入力インターフェース
[物理的特性]
角度を計測するモーションキャプチャは、一般的に機械式モーションキャプチャと呼ばれる。角度センサであるゴニオメータを用いるシステムでは、人体に対して外骨格のようなフレームを取り付け、そのフレームの関節部分の角度を計測する。一方、回転物体がその状態を維持しようとする性質を利用したジャイロスコープを用いる場合には、人体に取るつけるフレームが不要となるが、角速度を積分することによって角度を求めるため、誤差が蓄積しやすい。
[生理的特性]
脳活動計測の方法には、脳の神経活動によって生じる微小な磁場を計測するMEG(脳磁図)や、神経活動による血流量の増加などに伴って脳の局所の酸素濃度が変化したときの信号(BOLD信号)を計測するfMRI(機能的核磁気共鳴画像法)などがある。
MEGはfMRIに比べ、空間解像度は低く、時間解像度は高いという特徴がある。
[心理的特性]
感覚刺激に応答するP300と呼ばれる神経活動は非常に特徴的な脳波であり、一度の計測で抽出が可能であるため、積極的に利用されている。
眼球特有の高速な動きをサッカード(saccade)と呼ぶ。
筋肉の電気的な活動を計測したものがEMG(筋電図)である。このうち、皮膚上に電極を貼付し、筋肉全体の活動を計測するものをsurface EMG(表面筋電図)という。表面筋電図の測定時には、ノイズの影響を減らすため、2個の電極により計測した信号を差動増幅する。
出力インターフェース
[視覚ディスプレイ]
視覚ディスプレイは、バーチャル空間の奥行きとその広がり、個々の物体の色や形、材質感などVR空間を把握するための情報を映像として与えてくれる。視覚の受容器である目に入射する光線を人工的に作り出した光線と置き換えることで実現されるが、立体視による空間の奥行き手がかりに加えて、周辺視野を含めた広い領域への映像の呈示によって、空間への投入感が高まる。
2眼式立体映像提示は、主に両眼視差による左右の目での見え違いを実現するもので、左右の目に入る映像を別々に用意し、何らかの方法で対応する目にのみ、その映像を提示する。
[聴覚ディスプレイ]
トランスオーラル再生とは、音源から両耳までの全ての物理現象を伝達関数として表現し、複数のスピーカ(speaker)を用いて両耳位置での音を生成する。スピーカ同士の音のクロストーク(cross talk)をキャンセル(cancel)する計算が必須となる。
[前庭感覚ディスプレイ]
車や飛行機のような乗り物を想定した前庭感覚ディスプレイでは、ユーザを動かすためのシートをアクチュエータによって並進あるいは回転させる機構をもたせる。実際の加速度の提示ではアクチュエータの可動範囲が有限なため、加速度を過渡的な成分と定常的な成分にわけ、過渡的な部分をアクチュエータによって提示し、定常的な成分は身体を傾けることによって提示し、合成加速度として提示したい加速度全体を示す。
[嗅覚ディスプレイ]
嗅覚ディスプレイには、鼻の前にチューブを配置し、匂い物質の拡散や排気をするHMD的発想の方法や、空気砲の原理を使って遠隔地から匂い物質の塊を鼻に当てる方法が提案されている。
[体性感覚ディスプレイ]
体性感覚ディスプレイは、バーチャルな物体に触ったときの表面の感触や硬さ、重さなどを提示する。