最果てを目指す

この世界の戦い全てが命のやりとり

・このゲームは主人公のロボットとして少女「ツキ」の助けとなり、共に「最果て」を目指すのが目的となっています。

しかし、歩みを進める中であらゆる脅威と遭遇します。基本的に攻撃、防御コマンドから各1つずつ選び応戦する形となりますが、特に1周目では一手でザコ敵の餌食にされてしまうことも多いです。ただ、旅の中で得たボーナス「残滓」とスキル「心装」は引き継げるので、何度も当たって砕けながら最も効率的な対処法を模索していく形になります。どんなに砕かれようともその辛酸と記憶は決して無駄にならない…。だからこそ何度でも立ち上がる勇気をくれる。そんな作りになっています。

絶望を打ち砕くは《意思》の力

・ゲームを進めていくと、各フロアのボスなど正攻法だけでは明らかに越えられない強力な敵に遭遇したりします。それを覆すのが《意思》システムです。

《意思》を使うことで戦闘効果を倍にするなどの強力な効果を得られたり、ステータスの割振りをし直したり、選択できない選択を無理に通したりなど苦しい旅の中でのひとつの活路を作り出すことができます。この《意思》をどこで使うか、どこまで持たせられるかでこのゲームの面白さや難易度はかなり変わる印象でした。

←EPが戦闘で0になると《意思》の最大値が消費されてしまう。

クリック連打で復活する演出はかなりアツい。

リソース管理が重要

・最果てへの歩みを進める中では、相関関係にある「EP」、「生命力」、「満腹度」の管理や、「重量」、「容量」の決められた範囲の中での必要なアイテムの取捨選択などのリソース管理がかなり重要な作りになっており、先に待ち受ける脅威や、進みたいルート、現状の資源と獲得できる資源の計算をした論理力 が重要になってきます。

アイテムを得る「探索」はランダム性が強いので、得たアイテムから今後のルートや戦略を考える必要があり、100回やり直して100回同じ冒険結果にならないのもこのゲームの奥深いところだと思います。

味わい深いテキスト

・このゲームのテキストセンスにはかなりのこだわりを感じます。

すぐに捨ててしまうような何気ない道具1つにもこれだけの感性を載せることができるかと感動しました。また、主人公と少女ツキのイベントのやりとりも尊く感じる内容が多く「ダブル主人公」「人外×少女」「機械×人間」「現実×理想」のような対比ワードに興味がある人にはグッとくる内容だと思います。

←フレーバーテキストや設定集をおかずにいくらでも空想できる人にはたまらない文章





だらだら感想とか思い出とか(駄文&多少ネタバレあるかも)

BGMも穏やかで優し気な含みのあるテキストから感じる切ない系の雰囲気を醸しつつも、感情を揺さぶり昂らせるような強い情動、まさに《意思》を想起させるような「アツい」ゲームでした。

自分はゲームにおいては「広いマップを自由に探索するのが至高の楽しみ」だと思っている節があったのでノンフィールドRPGはゲームサイト「シフトアップネット」でよく遊んでた「ねおきでクエスト」以来で、ダウンロードも「人外×少女」なサムネが動機でゲームジャンルとしては全く興味がありませんでした。よって、このゲームのような「一手一戦が重い命のやりとり」というのははじめての経験でしたが、その緊張感と面白さにはかなり衝撃を受けました。

正直なところ「ゲームを本格的にやりこむ」ことにはまだまだ浅いところがあり、ソシャゲなどのポチポチ無双ゲーに慣れてしまってしまっている節があったので、「考えないと最初のザコ戦にも勝てない」という仕様の概念の理解するまでに時間がかかり、最初はとりあえず火力上げて敵わない敵はスルーといった感じで進めました。しかし、逃げてばかりではレベルも資源も揃わず3層目の雪山あたりで力尽きました。

2周目も志半ば折れて3周目も雪山に突入しましたが、吹雪イベントで主人公とツキが同時にダウンしてしまい、資源的にもどちらかしか救えない状況で詰みました。(意思を使えば良かったものの説明読まないので右クリックで発動できる仕様をまだ知らなかった)遊んだ記録を一本の映像化にするなら1番のクライマックスシーンだったと思います。そこで一番悪い選択をする(せざるを得なくなる)と結構強い心装が手に入るのが最高に良い演出だと思いました。

4周目でも最果てボス戦中にたまたま戦闘中で《意思》が使えるという仕様や一度敗北してSPDの重要性に気が付いたりと周回するごとに新たな発見が増えていき、主人公機と共にプレイヤーとして成長してるな感が楽しかったです。最終的にハードモード含めて15周くらい周回しましたが、10周目でDEFの使い方とステ振り直しの仕様を理解、14周目で効率の良いクラフト優先順位と捨てるもののリストなど、トライ&エラーによるこのゲームのシステムの理解と遊び方の概念の獲得こそがこのゲームの深みだと思いました。そして、そんな「雑にはプレイできない」白熱の緊張感を保てるような人の心に突き刺さるゲームは、絶妙な数値の設定の裏付けされた制作者様の努力と職人魂によるものなんだなと感じました。自分も次に思い入れのある構想をゲームにする時は電卓と睨めっこして作ろうと思います。