夢もすがら花嵐

新しい表現の『文学』

・このゲームはノベルゲーム制作ツール「ティラノビルダー」で制作された作品であるように、テキストを読んで進めるのが中心となります。

そして、その文章は近代文学を思わせるようなとても美しく情緒に溢れており、文章に対する強いこだわりと作り込みを感じました。

←どこか絵本を読んでいるようで内容はしっかりした文学。演出や音楽も美しい

隅から隅まで全てが美しい

・このゲームはテキストの書体から挿し絵の色使い、UIの全てに統一性を感じました。

設定画面でさえも見やすくかつ美しく、そして何より没入感を損なわない配慮が良くできており、高いデザイン力と作品への強いこだわりを感じました。

←こんな美しく工夫された設定画面が他にあっただろうか?

隠された謎を解く

・このゲームは、画面の中から気になるものに触れてヒントや道具を集めることが主な流れになります。気になる場所はどんどん触れて知らべてみましょう。順序よくヒントに当たれるようにもよく設計されています。

←新しい発見で画面が変化していく。その過程も不思議で美しい。

夢が表すもの

・夢の中の奇妙で美しい情景のそれらは何を意味するのか、それを考えさせられるような引っ掛かりがたくさんあります。

そういう引っ掛かりに出会えたのなら、もう既にその夢の世界に引きずりこまれているのかもしれません。何にどう感じるかは人それぞれ、そんな色んな想いがこもったようなそうでないような夢の中を「獏」と名乗る少女と冒険します。

←夢ならではの正常の概念に収まらない情景や場面に遭遇する。





だらだら感想とか思い出とか(駄文&多少ネタバレあるかも)

とても丁寧かつ高い教養を感じる作りでありながら、誰でもとっつきやすい難易度と情報量のとてもバランスがいい作品だと思いました。謎解きもヒントとなるアイテムを集めるだけでなく、メロディーを奏でるものや言葉遊び的要素もあり多彩で面白かったです。章が変わる度に景色が変わるのもよく、1章あたりの時間も長過ぎず短すぎないのも良く、落ち着きがありつつも夢ならではの奇想天外な情景も素敵で2章の雨の中の書斎が幻想的で印象的でした。同行してくれる獏ちゃんもとてもいいキャラをしていて短い間なのにとても愛着の持てるキャラクターで、雰囲気の良さも相まって感情移入のできる作品でもあったと思います。その没入感を支えているのは細部まで作りこまれ統一されたUIや選び抜かれたBGM、文字の書体などであり、そういった小さなこだわりの積み重ねが良作を作るためにもひとつ重要なことなのだと感じました。