知覚させることができる。これに対して、両耳伝達関数モデルでは、両耳に入力される音信号を正確に定めることにより3次元音空間知覚が可能となる。

音場再現モデルに基づいたレンダリング手法としては、立体分割法や音場直接合成法が挙げられる。


コンサートホール等の閉空間の聴覚知覚において、直接音の後に到来する初期反射は、時間的に密度が低く、方向も知覚されやすい。一方、音波が反射や拡散を繰り返すと時間の経過に伴い、反射波到来の時間あたりの密度が上昇するため方向性が弱まり後部残響として知覚される。

音源から聴取点までの直接音をレンダリングする際、すべての距離についてあらかじめ用意するのは効率的でない。このため、距離に応じた減衰や遅延を考える必要がある。


音像定位は、音源から耳までの音波の伝搬現象によって決定される。この伝搬現象は、音源から頭部近傍までの伝搬特性を表す伝達関数と、耳介(じかい)、頭部、胴体等の反射や回折、共振などの物理現象を表す頭部伝達関数との従属接続による伝達関数として考えることができる。


[力感覚レンダリング]

典型的な力感覚レンダリングでは、動特性など必要な情報がモデリングされた物体とのインタラクションでは、指先や手先などの接触点すなわち力覚ポインタ(pointer)の位置と方向の検出、力覚ポインタとバーチャル物体との接触検出、反力計算および物体変形、そして力およびトルクの提示、の順に力触覚情報の計算が周期的に実行される。


バーチャルな物体をなぞる動作において、表面情報の力触覚レンダリングは自然に感じさせるために重要な役割を果たす。力触覚レンダリングのための表面情報は、物体形状と、物体表面の摩擦特性および粘性特性の組み合わせで表現される。



シミュレーション


[流体のシミュレーション]

煙や水、炎などをシミュレーションする際、非圧縮性ナビエ・ストークス方程式を用いて得られる解は、速度および圧力の分布のみである。


[剛体のシミュレーション]

剛体のシミュレーションにおいて、複数物体の位置関係を部分的に拘束する力(拘束力)を、拘束違反量に比例した力とし、物体に加える手法をペナルティ法と呼ぶ。

剛体運動のシミュレータは、拘束力の計算方法で特徴付けることができる。

ペナルティ法のシミュレータでは拘束力はバネダンパモデルの状態からすぐに求まるため1ステップあたりの計算量は少ない。しかし、バネダンパモデルが収束するためには、1ステップの時間刻みΔtを小さくしなければならない。

一方、解析法のシミュレータでは、拘束力を拘束条件と運動方程式を連立させて解くため計算量が多いが、Δtを大きくすることができる。


[有限要素モデル]

有限要素モデルは、物体を3角形要素などの集合として表現し、各要素に成り立つ支配方程式の重ね合わせにより得られる連立方程式を解いて、弾性論に基づいた物体変形を表現するモデルである。