第2回
内在化した差別意識の変遷

竹村和子『フェミニズム』( 岩波書店、2000年)

前半はフェミニズムの歴史を辿るもので読みやすかったです。第一波フェミニズム期では女性の参政権獲得が焦点となり、階級差別やドメスティックイデオロギーは内在化されたままでした。第二波フェミニズム期には女性の中の階級問題への言及もあり前進はしたものの、マルクス主義の男性中心的な思考は拭い去れずじまいでした。現在では以前よりも抑圧から解放された一方、自身の実生活からくる体感ではまだまだな状態です。歴史に名を残すフェミニストでさえ差別意識を内在化させていたことから、私自身その時々の風潮に飲み込まれていることに無自覚である可能性を意識し、常に思考をアップデートする必要があると思いました。後半は初学者には難しかったですが、一つ印象深かったのは産まれながらの性は虚像であるというラカンの理論です。虚像が実生活の性を作っているなら、その虚像を良いものにしたいです。(文責:midori)