地理空間情報に基づいて分析することで地域の理解を促進し、新たな知見を生み出し、根拠に基づく保健師活動を推進します。
わくわく楽しみながら地域診断を効率化、向上できます。
保健師活動に関するデータを地図上に可視化できます。
災害時の個別避難計画を策定できます。
特定健診やKDBと医療機関や飲食店等のデータをミックスして分析できます。
地区担エリアごとの人口や資源の特徴を明らかにできます。
災害発生時の保健師活動と受援体制の構築に利用できます。
小地域(1丁目2丁目単位)で細かく人口分布を把握し社会資源と重ねて分析
地域で乳幼児がどこに多いのか、独居高齢者がどこに多いのか詳細に可視化できます。また、保健師の地区担当ごとに集計することで担当地区内の様々なデータ分析をGISで行うことが可能です。さらに関係施設や事業の参加者数、健診データを位置情報とともにGISに取り込むことで対象集団の分布と比較し事業評価や可視化を行うことが可能です。
埼玉県-NHAMS(ニャムズ)
埼玉県ではGIS(地理情報システム) を活用した難病患者ハザードマップシステム(NHAMs)を開発,運用しています。令和3年12月より各保健所に導入し、各保健所でプロットを開始しています。
この取り組みは皆さんの自治体でも導入可能です。NHAMsの詳細は上記PDFをご確認ください(埼玉県疾病対策課様よりご提供いただきました。ありがとうございます!)。
なおこの取り組みは、第83回日本公衆衛生学会総会(2024年)にて最優秀演題賞を受賞されました🎉
千葉県-難病,小児慢性特定疾病の災害時活用
千葉県では導入済みの統合型GISに各保健所が難病、小児慢性特定疾病の災害時要支援者の情報を入力しています。災害時には安否入力と本庁間の情報共有に利用されています。
葛城市(奈良県)-特定健康診査への活用
葛城市では特定健康診査等実施計画において地域別の実施率をGISで可視化しています。経年比較することで地区別の戦略的な介入方法を検討できます。
地表面温度分布と熱中症健康教育
JAXAが運用する気候変動観測衛星「しきさい」(GCOM-C)が観測した地表面温度を可視化しています。250m四方ごとの詳細な温度分布が提供されています。地域での熱中症健康教育の際に自治体ごとの実際の地表面温度を参加者に提示できるため導入に最適です。
高齢者の通院可能範囲とバス停
高齢者の居住地点と医療機関所在地、バス停位置から通院範囲を分析しました。医療機関とバス停データから任意の距離のバッファ(円)を作成し、バッファの中に居住地点が含まれる場合は通院可能と判断します。直線的で簡易的な分析ではありますが地域における傾向を把握できます。
施設の網羅性と偏在を明らかに
在宅医療を提供する医療機関の位置と人口の居住地点データを使用すれば、在宅医療の地理的な提供範囲を可視化することが可能です。加えて居住地点ごとに何カ所のサービスを受けられるかというデータをQGISで計算することができ、CSVで出力もできます。QGISで作成した新たなデータをエクセルや統計解析ソフトでさらに分析が可能です。
医療機関ごとの周辺人口の将来推計
GISでは過去と未来のデータも扱うことができます。2050年には地域の人口分布も変わっています。将来、どこに何歳の何人の人が居住しているのかというデータで様々なシミュレーションを行うことが可能です。
学会発表ポスター(2024年第83回日本公衆衛生学会総会,ゼミOB発表)
訪問看護ステーションの勢力圏
コンビニの出店にも使われる勢力圏(ボロノイ図)。訪問看護ステーションをマッピングしステーションごとの高齢者数を集計することで各ステーションの地域における推定対象集団を分析できます。
特定の施設に周辺住民がどのくらい来ると予想されるか~「公園でも密を避けましょう」って実際どうやるの?
コロナ禍で一時的に「公園でも密を避けて遊びましょう」と行政から呼びかけがありました。当時は3歳児のパパでしたので「具体策もないのに実際どうしたらええんや・・・」と思って分析し学会発表しました。楽しかったです。
子育て支援施設へ徒歩で向かう親子の到達圏分析
赤ちゃんマークは子育て支援施設の位置であり、黄色線は徒歩30分で到達できる範囲を示しています。これは実際の道路データと親子連れの歩行速度を基に出力されていますので、より地域での状況を反映したアクセシビリティを明らかにすることが可能です。
学会発表ポスター(2024年第83回日本公衆衛生学会総会,ゼミOC発表)
津波と在宅療養者の避難シミュレーション
南海トラフ大地震による津波から在宅療養者が避難可能か実際の避難経路を計算することで分析が可能です。自宅をスタート地点とし、指定緊急避難場所や避難所をゴールとしてネットワーク解析を実施しています。個別避難計画の策定に役立ちます
災害時保健師活動に役立てる
2024年1月1日発生の能登半島地震に対して、保健師活動を支援するwebGIS公開しました。保健センターや避難所、仮設住宅に加え、斜面崩壊箇所、発災後の空中写真を利用し被災地の情報の一元的な把握と派遣チームの事前計画立案に役立てられます。
データの地理空間的集積を統計学的に明らかにする
可視化すると「赤いエリアはリスクが高く青いエリアは低そうかな」と主観的に全体の傾向を把握できます。さらにその傾向を統計学的に明らかにできます。空間疫学の手法の1つであるスキャン検定を用いてクラスターを発見しリスク比を算出できます。しかもソフトはオープンソースです(SaTScanを使用)。
実際の街を3Dで構築できる
PLATEAUデータを用いれば、街中の建物の形と高さを立体的にGISで表現できます。建物の高さと洪水浸水深を重ねることで垂直避難の是非を検討可能です。
2022年に堀池が開発した、GISを用いたコミュニティ・アズ・パートナーモデルに基づく地域診断手法です。G-CHAMはGIS-based Community Health Assessment Methodsの略称で、GIS地域診断のことです。
これまでの地域診断で実施されてきた紙の地図と付箋による方法をGISとWebで実施することで、多くの情報を効率的に分析することが可能です。
人々の生活や健康課題は数多くの要素が複雑に絡み合って構成されています。GISは絡み合いを1つずつ解きほぐすことを手助けします。解きほぐすことで課題の原因と対処を明確にできます。
GISで利用可能なデータも多く、特に日本政府としても法律に基づき地理空間情報におけるオープンデータを促進しています。地域診断に利用可能かつ豊富なデータがwebから収集可能です。
GISソフトは無償かつオープンソースであるQGISを用いいるため、予算を気にすることなく継続的に使用可能です(QGIS開発コミュニティへの寄付は大歓迎)。
G-CHAMで使用するGISはQGIS(きゅーじーあいえす)です。QGISはフリー(無償)かつオープンソース(ソフトの設計図が公開されている)です。誰でもダウンロードすることで使用でき、自治体での導入例もあります。フリーソフトですが機能は非常に豊富なため、地域診断を十分に実施できます。