Utsunomiya Kyoko Sociology
An Introduction to Sociology
宇都宮京子編『よくわかる社会学』
ミネルヴァ書房(2006年10月刊行)
橋本努「経済社会学」本書174-177頁、所収
はじめに
宇都宮京子編『よくわかる社会学』ミネルヴァ書房(2006年9月刊行)
はじめに
このテキストは、「よくわかるシリーズ」の一冊として企画されました。
このシリーズの他のテキストと同様に見やすさや読みやすさを追求し、1つの項目の内容が見開き2ページまたは4ページで説明されているという特徴をもっています。しかし、同時に内容的には、従来のテキストと比較して、「社会学」という非常に広い領域を包括する科学をその対象としているという点で全く異なった特徴をもっているともいえると思います。
そのため、本書の企画を立てる際に以下のような諸点に注意をいたしました。
1,「社会学」の偏った紹介にならないようにさまざまな領域を取りあげる。重要な基本的知識とともになるべく最先端の知見や事例も紹介し、大学の新入生をはじめとして社会学に興味をもつ人々が、社会学の広さや深さに楽しく触れていけるように工夫する。
2,理論的側面と実証的側面とをバランスよく配置し、また両視点がなるべく乖離しないような構成にする。その構成を通して、読者が自分の日常生活を新たな眼で捉えなおしつつ分析していく能力を培い、築き上げていくものとして日常を見つめる姿勢を養うことを目指す。
3,本書は大学等の教科書として用いることももちろんできるが、教科書として使用しない場合も、読者が手元にもっていると便利な参考書としても使用できる内容にする。
はたして、企画どおりの内容になりましたかにつきましては、読者の皆様の忌憚のないご意見をお聞かせ頂けましたら幸いと存じます。
本書が、社会学を学ぼうという意思をおもちの皆様方に有意義な知見や情報を的確にお伝えできますことを願っております。
2006年9月
編者 宇都宮 京子
目次
宇都宮京子編『よくわかる社会学』ミネルヴァ書房(2006年9月刊行)
目次
はじめに (宇都宮京子)
Ⅰ 社会学とは何か 2
1 社会学の理念 (宇都宮京子)
2 社会学の全体構造 (同上)
3 社会学理論とは何か (同上)
コラム1:シンボリック相互行為(作用)論 (片桐雅隆) 12
コラム2:アルフレッド・シュッツと異文化理解 (張江洋直)
コラム3:社会構築主義 (張江洋直)
コラム4:ポストモダンの考え方 (千石好郎)
コラム5:リスク社会学について (伊藤美登里)
コラム6:信頼 (浜日出夫)
コラム7:エスノメソドロジーと会話分析 (佐々木啓)
4 社会の調査とは何か 社会調査の歴史 (西澤晃彦) 26
5 社会調査の方法(1):量的調査 (稲木哲郎)
6 社会調査の方法(2):質的調査 (西澤晃彦)
事例研究1:沖縄の民間巫女 ユタの調査 (佐藤壮広) 36
Ⅱ 家族をめぐる社会学 (西野理子) 38
1 家族の絆とは何か
2 結婚の個人化
3 低出生社会
4 夫婦の関係
5 親子の関係
6 核家族化
7 脱近代家族の動き
8 家族の発達
Ⅲ 地域をめぐる社会学 54
1 人間にとって都市とは何か:アーバニズム論の系譜 (西澤晃彦)
2 シカゴ学派:実験室としての都市 (同上)
3 住縁で結ばれた集団:地域的共同性のゆくえ (同上)
4 コミュニティ(立山徳子)
5 都市生活者のパーソナル・ネットワーク (同上)
6 郊外 (同上)
7 アンダークラス(長谷川美貴)
8 大都市の社会変動(同上)
Ⅳ メディアと情報化をめぐる社会学 (周藤真也) 70
1 メディアとは何か
2 活字メディアと近代社会
3 マルチメディアと複製技術
4 情報化社会とは
5 「情報化社会」の現実化
6 電子メディアと現代社会
7 インターネットと公共圏
8 監視社会と情報化社会
Ⅴ 階級・階層をめぐる社会学 (村瀬洋一) 86
1 社会的地位は測定できるか
2 日本は閉鎖的社会か: 社会移動の分析における混乱
3 産業化と階層構造の変化
4 階層間対立と政策:今後格差は広がるのか
Ⅵ インナートリップとしての社会学 100
1 自己(自我)について(片桐雅隆)
2 自我と他者とのコミュニケーション (小川祐喜子)
3 ポストモダン的発想と自己 (千石好郎)
4 集合的記憶 (横山寿世理)
Ⅶ ジェンダーとセクシュアリティ 116
1 <女らしさ><男らしさ>を問い直す(杉原名穂子)
2 ジェンダーの社会化 (同上)
3 仕事と家族をめぐる問題 (同上)
4 政治参画と公共圏 (同上)
5「セクシュアリティ」とは (加藤秀一)
6 セクシュアル・マイノリティ (同上)
7 セクシュアリティの歴史 (同上)
8 セクシュアリティと生物学 (同上)
Ⅷ 国際社会とエスニシティ 132
1 「エスニシティ」とは何か (中力えり)
2 国民国家と地域・民族問題 (同上)
3 移民をめぐる諸問題 (同上)
4 多文化社会とその課題 (同上)
コラム8:国境を越える社会運動(稲葉奈々子) 140
事例研究2:アイヌと世界の少数民族運動 (伊藤奈緒) 142
Ⅸ 社会運動・NPO・ボランティア 144
1 社会をつくる――現代社会と社会運動 (樋口直人)
2 NPO/NGOと市民社会 (仁平典宏)
3 後期近代におけるボランティア活動 (同上)
4 若者と社会運動:学生運動からだめ連まで (松井隆志)
5 引きこもりの親の苦悩と組織化 (川北稔)
事例研究3:住民投票と民主主義のゆくえ (高木竜輔) 156
X いろいろな社会学 158
1 環境社会学(原田利恵)
2 教育社会学(藤本典裕)
3 法社会学 (土方透)
4 政治社会学(本田量久)
5 経済社会学(橋本努)
6 組織社会学(山田真茂留)
7 犯罪社会学(津富宏)
8 宗教社会学(荒川敏彦)
9 医療社会学(佐藤典子)
事例研究4:ハンセン病問題の社会学 (中村文哉) 192
XI社会学の歴史1 西欧世界の社会学史(奥村隆) 194
1「社会という謎」の発見:社会学のはじまり
2「理性」からはみ出る社会
3「アメリカ社会」はいかに可能か
4「わからなさ」の再発見
5 神なき時代の社会学
研究者紹介 204
1 エミール・デュルケーム(景井充)
2 マックス・ヴェ-バ-(三笘利幸)
3 アルフレッド・シュッツ(矢田部圭介)
4 タルコット・パ-ソンズ(佐藤成基)
5 ピエール・ブルデュー(三浦直子)
XII社会学の歴史2 日本の社会学史 (西原和久) 214
1 導入期:世間と社会 近代国民国家の誕生と社会学の導入
2 展開期:全体と部分 国家と個人,あるいは戦争の問題
3 再出発期:理論と実証 学説研究と調査研究のはざまで
4 反省期:科学と日常 意味社会学と統合理論
5 転換期:近代と脱近代 グローバル化時代の社会学的課題
索引 226
宇都宮京子先生