第8回
恋愛革命と女性解放に心を燃やした革命家

杉山秀子『コロンタイ 革命を駆けぬける』(論創社、2017年)

ロシア・ソ連のフェミニストにしてヨーロッパ初の女性閣僚アレクサンドラ・コロンタイは、「真の女性解放には体制変換が必要である」という社会主義フェミニズムのもと、ソ連における母子保護や夫婦別姓などの女性解放政策をすすめ、一方で自立した両性の対等な関係による自由恋愛も提唱しました。

彼女のフェミニズムの特徴は、「女性解放」「社会主義革命」「自由恋愛」が三位一体となっている点にあります。その3点を包括的に取り扱うことで、本書はコロンタイのフェミニズム思想を詳細に著しています。女性差別構造に対するコロンタイの深い洞察は今読んでも多くの学びがあり、全く古臭さを感じさせません。

現代ロシアに関する一部の記述にはやや疑問も残り、少々読みにくい部分もあるものの、ロシア・ソ連のフェミニズムについて日本語で読めるものとしては貴重な一冊であると言えます。ぜひコロンタイの”恋愛革命”の世界に触れてみてください。(文責:azusachka)

オリジナルサブタイトル

※読書会のまとめとして、自分なりのサブタイトルを各自で考えて発表しています。
 詳しくは
こちらをご覧ください。

「弱者保護が自由恋愛を導く」(midori)
「世界中を駆けぬける」(Kimiko)
「格差からの解放を目指すニューウーマン」(berner)
「挑戦し続ける女性革命家」(アントニン)
「ソビエトを生きた女性のノブレス・オブリージュ」(ゲスト)
「ロシア女性労働者の目覚め」(ゲスト)