このページでは、文法用語や言語学の専門用語は分からないけどニョンペルミュに興味がある、という方向けにニョンペルミュの文法を解説しています。難しい用語は一切使っていないので、気軽に目を通してみてくださいね。
私たちが普段使っているさまざまな言葉。それらが、たくさんの「意味のパーツ」の組み合わせから作られていることをご存じですか? 例えば、「ながさ」という言葉。これは「ながい」の一部である「なが」と程度を表す「さ」が組み合わさったものです。このように、私たちの言葉はたくさんのパーツから成り立っているのです。
しかし、そのパーツの数は膨大です。それに、同じ意味に対してたくさんのパーツが用意されています。これはとても非効率に感じませんか? できるだけ少ないパーツの組み合わせだけで、たくさんの言葉が生み出せたとしたら……?
それを実現するのが人工言語ニョンペルミュです。ニョンペルミュには、たった300個しか意味のパーツがありません。それらの組み合わせだけで、現在1000以上の言葉が作られています。「少ない言葉のパーツ」から作られるたくさんの言葉の世界を、あなたも体験してみませんか?
では実際に、ニョンペルミュを話してみましょう。とはいえ、発音のしかたが分からなければ話すことができません。幸い、ニョンペルミュの綴りは規則的なので、文字の読み方さえ分かってしまえば発音するのは簡単です。早速、どの文字をどのように読むのかご紹介しましょう。
a:口を大きく開けて「ア」の発音です
i:口を横に引いて「イ」の発音です
o:口をすぼめて「オ」の発音です
e:口を横に引いて「エ」の発音です
u:口をすぼめて「ウ」の発音です
p:パ行の発音です
pj:ピャ行の発音です
t:タ行の発音です
tj:「テャ」のように発音するか、チャ行の発音です。どちらでも構いません。
k:カ行の発音です
kj:キャ行の発音です
f:ファ行の発音です
s:サ行の発音です
sj:「スャ」のように発音するか、シャ行の発音です。どちらでも構いません。
h:ハ行の発音です
hj:ヒャ行の発音です
m:マ行の発音です
mj:ミャ行の発音です
n:ナ行の発音です
nj:ニャ行の発音です
l:英語の L のように、舌を歯茎に付けてラ行の発音です
lj:英語の L のように、舌を歯茎に付けてリャ行の発音です
':「ッア」の「ッ」のように、喉を詰まらせるようにして発音します
以上がニョンペルミュの全ての発音です。注意すべき点は、j がジャ行音ではなくャ・ュ・ョの音を表す点でしょう。また、お気づきかもしれませんが、タに対するダのような音(濁音)はありません。
ニョンペルミュの単語を発音するときは、必ず単語の頭を強く発音しましょう。例えば、pjumos「犬」という単語であれば、「ピュモス」のように発音します。
発音が分かったらまずはあいさつです。「こんにちは」はニョンペルミュでは hjulimis と言います。どのように読むかお分かりでしょうか? 答えは「ヒュリミス」です。この言葉は hju「互いに」、li「見る」、mis「こと」という3つのパーツから成り立っており、直訳すると「会うこと、出会い」という意味です(hjuli で「会う」を表します)。このあいさつは時間帯に関わらず、誰かと会ったときに使うことができます。そのため、「おはよう」とも「こんばんは」とも訳すことができます。
以下に、ニョンペルミュでよく使うあいさつをいくつかご紹介しましょう。
hjufemis:「またね、さようなら」
pjalmis:「ありがとう」
hinmis:「ごめんなさい、すみません」
lafi lo mjon. : 「よろしくね」*直訳すると「私たちは仲良くしましょう」になります
あいさつが済んだら自己紹介をしましょう。「○○は△△です」は、ニョンペルミュでは ○○ na △△. と言います。○○には「私」を表す la を、△△にはあなたの名前を入れましょう。ニョンペルミュの文章であなたの名前を言うときは、ニョンペルミュの発音に直してください。ダ行音やガ行音といった濁音が名前に含まれる人は、タ行音やカ行音などの清音に直しましょう。「アイ」のようにアイウエオの音が連続する場合は、間に ' の音を挟みましょう。アイウエオの音で名前が始まるときには、その前に ' を加えてください。文章に書く時は、自分の名前のアルファベットは全て大文字で書きましょう。
la na KEN.「私はケンです」
la na 'A'I.「私はアイです」
少し表現を変えてみましょう。「私の名前は○○です」は la mi sos na ○○. と言います。
la mi sos na HIKALI.「私の名前はヒカリです」
la mi sos na TA'IKA.「私の名前はタイガです」
もちろん、na は自己紹介以外にも使います。○○ na △△. の○○と△△に好きな言葉を入れて、いろいろなものを説明してみましょう。na の後には、mjustjen「かわいい」や sin「青い」など、状態や様子を表す言葉を続けることもできます。
ke na kestun.「これはペンです」
senel na fistjun.「彼女は学生です」
fasnja na mjustjen.「猫はかわいいです」
hal na lilen.「空は美しいです」
次は「○○は△△する」のような動作を表す文を作ってみましょう。その方法はとても簡単。動作を行う人やものを表す「私」や「犬」などの言葉の後に、「歩く」や「眠る」などの動作の内容を表す言葉を続けるだけです。
la lju.「私は歩く」
pjumos njos.「犬が眠る」
finnel lal.「少女が歌う」
「私は花を見る」の「花」や「猫が魚を食べる」の「魚」のように、動作を受ける相手がいるときは、動作を表す言葉の後ろに続けて置きます。日本語とは言葉を並べる順番が少し違うので注意してくださいね。
la li sjolmin.「私は花を見る」
fasnja kja pus.「猫が魚を食べる」
fi pel njonpelmju.「あなたはニョンペルミュを話す」
動作を表す言葉の後ろには、場所や到着地点を表す言葉が置かれることもあります。
manel su mal.「お母さんは家にいます」
fintjun sa fislan.「子どもが学校に行く」
mjontjun he hjulilan.「友だちが公園に来る」
「私の本」や「彼の車」など、持ち主を表したい時には mi を使います。前に登場した la mi sos na ○○. の mi です。mi の前に持ち主を、後に持っているものを置きます。
la mi tjes「私の本」
fi mi sos「あなたの名前」
selon mi njenhel「彼の車」
mi の後に続く言葉は省略できます。日本語でも単に「私の」で通じますが、それと似ていますね。
ke na la mi.「これは私のです」
「美しい空」「大きい車」のように、ものの様子を表したいときは、様子を表す言葉をものを表す言葉の前に置きます。
lilen hal「美しい空」
mel njenhel「大きい車」
fomutjen tjes「面白い本」
「美しく踊る」「速く走る」「必死に働く」のように、動作の様子を表したい時は、様子を表す言葉を動作を表す言葉の前に置きます。
selon lilen hjol.「彼は美しく踊る」
la mi hanel sjun kas.「私の姉は速く走る」
la ljamasnas tan.「私は必死に働く」
「~ない」のように文の内容を打ち消したいときは、na や動作を表す言葉の前に me を置きます。
pjenpje na fal.「ウサギは鳥だ」→ pjenpje me na fal.「ウサギは鳥ではない」
la mi mal na mel.「私の家は大きい」→ la mi mal me na mel.「私の家は大きくない」
selon sja kjotol.「彼はスマホを持っている」→ selon me sja kjotol.「彼はスマホを持っていない」
「これは何ですか?」や「誰がここに来ますか?」のように、「何」や「誰」を使って尋ねる文を作ってみましょう。日本語と同じように、「何」や「誰」にあたる no や notjun を使って文の尋ねたい部分を置き換えるだけです。文の最後にはクエスチョンマークを付けましょう。
ke na no?「これは何ですか?」―― ke na seltol.「これはコンピュータです」
notjun he kelan?「誰がここに来ますか?」―― la mi halon he kelan.「私の兄がここに来ます」
「あなたは神様ですか?」や「彼は私を知っていますか?」のように、「はい」か「いいえ」で答える文の作り方はちょっと複雑です。まず、na や fis 「知っている」などの動作を表す言葉を二回繰り返します。そしてその間に me を挟み、最後にクエスチョンマークを付けます。
fi na hafo.「あなたは神様だ」→ fi na me na hafo?「あなたは神様ですか?」
selon fis la.「彼は私を知っている」→ selon fis me fis la?「彼は私を知っていますか?」
このやり方が難しいと感じたら、単にクエスチョンマークを文の最後に付けるだけでもOKです。こちらはややフランクな話し方になります。
fi na hafo.「あなたは神様だ」→ fi na hafo?「あなたは神様?」
selon fis la.「彼は私を知っている」→ selon fis la?「彼は私を知ってる?」
答え方も日本語とは少し違います。「はい」と答えるときは、相手が尋ねた文の na や動作を表す言葉を繰り返して言います。「いいえ」と答えるときは、me を前に置いて相手の文の na や動作を表す言葉を繰り返します。
fi na me na hafo?「あなたは神様ですか?」―― na.「はい」/ me na.「いいえ」
selon fis me fis la?「彼は私を知っていますか?」―― fis.「はい」/ me fis.「いいえ」
最後に、相手に命令やお願いをする表現を紹介しましょう。まず「あなたは△△する」という文を作り、動作を表す言葉の前に lo を置くと、「あなたは△△してください」という意味になります。
fi kas.「あなたは走る」→ fi lo kas.「あなたは走ってください」
fi he tanlan.「あなたは職場に来る」→ fi lo he tanlan.「あなたは職場に来てください」
lo を使った文で fi を省略すると、「~しろ」や「~しなさい」といった強い命令になります。
lo kin!「止まれ!」
lo tastan!「勉強しなさい!」
lo の代わりに so me so を使ってクエスチョンマークを付けると、「~してくれませんか」という丁寧な依頼を表せます。so me so は直訳すると「~できますか」という意味です。
fi so me so nun hjustil?「窓を閉めてくれませんか」
fi so me so fis njonpelmju?「ニョンペルミュを学んでくれませんか」
ここまで学べば、ニョンペルミュの簡単な文が理解できるようになったはずです。もし気に入っていただけたなら、作文や詩などでぜひニョンペルミュを使ってみてくださいね。もっと詳しくニョンペルミュを学びたい方は、中級ニョンペルミュ解説や文法書にも挑戦してみてください。ここまでお読みいただきありがとうございました! それでは hjufemis!(またね!)