END ROLL

Hello Would ! イカレ野郎様。

・このゲームの目的は、イカレ野郎な主人公が「HAPPY DREAM」なる実験において、夢の中の世界を通しある変化に目覚めることにあるようです。

内容としてレベル制バトル有の箱庭探索系であり、ストーリー、戦闘、探索の3つの柱によるシステムとしては基本的な作りのRPGといった感じでした。しかし、ダンジョンギミックや連れている仲間でイベントが多少変わるなど、かなりの作りこみ度が高い作品でした。

←最初の第一声からこんな台詞を浴びせられる。

開始数分で察する「なんかヤバい世界」

・この物語はいわゆる夢の中。常識では語れない奇妙な世界です。

このゲームの作者様はBGMやグラフィックなどを自作で作っているため、表現力を活かすことで「夢の中」という奇妙な世界を最大限に引き立てていたと思います。また、キャラカットインや改変BGMなど表現の幅も広く、そうした技術や労力を惜しみなく使った作品であることが全体としてかなり伝わってきます。

←「常識に囚われない」歪んだデザインってかなりの教養ないとできないものだと思う。

一度の探索だけではわからない奥深い世界

・寄り道要素がかなり多く、イベント進行によってその都度変化していくので訪れるごとに新しい発見があります。

この世界は夢の中である故、諸行無常が如く変化し続けます。箱庭な限られた空間の中で同じ場所を何度もを行き来することになりますが、行く度に「あれ?」と思うような変化があります。その中でしか回収できないイベントやアイテムもかなりあり、セーブはこまめにしておかないと後々後悔します…。

←ジョウロを発見してから色んな場所に行くとまた新しい発見が…?

優しく、そして楽しい仲間達

・この作品のテーマとして、仲間の存在が主人公にとってかなり重要な鍵となっており、そのためキャラひとりひとりにかなり綿密にキャラ設定がされています。

キャラクターへの愛着はプレイヤーのモチベーションに繋がります。この作品はそんなクリアまでのモチベーションとなれる「相棒」的な「推しキャラ」ができると思います。パーティーで連れていると休憩所でお喋りできたり、とあるイベントで二人っきりのデートができたりとキャラとのやり取りも楽しかったです。

←休憩所では連れているメンバーが反映される。全ての台詞を見るのは結構苦労する。





だらだら感想とか思い出とか(駄文&多少ネタバレあるかも)

最初からネタバレ全開ですが、各仲間キャラが主人公の「罪」の象徴であり、彼らと触れ合う中で「罪との向き合う」のがこのゲームの大きなテーマになっています。このゲームを少し調べたりレビューを見た感じ、フリゲ界における「鬱ゲー」の代名詞のようです。自分としては主人公の「唯一の善行の記憶」であった「海底ホテル」の「思い出の少女」戦はかなり印象的でした(故にもっと掘り下げて欲しかった)。

狂った世界観もなんかヤバい住人達も辛いとか怖いというより、好奇な目で興味深いと思いながら遊んでいました。明らかに麻薬がテーマのマップの敵がサイケな虫だったり、キャラの目の色がかなり重要な感情の意味合いだったり、登場する植物の花言葉だったり、そう言ったあらゆるオブジェクトの意味合いがしっかりしていて且つ粋で素敵な世界だったと思います。そして何より感情表現を意識したであろうBGMが好き。でも思い出してみると「おじさんの世界」は場所といい演出といいかなりゾッとしました。(あそこだけホラーのレベルが段違い過ぎる…)

ちなみにキャラは閑照が好きですね。キャラ属性というよりはロールプレイ的な理由で愛用していました。生前に唯一罪を主人公と共有していた人物なので、それが自身を殺してもらうための利用だったとしても主人公はある程度閑照に信頼はしてたのではないかと思います。そういう意味では優しさ故に殺されたタバサやミレイユ、死ぬことになったユーミもよくパーティーに入れてましたが、結局大技をバンバン打てる魔術師系が強かったので閑照、コーディ、ウォルターで後半組むことが多かったです。

「HAPPY DREAM」の実験の完遂と共に崩れ終わりゆく「夢の箱庭」を見届けるRPG。その中で得た感情と、向き合えた罪、そしてENDとして下したラストの決断、「END ROLL」はタイトル回収がしっかりしているように、作品としての軸たるとその肉付けがよく整った作品だと思いました。(尚且つ題材やビジュアル面できちんと差別化の「尖り」も出しているのがもう作品として強すぎる。)