Reincarnation

没入感のある世界

・このゲームは、宝石の中に封じられた少女達を集め育成し、少女達の「主」に会いにいくことを目的としています。

全体を通して道中の強制イベントもほぼないフリー探索形式となり、自分の思うがままに不思議な世界を彷徨い冒険できます。テキスト量は多くないですが様々なところに隠されており、世界観については聞いて隅から隅まで知るというよりも、探索で見聞きした断片から考察や想像に任せる部分が多いイメージです。でも、そうした【敢えて語らず】の雰囲気がこのゲームへの没入感を加速させる作りになっているように思います。

パーティー編成とキャラ育成が楽しい

・少女達の個性豊かなスキルを活かすことで立ち塞がる敵を倒し進んでいきます。

少女達のほとんどはホーム地点の宝石の中に封印されており、各フロアのボスを倒す度に解放できるようになります。どの少女から解放していくかはプレイヤーに委ねられています。少女達の持つスキルやコマンドはバランス良く振り分けられており、どの組み合わせでどう戦うかの戦略性が問われます。


←【特殊技能】の「できることは人それぞれ」というテキストが最高にエモい。

わかりやすいゲームデザイン。

・このゲーム基本的に一本道な作りになっているので迷うことがあまりありません。

ゲームプレイヤーにとって「次の行き先ややることがわからなくなる」ことが致命的にモチベーションを下げてしまい、飽きや挫折に繋がってしまいます。そしてその導線を繋ぐのがゲーム制作におけるひとつの大事なポイントだと考えています。このゲームにおいてはほぼストーリーのテキストがなくとも、【次に何処へ行き、何をするか】が感覚的に掴めるマップ&シナリオ構成となっており、各ダンジョンを攻略したりフラグを立てるごとに進める道が増えていきます。

←次どこにいくかが一目でわかる且つダンジョンシンボルに好奇心がそそられる。また、「自分が今シナリオ全体からしてどこの位置にいるのか?」もわかりやすい。

「これは、少女を知る物語」

・このゲームの作者様は「2周目からは【少女】を知る物語」と記しています。

それは2周目以降から次第に明らかになってきますが、周回を重ねるほど、その意味が「解る」から「察する」という感覚になっていきます。世界観の見せ方や、メッセージ性の持たせ方、そしてその伝え方など、「創作をやっている人」ほど何か感じるものが多い作品だと思います。興味を持った方は是非とも遊んでみてください

←2つ目の雪マップ。どうやら「クリスマス」がテーマらしい。





だらだら感想とか思い出とか(駄文&多少ネタバレあるかも)

このゲームのコンセプトを語るとするなら、「愛するキャラクター達の為に作った箱庭」でしょうか。

シナリオの都合に振り回されず、一貫して好きなキャラクターと自由に探索できるのが楽しいと思いました。そして、キャラクター誰しもにそれぞれ得意分野があり、活かし方があり、誰しもが制作者様に愛されてるのだな、と感じました。

ちなみに私が最初に選んだのは「放浪者」のイルガです。素早さが高くて攻撃回数が多いのがいいですね。ちなみに最初に解放したのは火力特化なリオですが、イルガのコマンド「てだすけ」とかなり相性が良く序盤はサクサクいけました。一週目はイルガ、リオ、オリビア、リシュリーで回り、2周目はキャラを一新して回るというプレイスタイルでしたが、どんなパーティー編成でも楽しく周回できて使えないから切り捨てるということはありませんでした。

最初はBGMや見た目の雰囲気が全体的に可愛いゲームだなと思っていたのですが、2周目をクリアすることで全体像が見えてきて、3周目でシナリオ上でのとある「真実」にたどり着きました。それを知ってからも何周か回りましたが、段々とマップの雰囲気もお菓子の回復アイテムも、何かしらの意味を背負ったものでありとても切なくなるものを感じました。

自分の中にあるものを大切にしたいと思う、大切にしている創作者様ほど、このゲームはどこかに響くものがあるのではないかと思います。

ちなみに自作Labyrinth of verityはこのゲームから着想を得た自由探索&自由編成コンセプトの試作となります。(他にも世界樹の迷宮とかメイドインアビスとか色々と混ぜてますが…。)