第4回
ジェンダー/人種/職業等、多様な観点から
スチュワーデスの歴史を読み解く本

ヴァントック『ジェット・セックス - スチュワーデスの歴史とアメリカ的「女らしさ」の形成』(明石書店 、2018年)

戦後、「華やかな職業」とみなされていたスチュワーデスの職業について、単にその歴史を追うだけでなく、豊富な一次資料と筆者の聞き取り作業により多角的な視点でスチュワーデス像を描き出すことに成功している本。その中でも特に興味深かったのは、「①米国のアイデンティティ/「女性らしさ」を表現するために各航空会社がスチュワーデスの身体を積極的に利用したこと②スチュワーデスになりたい黒人女性が人種の壁を打ち破るまでの数々の苦難を描き出している点③冷戦期において「アメリカ流」を世界に広めるためスチュワーデスが「大使」の役割を果たしてきたこと(米露2人のスチュワーデスが抱擁する写真は本当に興味深かった)④「空飛ぶストリッパー」として彼女たちのセックス・アピールを標榜する広告戦略」など…その後、フェミニストとして彼女たちが長年抱いてきた不満や疑問を昇華すべくデモンストレーションを行うなど、勇気ある姿に感動した次第です。(担当/文責Kimiko)

オリジナルサブタイトル
※読書会のまとめとして、自分なりのサブタイトルを各自で考えて発表しています

「働く自由を求めたスチュワーデスたち」(midori)
「華やかな仕事の裏で…」(Kimiko)
「『美しい女性たち』はどのように生まれ、どのように空を飛んだか」(はりねずみ)
「『スチュワーデス』に見る戦後アメリカのジェンダー史と闘い」(azusachka)