この作品のコンセプトは「シンプルな一本道を突き進む作品」を目指しました。
ストーリーの分岐は無く、行ける先も1マップ攻略ごとに進んでいくものとなり、章立て構成でシナリオをなぞっていくような冒険になります。
極力多くのプレイヤーがシナリオに集中しながら遊べ、主人公の想いと行く末を追体験しながら物語を最後まで見届けてもらえるよう工夫ししました。
「雑魚戦はサクサク、ボス戦はスリル満点な高火力仕様」となっており、シンプルでありながらも刺激的な作風になっています。
この作品は竜と人の間に生きる武の民「ヒエンの民」に焦点を置いた内容です。
過去作「弔いに花束を」で登場した【Named】ストーリーの内容を補足すものであり、「-Mercedes -厄災の竜と哀哭の雨-」のリメイク作品となります。シナリオはリメイク前と同様に重い内容ですが、シナリオの整理に加えて追加テキストもあり、内容としてはより奥深く理解しやすいものになっています。
シナリオの中心の舞台は拠点たる「図書館」になりますが、そこに隠された様々なメッセージを読み取り、そして色々と考察や妄想を膨らませていただけると幸いです。
前作「神様ノ季節」で反応が良かった「装備で戦闘開始時の状況が選べる」【先制システム】を導入し、敵の行動アイコンからの立ち回りを考える戦闘になっています。
探索で拾った装備やアイテムがあればクリアでき、レベル上げをしてもそこまでステータスが変わるわけではないので、コマンド選択が重要な要素を占めている設計となっています。「雑魚戦はサクサク、ボス戦はスリル満点な高火力仕様」とあるように、スキルとかも結構考えて使わないとボス戦ではジリ貧になってしまうことから、序盤の動きとかも重要になっています。
ただ、「戦闘後は全回復」とすることで、雑魚戦をストレスフリーなものにしており、ボス戦のことだけを考えてレベリングできるという設計です。
今作についてはどのキャラも別々の方向性を持っています。その意志や想いが交わりながら、ひとつの物語として完結する作りです。
様々な想いを載せながら書いたシナリオでもあるので、それぞれに背負うもの、抱えるものがある濃いキャラクター達だと思います。また、リメイク前より深掘りした描写もあります。
リンドウ・アイリス・アカユリのイラストはTANBO様に描いて頂きました。ビティスはqui様より素材を使わせて頂きました。
リンドウ
リンドウについて
竜血と人間の血を持つ青年。放浪する【竜殺し】として名高い傭兵。竜側にも人側にも過度に属さず、自分が信じる信念と正しさの為に剣を振るう。
性別:男性
名前の由来:悲しんでいるあなたを愛する(花言葉)
性格 :色々と抱えやすい性格。正義感が強く困っている人とか放っておけないタイプ。ちょっと素直になれない。
アイリス
アイリスについて
ひとりで彷徨っていた少女。いままでの記憶を失くしているが、【声】に導かれている。時々行動や発言に何か含みがあるような気がするが……何か事情があるようだ。
性別 :女性
名前の由来:希望・復讐(花言葉)
性格 :気弱そうにみえるが、軸がしっかりとしている。記憶が無いせいか言動は幼めに見えてしまいがち。
アカユリ
アカユリについて
リンドウの育て親にして師匠。竜の血を持ちながら、人として生まれ、人として人間の竜の境を生きる【竜血】の族長。討竜組織【緋百合】をまとめる【緋百合の魔女】。【緋百合の魔女】の肩書きと名前は継がれるものであり、本当の名前は別にあるらしい。
性別 :女性
名前の由来:虚栄(花言葉)
性格 :立場上普段は気品のある立ち振る舞いをするが、実の性格はかなり大雑把。親馬鹿ならぬ弟子馬鹿なところがある。
ビティス
ビティスについて
かつて世界を旅した人間の勇者。【厄災】たる怪物に敗北したことで故郷を失った。実は子供好き。鎧は絶対脱がない主義であり、鎧については貶されるとちょっと落ち込むらしい。
性別 :男性
名前の由来:陶酔(花言葉)
性格 :紳士的で礼儀正しく、尊敬する相手にはきちんと敬意を示す。
ブルームーン
ブルームーンについて
「愛し君」の為、世界を旅する不気味な大男。医者でも発明家でも冒険者でもあり、かなり名を上げた人物だったようだ。ただ手段を問うことはなく、度々事件を起こして様々な組織や国家から指名手配されている。
性別 :男性
名前の由来:不可能(花言葉)
性格 :振る舞いは紳士的ではあるが、何かに憑りつかれたような執着心と執念を持っている。
「哀哭竜のメモリア」
この物語は一本道であり、もしもは存在しません。既に確定してしまった、もう戻ることも変えることもできない、とある英霊の記憶(メモリア)を辿るだけの観測の物語です。そして、この物語のテーマの核は「分かり合えないこと」です。
人は分かり合えないし、対話したとしても、その価値や想いを完全に共有することはできない。人の理想や信念をどうこう変えることはできないし、それは傲慢さであるのかも知れない。私はそう思っています。
人が出会えば、人が複数いれば、人がいればいるほど、その価値観と想いはすれ違い、ぶつかり合い、争ってきました。譲れない大切なものがそれぞれあり、その為にならどんな手段も厭わない。何となく察しの良い方は気付いたかと思いますが、登場人物皆揃って、根本的な部分では同じです。皆、それぞれの大切なものの為に選び歩んだ道の先で出会い、その交差点で衝突し、共に歩むことが出来なかった。そんな人達の物語です。
リンドウが降らせた雨は、人々を隔絶し、不干渉にし、もうそんな悲劇を生まないようにと願ったものなのかもしれません。
人は他人の苦しみに寄り添うことはできても、その不安を完全に共有することもできないし、その痛みを肩代わりすることはできません。痛みがわからないから、何に痛むのかも分からないので、知らずに誰かを傷つけてしまうこともあります。誰しもが苦しみを抱えながらも、誰かを傷つけている存在になっている。【Named】の竜達が語る物語はそういった苦しみや痛みをテーマにしました。
もしかしたら道中で気付いた方もいるかもしれませんが、アイリスはほとんど目が見えておらず、発言においても景色や色などの視覚的な発言は全くありません。「リンドウ君あまりに察しが悪いんじゃないの?」って思う方もいたかもしれませんが、かつて福祉の学舎で色々と見た私の感覚としては、かなり重度の障碍や困難を持った方でも、それを隠して生きてる人たちが割といて、同僚や友達であっても意外と気付けないことって実際あると感じています。
そして、それに気づけたとしても、助けや救いを求めない人もいるし、そもそもそれらが可哀想で庇護するものだという態度で何も知らず未熟なまま差し出した手の傲慢さが、その問題をさらに悪化させたり、自分が必要以上に抱え込んだり、巻き込んだ人に抱え込ませてしまったり、そうして相手や自身、周りにいる人達を死に至らしめてしまうほどの破滅に追い詰めてしまうこともあります。そんな世の中にありふれている沢山の苦しみと悲しみと痛みを、そして私達は常に無自覚であることを、ただ知って、想像して欲しくて、考え欲しくて、完全な共感や理解は示せずとも、せめて適切な距離感で寄り添って欲しくて、この物語に想いを詰め込みました。
もし、あなたがそんな場面や気づきに出会った時に、少しでも、ひとつだけでも、選べるより良い選択肢が増えていたらいいなと願っています。