このページではニョンペルミュの造語法について詳説します。
ニョンペルミュでは、予め定められた300の形態素を組み合わせて造語を行います。合成に際して、形態素の語形が変化することはありません。ニョンペルミュの修飾は主要部後置が基本であり、それは語形成においても同様です。派生語の品詞は主要部の品詞に依存します。派生語が主要部の品詞以外の品詞として扱われることは基本的にありません。
fis「学ぶ(動詞)」+ tjun 「人(名詞)」→ fistjun「学生(名詞)」
mas「力(名詞)」 + mel「大きい(形容詞)」→ masmel「強い(形容詞)」
hju「互いに(副詞)」+ li「見る(動詞)」→ hjuli「会う(動詞)」
文において直接目的語は動詞の後に置かれますが、語形成においては動詞の前に置かれます。
fe tjus「道から離れる」→ tjusfe「迷う」
sjen fas「光を投げる」→ fassjen「照らす」
tin son「身体を置く」→ sontin「休む」
ニョンペルミュの動詞は英語とは違い、語形を変えずに他動性を変えることはできません。つまり、自動詞をそのまま他動詞として用いたり、他動詞をそのまま自動詞として用いたりすることはできません。他動性を変えるには接尾辞を付加して派生語を作る必要があります。接尾辞には -ku、-ti、-le の3つがあります。これらは動詞から転用されたものであり、動詞としての意味はそれぞれ「変わる」「する」「与える」です。
pis「始める(他動詞)」+ ku(自動詞化接辞)→ pisku「始まる(自動詞)」
nol「死ぬ(自動詞)」+ ti(他動詞化接辞)→ nolti「殺す(他動詞)」
fis「知る(他動詞)」+ le(二重他動詞化接辞)→ fisle「教える(二重他動詞)」
ただし、動詞を主要部とした派生語では、上記の接尾辞を付加しなくても主要部の動詞とは異なる他動性となる場合があります。
las「戦う」+ pel「言う(二重他動詞)」→ laspel「口喧嘩する(他動詞)」
fo「心」+ tin「置く(二重他動詞)」→ fotin 「落ち着く(自動詞)」
なお、-ku、-ti、-le は名詞や形容詞を動詞化する際にも用いられます。
fas「光」+ ku(自動詞化接辞)→ fasku「光る(自動詞)」
kjo「手」+ ti(他動詞化接辞)→ kjoti「掴む(他動詞)」
tjus「道」+ le(二重他動詞化接辞)→ tjusle「導く(二重他動詞)」
ここでは派生語の主要部としてよく用いられる形態素を紹介します。
tjun は本来「人間」という意味ですが、派生語では必ずしも人間を指すとは限りません。例えば fintjun「子ども」は人間以外の動物の子どもを指すこともあります。
fisle「教える」+ tjun → fisletjun「教師」
fin「小さい」+ tjun → fintjun「子ども」
mjon「仲良くする」+ tjun → mjontjun「友だち」
mju は完全な拘束形態素です。単独で用いられることはありません。
kja「食べる」+ mju → kjamju「食べ物」
mje「考える」+ mju → mjemju「考え」
pel「言う」+ mju → pelmju「言葉」
mis は完全な拘束形態素です。単独で用いられることはありません。
mjus「愛する」+ mis → mjusmis「愛」
lal「歌う」+ mis → lalmis「歌」
kus「暮らす・生きる」+ mis → kusmis「生活・人生」
fis「学ぶ」+ lan → fislan「学校」
mil「売る」+ lan → millan「店」
hasa「乗る」+ lan → hasalan「駅」
non「闇」+ tel → nontel「夜」
pjas「塵」+ tel → pjastel「瞬間・秒」
su「ある」+ tel → sutel「時々」
hjel「飛ぶ」+ tol → hjeltol「飛行機」
si「切る」+ tol → sitol「ナイフ」
mjen「遊ぶ」+ tol → mjentol「おもちゃ」
nas は完全な拘束形態素です。単独で用いられることはありません。
kel「平面」+ nas → kelnas「平らな」
ljato「完成させる」+ nas → ljatonas「完全な」
masfo「勇気」+ nas → masfonas「勇敢な」
sil「線」+ mel → silmel「長い」
mo「熱」+ mel → momel「高温の」
sja「持っている」+ mel → sjamel「裕福な」
sil「線」+ fin → silfin「短い」
mo「熱」+ fin → mofin「低温の」
sja「持っている」+ fin → sjafin「貧乏な」
fomu「興味を持つ」+ tjen → fomutjen「面白い」
pjel「恐れる」+ tjen → pjeltjen「恐ろしい」
hali「尊敬する」+ tjen → halitjen「偉大な」
動物名は「特徴的な動作+特徴的な部位」という構成で作られることが多いです。
pju「追う」+ mos「鼻」→ pjumos「イヌ」
kas「走る」+ sjos「歯」→ kassjos「ネズミ」
pjen「跳ねる」+ pje「耳」→ pjenpje「ウサギ」
lju「歩く」+ pil「角」→ ljupil「ウシ」
hjel「飛ぶ」+ pjon「針」→ hjelpjon「ハチ」
もちろん、これに当てはまらない場合もあります。
fas「光」+ nja「目」→ fasnja「ネコ」
hal「空」+ nes「黒」→ halnes「カラス」
fussil「網」+ pjol「虫」→ fussilpjol「クモ」